2012年7月12日木曜日

永井路子さんの本

永井路子さんの本を立て続けに3冊読みました。
みんな文庫本ですけれど。

最初は「北条政子」。


言わずと知れた頼朝さんの奥方の政子さんを中心に描いた小説ですが、歴史小説の割には、女性が主人公なのでとても読みやすかったですね。
政子がたまたま好きになってしまった人が、流人の頼朝。彼についていきたいと思い、そして彼女の激しい性格のゆえに苦労も多く、夫や娘や息子たちを次々と失っていく愛と悲しみが描かれています。
北条政子は世間では悪女の見本のように言われていますが、歴史の流れに身をゆだね、とても魅力的な女性に描かれていました。
こういう長編小説は大好きです。

その次に読んだのは「源頼朝の世界」。
今から30年前の作品です。


これは小説というよりも、永井さんの歴史観を表したものといえるでしょう。
エッセイなどとは気楽に呼べないような重みがありました。
主に「歴史と人物」という雑誌に描いたものをまとめたそうです。
私にとっては藤原定家のところが面白かったですね。定家というと和歌だけに生きた風流な人というイメージがありましたが、実際はかなり世俗的で出世を夢見た人のようでした。

3冊目は直木賞受賞作品である「炎環」。
昭和39年受賞というから、オリンピックの年ですね。
永井さんの出世作ともいえる本です。


これは鎌倉時代に登場する頼朝、頼家、実朝、政子のほかに、義経などの義理の兄弟、北条氏、木曽一族、比企一族、三浦一族、後鳥羽上皇など、いろいろな立場の人間の角度から書き表わしたもの。
政子の妹の保子のところは面白かったですね。おしゃべり好きな彼女のおかげで歴史がかなり変わったかもしれないと思いました。

当時は家族だろうが親族だろうが簡単に殺してしまっていたのですね。
情熱があるといえばそうだろうけれど、やりきれなさも感じました。
でも鎌倉時代のことをあまり知らない人が、最初にこの本を読んだらかなり難解でしょう。

これら3冊を通して書かれていたことは、当時は実の母子関係よりも乳母やその夫と赤ちゃんの関係が強かったということですね。
その頃の母親というのは、生むことは自分がしても、その後、お乳をあげたり一緒に遊ぶということはまったくというほどしなかったので、それで子供も母親よりも乳母のほうになついていたわけです。そしてその赤ちゃんが少年になり青年になっても乳母との関係は非常に強く、彼女やその夫の一族が権力を握り、幅を利かせていたようです。

このように歴史を乳母の立場から見るのはとても面白いと思いました。
それと頼朝は学校教育では「鎌倉幕府を作った武士」というように習いますが、実際はかなり都よりの人物であって、武士というよりもお公家さんに近く、そして優柔不断で女好きで、色白のぽっちゃりタイプだったようで、ちょっとイメージが変わりました。

それにしても永井さんの歴史好き、鎌倉好きには圧倒されます。
本当にすごい方ですね。



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