2013年10月31日木曜日

「女子の装束」@椿山荘 2

さて「神宮式年遷宮での衣紋と女子の装束」セミナーの第二部のご紹介です。

第一部はこちら▼

第二部は女性の装束の着付けでした。

まずこちらは「袿袴絡げ(けいこのからげ)」という装束です。
赤い切り袴をはいています。


写真では見えませんが、この袴は足首の少し上くらいの長さでした。
そして足元は真っ赤なハイヒールのような靴でした。
とても可愛らしかったですよ。

髪型は「ときさげ」というスタイルだそうです。

お次は十二単の着付けです。

十二単というのは俗語のような言葉で、本来は五衣(いつつぎぬ)・唐衣(からぎぬ)・裳(も)を総称したものをいいます。

平安時代の女性の装束ですが、現在は宮中儀式(とくに即位の礼、結婚の儀など)でしかお目にかかれませんね。

登場された時にはじめにつけたいた衣装は、小袖と長袴でした。
この衣装は年齢や既婚・未婚によって色が決まっています。
28歳以下または未婚者はこき色(濃い紫)の小袖にこき色の袴ですが、既婚者は白の小袖に緋色(朱色)の袴となります。

その上に単衣+五衣+打衣(うちぎぬ)+表着(うわぎ)+唐衣(ジャケットのようなもの)+裳(スカートのようなもの)を順々につけていきます。
五衣は本当に5枚重なると重くて大変なので、現在では衿・袖・裾の部分だけは5枚重ねですが、その他の部分は1枚だけになっています。

衿のところをきちんと揃えて、きれいに見せるのが難しそうでした。

そして着物の色の組み合わせ方も大切です。

十二単の重さは全部で15キロあるそうです。
これではなかなか歩くこともままなりませんね。


十二単のお姿はよく見かけますが、実は後ろ向きのほうがもっと素敵でした。
裳には美しい文様が描かれていて、左右のサイドにはきれいなチロリアンテープのようなものがついていました。

髪型は大すべらかし。
額のほうが盛り上がっていて、そこに小さな冠(ティアラのようなもの)をつけています。

衣紋者(着つける人)お二人です。


十二単の着付けで面白いのは、腰紐の扱い方でした。
次の着物に腰紐を巻くと、前の着物の腰紐を抜き取ることです。
つまり最終的には、一番外側の着物だけに腰紐が巻いてあるだけで、下のほうには巻いてありません。

このような衣紋(着付け)というのは、普段はあまり公開しないものだそうですが、特別に拝見させていただきました。

ちなみに、私が着物を着るときは、足袋から履いて襦袢、着物、帯と仕上げるまで、だいたい15分くらいです。
それが十二単の場合は、途中から二人がかりでも30分以上かかっていました。
いかに大変な作業であるかが分かりますね。


檜扇です。これは薄い檜の板が39枚と決まっているそうです。
顔を隠すために使うもので、暑いときにパタパタとあおぐものではありません。


雅な世界でした。

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この日の装い。

上品な方がお集まりになる会合のようでしたので、私も少しはお上品な着物にしました。


といっても、いつもの神社の骨董市で購入した紬です。
骨董市のおじさんが、「これは絶対にお客さんに似合うよ」と、他の人には売らないで私のためとっておいてくれた着物です。
たしかに色も薄紫というか藤色で私の好みですし、寸法もドンピシャ。

ところが布が突っ張っているせいか、着ると必要以上に太って見える着物なのです。
とくに胸やお腹のあたりがこんもり。
いやですよね。
寸法が合わなければ諦めてしまうのですが、そういうわけにもいかず、仕方なくたまに着ている着物です。

この日は小雨で15度くらいしかなかったので、絞りの羽織を着て行きました。


こちらはリサイクル着物屋さんで500円。
丈がちょっと短いのですが、許せる範囲かな。

これを韓国に着て行ったら、一見お金持ちに見えたようで、ソウルの町でアナタ、オカネモチ」と言われて困ってしまった羽織です。






2013年10月30日水曜日

脱ぐとすごいんです!

一昔前、「脱ぐとすごいんです」というCMがありましたね。
あれはエステのCMだったと思うのですが、私のところにも脱ぐとすごいモノが届きました。

それは先月、名古屋のBerry工房▼さんにお邪魔した時に、Sサイズの草履を注文していたのですが、出来上がりましたというお知らせがありました。

いくつか候補があったのですが、この年になってあまりに派手な草履も履けないので、足を通しているときは地味に見えて、そして草履を脱ぐとあっと驚く、というタイプの草履を注文しました。

宅配便で草履が届きました。


箱を開けて、足を通してみるとこんな感じ。
縞の鼻緒と紺色の面がちょっとだけしか見えないので、割と大人しい感じですよね。


ところが、足をはずすと、こんなにきれいなお花が咲いているのです。
チューリップかしら?


おまけに側面はペイズリー模様なのです。


本当に楽しくなる草履でしょう!
地味な着物を着ていても、足元を見るとウキウキしてきますね。
それに脱いでも絶対に他の人と間違えないのがいいですね。

サイズも長さ、幅ともにぴったりでした。

Berry工房の品は本来は若い人向きのものなのでしょうが、これまで帯揚げや帯留め、帯締めなどを愛用してきました。
十分に年を重ねた私が、こんなに可愛いものを使っていいのかしらとも思いますが、私の着物ライフには欠かせないものばかりです。

店長のみちなさん、どうもありがとうございました。

長く愛用させていただきますね。





「神宮式年遷宮での衣紋」@椿山荘 その1

「神宮式年遷宮での衣紋と女子の装束」という講座に出かけてきました。

これはNHK文化センターの「第55回伝統文化に学ぶ」というセミナーでした。

今年は20年に一度の伊勢神宮の第62回目の遷宮に当たり、その式典の時に神主さんたちがお召になった装束と、女性の装束の着装(着付け)を解説付きで紹介していただきました。

会場は目白の椿山荘でした。
ここは結婚式場で有名なところです。


ここのお庭は、昔は「つばきやま」と呼ばれていたそうですが、その後、明治維新で活躍した山口県萩出身の山形有朋が私財を投じて購入した庭園邸宅となりました。三重塔や池もありました。当時の多くの文化人にも愛された名園だそうです。
 
その後、昭和になって椿山荘となったそうです。
 
雨にむせんでいます。

雨にもかかわらず多くの方が参加していました。
良家の奥さまといった感じの方が多かったですね。

第一部は男性の衣装の説明と着装のデモンストレーションでした。
説明をされたのは衣紋道研究所というところの方でした。


衣紋道には高倉流と山科流という二つの流派があるそうです。

まずは内宮用の衣装。
高倉流で着つけられています。

最初は下着姿(といってもランニングにステテコとかではなくて、紅の袴といわゆる普通の着物姿)の方が登場して、二人の衣紋者によって装束をつけていきます。

これが大変なんですね。
前からと後ろからの二人がかりで着つけるのですが、布の持ち方などのお作法がきちんと決まっていて、覚えるのも大変そうでした。

まず白い袴を履き、単衣を着て、明衣(みょうえ)というのを着て、石帯(せきたい)というベルトを締め、その上に木綿襷(ゆうだすき)という紐のようなものを胸にクロスさせるように付けます。

ようやく着つけが終わったところです。
頭には冠、手にはしゃくを持ち、懐にはお懐紙、そして特別な靴を履いています。


こちらは外宮用の衣装。
山科流で着つけられています。
どこが高倉流と違うかというと、長いお袖の折り返しの形や、木綿襷の結び方、石帯の締め方などが、若干異なるようです。


こちらはもう少しカジュアルなスタイルです。
この方はお若くてかなりのイケ面でした。
写真では見えませんが、浅葱色の袴が素敵でした。


このようなお衣装は日本の織物技術、文様の技術が発展してきたことの証だろうと思いました。

「衣紋のしおり」という冊子をいただきましたが、こちらには装束のことがイラスト入りで紹介されています。
 

この後に、神主さんの正式な礼拝の仕方というのを拝見しました。
普通の参拝は、「二拝二拍手一拝」と言われていますが、こちらは「八度拝」と言い、立ったり座ったりを繰り返し、8回も深いお辞儀をして、とても大変そうでした。

お衣装を着るだけでも大変でしょうが、それを着て拝礼するのはよほどの宗教心がないとできないのでは、と思いましたね。

着つけが終わったところで写真撮影タイムとなりましたが、みなさん、前に出て携帯カメラでパシャパシャとすごかったですね。まるでスターの撮影会のようでしたよ。


写真撮影が終わったところでお茶の時間となりました。

ロビーでコーヒー、紅茶、それにクッキーのサービスがありましたが、無料のせいか、これにもすごい人だかりでした。

ハイソの奥さまもこういうときは必死になるんですね~。

この写真の時はまだ穏やかでしたが・・・・。
だんだんと熱気がこもってすごい状況になりました。


会場には着物姿の方も、ちらほらいらっしゃいました。



休憩の後、第二部となりました。

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そうそう、どうして私が神主さんの着付けのショー(といっては失礼ですが)に行くことになったかというと、去年、明治神宮で蹴鞠▼を見る機会があり、その名簿から今回の装束のお知らせが届いたというわけです。

私は神道の信者ではありませんが、普段あまり見ることができない行事などは、お誘いがあった時には参加しています。

(続きはまたね)


 

2013年10月29日火曜日

フリマ大好き

私の住んでいる市では、リサイクルマーケットが毎月、市役所前の庭で開かれています。

ちょうど通りかかった時に見かけたので、ちょっと覗いてみました。


フリマでよく出品されるのは、子供服、食器、タオル、古本などですね。
世の中には不要の品がこんなに多いものだと呆れるくらい、たくさん出ています。

するといつもは見かけない和服がありました。
売り子さんに聞いてみましたが、年輩の小柄な方が出された品のようでした。

たとう紙を開けてみると、可愛らしい羽織が目に付きました。
羽織ってみると、ちょうど良い寸法!
菊の模様がちょうど今の季節にぴったりでしょう。
明るい感じなので、着るとウキウキ気分になれました。
ということで、すぐにお金を支払って、そのまま着ることにしました。

お隣のブースで売っていた若いお兄さんに写真を写してもらいました。


かなり小柄な方が着用していたので、羽織の丈が少し短めですが、私にはこのくらいでちょうど良いと思います。長いと番長みたいになってしまって、似合わないのです。

このお店では、他にもピンクの名古屋帯、紫の道行を購入。

だって全部どれでも300円だったのです。

でもこの羽織は紐がついていなかったのです。
それで帰宅してから、今年の3月に宮島で作った羽織紐(チェーン)▼をつけてみました。
(帯がちょっとチグハグですが)


着物も羽織も、押し入れにしまっておいては可哀想。
着てあげなくてはもったいないですよね。

ということで、フリマは大いに利用させていただいています。



2013年10月28日月曜日

長唄演奏会@府中

お隣の府中市で長唄演奏会があるというので、行ってきました。


府中市にはNECや東芝など大きな会社の工場がたくさんあり、また東京競馬場もあるので、市の財政は豊なようで、立派な劇場や美術館が揃っています。

緑豊かな町です。
こんな噴水もあります。


長唄演奏会は「ふるさとホール」でありました。

素晴らしい文字ですね。


立派なプログラムと、曲の紹介のチラシがありました。分かりやすくていいですね。
このような印刷物が配布できるのは、市からの補助があるのでしょうね。


今回の長唄演奏会は、プロの方と市民の方が混じり合って演奏をしていました。

名取さんに混じって、振り袖姿の10代の若いお嬢さんから、70歳代くらいの年配の男性もいらっしゃり、ほほえましい感じがしました。

知っている曲もいくつかあり、勉強になりますね。


演奏者の中に、とてもお綺麗な三味線の方がいらっしゃいました。
東音(芸大卒業生)の方でプロだと思うのですが、せっかくの美人さんなのに、しかめっ面でみけんにしわを寄せて、お口は「への字」で演奏していました。
素人と一緒に演奏するのはイヤだったのでしょうか。
なんだかちょっと残念に思いました。

