2013年6月8日土曜日

「暮らしと美術と高島屋」展

世田谷美術館の「暮らしと美術と高島屋」展▼に行きました。


高島屋百貨店はなんと天保2年(1831年)に、京都の烏丸で創業されたそうですので、もう180年以上も営業しているわけになりますね。最初は古着木綿商だったそうです。

高島屋のその後は、江戸から明治、大正、昭和にかけていろいろな事業を展開しながら進んできました。


特に明治9年(1876年)に、初めて外国人のお客様がいらっしゃって以来、外国人向けの商品を多く取り扱うようになり、また世界各地で開催された万国博覧会に参加してから、飛躍的に発展してきました。

つまり文明開化とともに歩み、内外の物産を多く紹介して、「文化としての百貨店」としての自負が強くあったのだろうと思いました。

その中でも美術については特に優れていて、多くの有名画家の絵も保持していました。
会場には、梅原龍三郎、東郷青児、棟方志功、横山大観、岡本太郎などという一流の画家の絵画がたくさん展示されていました。

私が興味を持ったのはやはり着物の部門でした。
高島屋では昭和の初めに、「上品会」という会を作ったのですが、これは染めの千総、織の矢代仁、帯の龍村が参加していた会だそうで、染織の美を追求していました。
また与謝野晶子などの文化人を顧問とした「百選会」というのもあり、毎年の流行色を提示していたそうです。

本当にいろいろなものを手がけていて、出版部というのもあり、文芸書などを出版していたそうです。

また日常品も多く展示されていて、お中元・お歳暮用のポスター、「うまいもの大会」や「ゆかた祭り」のポスター、「百貨店すごろく」、食堂で使うお子様ランチ用のよだれかけまでありました。

百貨店に行くことが一種のステータスであり、余暇であった時代だったことが分かりました。

ちょっと残念だったのは、私は高島屋というと「薔薇の包み紙」をイメージしていたのですが、その包装紙がどこにも見られなかったのは、どうしてでしょうね。

大阪には「高島屋史料館」▼というのがあるそうで、普段はこちらで展示されているようです。

緑が美しい世田谷美術館でした。


(この項、続きます。)

0 件のコメント: