2012年11月18日日曜日

面白かった本 つまらなかった本

通勤途中でも旅行中でも毎日、なにかしら小説を読んでいます。
読みものを手にしていないと落ち着かないのです。

最近は平岩弓枝さんの小説に夢中になっていますが、何といっても面白かったのが「魚の棲む城」でした。


これは田沼意次が主人公の時代小説です。
田沼意次といえば、賄賂政治の中心人物でとんでもなく悪い人間だと教わったような気がします。
ところが、彼は非常に経済通だったし、財政立て直しのために干拓事業をしたり蝦夷の開拓を行ったりして改革を行っていて、今にして思えば非常に先見の明がある人だったのです。惜しむらくは彼の出現が100年早かったのかもしれません。

小説なので架空の人物も登場しますが、意次(幼名は龍助)には同じ名前の響きである龍介という幼馴染がいました。
そしてもう一人、お北さんという幼馴染の女性も登場します。

お話は彼らを中心にして進むのですが、意次とお北さんの取り合わせのすてきなこと。
もううっとりしてしまうくらいです。

意次は将軍を支える幕府の中心人物なので忙しい人なのですが、それでも人妻となったお北さんをかっぱらうようにして奪ってしまいます。

その後、長い間の辛い別れがあっても、お互いに中年になってから再会してまた愛し合い、お北さんは意次が開いたサロン(?)の女主人として彼の傍らで生きていきます。そして意次は70歳で亡くなります。その後もお北さんと龍介の友情は続いていたというお話です。

意次の晩年は息子が暗殺されたり、定信にいじわるされたり、また浅間山の噴火などの自然災害も起こり可哀想なところもありましたが、お北さんはずっと意次といっしょにいたのです。
彼らの恋愛は私の理想ですね。

意次がこれほどかっこいい男だったとは知りませんでした。
テレビや映画にしたら誰がいいのだろうと思いながら読んでいました。
10歳くらいから70歳までのお話なので、子役と青年役と中年役が必要かしら?
ハンサムでやさしくて頭が良くて我慢強い。
こんな素敵な人は現実にはいないでしょうけれどね。

題名の意味するところですが、意次は遠江国の相良城の城主となるのですが、そこがつまり彼らの「魚の棲む城」ということになるんでしょう。海のかなたからいろいろな魚が集まるような城を作りたいという願望がありました。
今はもうそのお城はりつぶされてしまっているので、見ることができずに残念ですが。

田沼意次が悪徳政治家のように言われているのは、彼の後に出てきた松平定信が言いふらしたためでしょう。
この小説を読むと江戸時代の政治や経済の仕組みも、よく分かります。

最近、読んだ本の中では傑作です。
文庫本で3センチくらいの厚みがありましたが、2回読みました。
読むたびに感激していました。

前に読んだ井伊直弼が登場する諸田玲子さんの「奸婦にあらず」▼にしても、この本にしても、歴史上の人物の意外な面を掘り起こしてある本は、本当に面白いですね。


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それに引き換え、「えー、何だかちっとも面白くないな」と思ったのは、来年のNHK大河ドラマの主人公という新島八重を描いた「小説・新島八重」。


福本武久という作家の本ですが、八重の生きてきた歴史背景やストーリーは面白いのに、登場人物にまるで人間性がないのですよ。
とくに八重と襄の恋愛などほんとうにつまらなかったですね。
会話もうまくないし、いかにも資料を集めて話を作ったという感じでした。

八重さんは会津の生まれの人だそうで、かなり波乱万丈な一生を終えたようなので、テレビドラマ向きかもしれません。
会津や京都などあちこちでのロケもあると思うので、絵にはなるでしょうね。

私はやはり小説は女性作家の描くもののほうが、ずっと面白くて深いものを感じると思っています。



4 件のコメント:

ずんこ さんのコメント...

実は本の感想、参考にさせていただいています。宇江佐真理さんの本や「漱石の妻」などいくつか読んでみて、面白かったです。

「魚の棲む城」、興味があります。田沼意次は歴史で習った程度で殆ど記憶にありませんので、ついでにその頃の勉強もできれば・・

としちゃん さんのコメント...

ずんこさん、私の読書の傾向はかなり偏っていて、独断と偏見があるからあまり参考にならないかもしれないですよ。
でも宇江佐真理さんは面白いでしょ。

田沼意次に関しては私もほとんど知りませんでしたが、すごく潔くて素敵な人に描かれていたので驚きましたよ。

マサ さんのコメント...

昨日のY新聞の夕刊に、新島八重のことが大きく載っていましたよ。
来年の大河ドラマの主人公とあって、急に脚光を浴びるようになりましたね。
本もいろいろ出ているようです。
鈴木由紀子「ハンサムウーマン」のほうが面白いかも。
八重さんの写真を見るとずんぐりしていて、綾瀬はるかとは似ても似つかぬような(失礼!)

それにしても、本に関してはとしちゃんと私は、ずいぶん傾向が違うわ。
私は、時代小説は読んだことがありません。
今図書館で借りて読んでいるのは、唯川恵の「途方もなく霧は流れる」
唯川さんの本では、珍しくつまらない(苦笑)

としちゃん さんのコメント...

マサさん「ハンサムウーマン」って八重を描いた本だったのですか。意外なタイトルね。

私自身、昔は推理小説しか読まない時期がありましたね。今は女流の時代小説ばかりですが、自分でもこんなに好きになるとは思わなかったわ。

唯川さんの本は1冊くらいは読んだことがありますけれど、なんとなくおばさんが手にするのが気恥ずかしくなるような感じなの。