ふつう、素人さんは金屏風のあるこんな大舞台に乗ったら、上がってしまい、間違えもしますが、でもプロの方はそこをさりげなくフォローしてほしいですよね。

長唄は1曲が長いので、さすがに全部を聞いているわけにもいかず、途中で失礼しました。終わりのほうに良い曲があったのですが、聞けずに残念でした。

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この日の装い。

関西のさとさんからいただいたピンク色の紬。
ちょっと私には大きめの寸法なのですが、巻き付けて着ています。
春にはよく着ていましたが、秋に着るのは初めてです。


帯は高幡不動尊の骨董市で1000円で買った木綿の帯。
でも新品でしたよ。

いつもながら安上がりの私です。










2013年10月27日日曜日

女流伝統工芸士展

以前、新宿のお寺さんで京都の木工芸展▼がありました。

その時、女性の指し物師さんが帯留めなど可愛い作品を出していて、お話をさせていただきました。田町でも展示会があると教えていただいていたのですが、日にちを失念していて、26日が最終日だったので、慌てて出かけました。


今回は女性ばかりの伝統工芸士の作品展「「グループ匠美展」▼です。
作家の皆さんのお仕事をされている様子の写真が飾られていました。


この中には、前回の京指物以外に、手描き友禅や西陣織、江戸刺繍、鹿の子絞りなどの衣類関係、伊万里焼、波佐見焼や山中塗、別府竹細工などの工芸品、美濃和紙、奈良筆などの文房具類を作っていらっしゃる14名の方の作品が展示・販売されていました。

こちらの地図にもあるように、日本各地で活躍されていらっしゃる方の集合でした。
ミニチュア版の作品が可愛いですね。


驚いたのは、井上あき子さんとおっしゃる博多人形師さんでした。
無形文化財保持者(現代の名工)の方です。なんと92歳で現役でいらっしゃるそうです。
井上さんのHP▼

博多人形というのは、土をこねて形を作るのだそうですが、井上さんの作品はお土産品で見るような博多人形とは異なり、とても雄大で気品のあるお人形でした。
お遊びとして来年の干支のお馬さんや、こんな可愛い飾りものも売っていたので、記念に一つ買ってきました。


神社、富士山、魚、梅の花、だるまが2センチくらいの大きさの丸い形になってつなげてあります。
おめでたい品ばかりですね。
他にもいろいろあって、選ぶのに悩みました。

他にもコンパクトケースや帯留めにきれいな刺繍をしたもの、友禅染のシュシュ、金細工のアクセサリーなど、女性が喜びそうなものもいろいろありました。

作家のみなさんは世界的にも活躍されている方も多く、パリやアメリカでも展示会をされていらっしゃる方もいらっしゃいました。

どの作品もとても品が良く、「これでもか!」というあざとい感じがしなくて、良かったと思います。

女性の感性と伝統の技がうまくかみ合って、そして新しいものが生まれていくといいですね。

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この日の装い。


リサイクルのブルーグレイの紬の着物です。

実はこの着物は骨董市で2000円で買ったのですが、あとで気がついたら、膝のあたりに煙草の焼け焦げのような穴が見つかり、かけはぎをしてもらってその代金が6000円もかかった、といういわく因縁つきの着物です。
その時の顛末はこちら▼

帯は実際はこれほどどぎつい色ではなく、錆び朱のような色です。
これはつけ帯なのですが、1000円の代物。
旅行などの時にはずいぶんと活躍してくれている帯です。

帯締めは例のくじ引きの黒を締めてみましたが、ちょっと合わなかったようですね。





2013年10月26日土曜日

「紡ぐ × 絹」

以下の3つにはある共通点があるそうです。

 1.着物

 2.日本画

 3.三味線

この3つは私の趣味でもあるのですが、さて、答えはなんでしょう?

実はその答えは「絹」でした。

1の着物と絹、というのはすぐに結びつくとは思いますが、2の日本画は紙ではなく絹に描くということ、そして3の三味線は弦が絹でできているという理由です。


このことを詳しく教えてくれたのは、昨日BS朝日で放送された「エコの作法 紡ぐ × 絹」▼という番組でした。

ご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、備忘録のために、少しまとめてみました。


この番組はウクライナ出身の歌手の美しい女性の方がナビゲーターとなり、見る人を絹の世界に誘いました。この方は「バンドゥーラ」という琵琶に似た楽器の奏者なのですが、日本の伝統文化に興味を持っている方でした。

絹はもちろん蚕からできているのですが、この「蚕」という文字は、「天」と「虫」を組み合わせていることから分かるように、天からの贈り物という意味も含んでいるとのことでした。
蚕から紡がれる糸は、なんと髪の毛の細さの4分の1しかないほどなのだそうです。
そして一つの繭からは1500メートルもの糸が取れるということでした。
不思議な存在ですね。

さて、繭は乾燥させて、茹でて、そして数個ずつ束ねて絹糸を作るそうですが、絹の特徴はなんといっても軽くて、そして暖かく、発色がよいということです。

ナビゲーターの女性は茨城県結城市を尋ねました。
ここは結城紬の産地として有名なところですが、結城紬は江戸時代に始まったそうです。当時は野良着として使用されていたのだとか。そして初めは男性のものだったそうですが、だんだんと女性も着るようになったそうです。

結城紬の特徴は生糸ではなく、袋真綿というものから手で紡ぐことだそうで、その手法が2010年、ユネスコの無形文化遺産に選ばれました。

結城紬の手順をざっと書いてみると、最初は真綿から糸を紡ぐのですが、これは「つば」をつけながら撚らないで紡ぎます。1枚の着物のためには、紡ぐだけで3ヶ月の時間がかかるのだそうです。そして1反のためには、糸はなんと30キロメートルもの長さになるのだとか。

そして次は模様を作るための「設計」があります。この設計図に基づいて、「絣くくり」という、模様を出すために1万回以上も縛るという気の遠くなるような作業があります。

それから染めになります。これは叩き染めといって、地面に糸を叩きつけて、色をしっかりと染み込ませるわけです。

そしてようやく機織りになりますが、これも古風な特別な手法で織るのですが、1日に20センチほどしかできず、1反を織るには3~4か月ほどかかるのだそうです。

このようにして多くの人の手を経てできた結城紬はとても風合いが良く、親子三代にわたって着る人も多いそうです。

最後にウクライナ人女性が結城紬を着ていましたが、とても着心地が良いとおっしゃっていました。とてもきれいに着ていらっしゃいました。

(こちらの写真は結城紬ではありませんが、絹の着物というわけです)

 
さて次は日本画と絹のお話でした。
こちらは山種美術館の美人館長さんが説明されていました。

日本画の材料は岩絵の具、胡粉、絹本とすべて自然のものを用いているそうです。

渡邊香織さんという若い画家の方が登場していましたが、絹を張って、その裏から色を塗っていたので驚きました。そうすることにより、線と色がきれいに合うのだそうです。

光沢のある絹に描くことにより、余白の部分が非常に美しく見えるということでした。
それが日本画の特徴ですね。


最後は和楽器と絹のお話でした。
琴、琵琶、三味線などに使用されている弦は、絹でできていますが、この紹介が非常に素晴らしくて感激しました。


滋賀県長浜市にある丸三ハシモト▼というお店を紹介していました。かつてはここで日本中の弦の90パーセントを生産していたそうです。

ここでは三味線の糸の作り方を写していましたが、弦を作るためにこんなに手がかかるとは思いませんでした。

まずは目方合わせといって、昔ながらの秤で目方を測っていました。
三味線は長唄、小唄、津軽などによってそれぞれ弦が異なり、全部で200種類くらいあるそうで、用途に応じて重さを変えるわけです。

そして撚糸といって糸に撚りをかけるのですが、独特の独楽を回転させて作業をするのですが、なんと4000回くらいの撚りをかけるのだそうです。
そして絹の持つ「セリシン」というタンパク質のためにこの撚りは乾いても戻らないのだそうです。

そして「うこん」で染色をして黄色く染めます。うこんには防虫の作用もありますね。

次に「かきもち」を煮て溶かした糊をつけます。

そして次がすごく美しいシーンでしたが、「糸張り」といって、煮上がった糸をこんどは柱と柱のあいだに張っていきます。
節くれだったところを丁寧に切り取って行きます。

この作業は2週間ほどかかるそうです。

普段何気なく使っている三味線の弦ですが、こんなに大変な作業をされて出来上がるのだとは夢にも思いませんでした。


ほんとうに美しい番組でした。

提供は資生堂でしたが、いつものCMとは異なり、美しくおだやかなCMを使ってたので、気分がよかったですね。





2013年10月25日金曜日

「きりきり舞い」

最近の私の読書傾向は、女性作家による時代小説がメインを締めています。

平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」は図書館に置いてある30数冊をすべて読み尽しました。


本来の「御宿かわせみ」は大川端にあるお宿「かわせみ」の女主人るいさんと、彼女のいい人である東吾さんが主人公で、彼らをとりまく人たちもとても素敵な人が多くて、なかなか面白かった捕物シリーズです。
しかし、彼らもだんだん年を取り、ふたりがめでたく結婚して子供が生まれて、そして時代も明治維新となり、ヒロインやヒーローは彼らの子ども世代がメインの新シリーズになると、やはりそれほどわくわく感がなくなったように思えます。
やはり江戸時代の話のほうが面白かったですね。

宇江佐真理さんの「髪結い伊三次」シリーズにしても、だんだんと子どもたちが主人公となっていくのよね。


と、読み手は、いろいろ文句をつけますが、小説家はシリーズを長く続けるのは大変でしょうね。

ということで、平岩さんの「御宿かわせみ」は新シリーズがまだまだ続いていますが、ちょっとお預け。

*****

諸田玲子さんの「きりきり舞い」(2009年)はすごく読みやすく楽しい小説です。
時代小説の初心者にもお勧めです。



主人公は「東海道中膝栗毛」で有名な戯作者、十返舎一九の18歳になる娘の舞ちゃん。
おきゃんで可愛い下町の娘さんです。
そこに奇人変人がからんできます。
お父さんの一九からして大酒飲みで奇行が多いし、住所不定の大変人の葛飾北斎、そして彼の娘でやはり変人絵師のお栄さん、おまけに訳のわからない押しかけ居候の浪人。
みんなおかしな人ばかり。
そんな人たちに翻弄させられる可愛い舞ちゃん。
せっかくのイケ面のお武家さまとの縁談も、奇人たちにぶち壊せれてしまいます。

でもとても楽しくて、おまけに江戸時代の地図がついているので、場所も分かりやすいですね。

私は登場人物に実在の人が入っている小説が好きなので、この「きりきり舞い」は私好みでした。

それに村上豊さんの挿絵がほっとさせられますね。

この「きりきり舞い」は面白いのですが、ただし諸田さんの小説は、すごくいいものと、それほどでもないのとが混ざっていて、波がある感じです。

井伊直弼と彼の愛人が登場した「奸婦にあらず」など、ためいきがでるくらい最高の出来だと思うのだけれど、「お鳥見女房」シリーズは、ちょっと読んだだけで止めてしまったほど、私には合わなかったわ。

でもこれまで読んだのは「犬吉」、「恋縫」、「希以子」などほんの数冊だけ。

美人作家の諸田さんの小説はまだまだたくさん読む候補がそろっているので、これから次々に読むのが、楽しみです。





2013年10月24日木曜日

やられた!

先日、チューリップの球根をたくさん植えました。
来年の春、どんな色の花が咲くか、楽しみにしていました。


ところが、ベランダに土がすごく飛び散っているのに気づき、何だろうと思って見ると、なんとチューリップの球根がほじくり出されていました。


あーん、可哀想!

これってカラスの仕業でしょうか?

土の中から球根を取りだし、食べてみたけれどおいしくなかったので、そのままにしておいた、という感じです。

土を上からたくさん乗せてみましたが、ネットなどでカバーしたほうがいいのかしら?

カラスさん、もう、これ以上、チューリップを食べようなんて思わないでね!

チューリップさんも、来年まで頑張ってね。







2013年10月23日水曜日

日本橋きものサローネ2回目

またまた日本橋まで出没してきました。

今回は「きものサローネ」の中で、「きもの美魔女コンテスト」というきもの美人を集めたショーを見てきました。

ショーを見る人の長い列。
当然のことながら、ほとんどの方が着物でした。


ファッションショーの舞台には、モデルさんではない普通の方が登場しました。
ぎこちない歩き方もご愛嬌ですね。

美女のモットーは、笑顔とピンとした姿勢いうことでしょうか。


年齢不詳の美女が登場すると言う触れ込みでしたが、みなさん、40歳代か50歳代だそうですが、年相応の美しさで、それほどびっくりはしませんでした。

私としては、できることならもっと年上の70歳代、80歳代でシャキシャキとした方の着物姿を拝見したかったですね。

男性の美女(?)も登場して目立っていました。赤紫と黒のダイヤ柄のきものに、ベレー帽をかぶっていて、帯もなかなかオシャレな方でした。

そうそう、「きものサローネ」ではアンケートに記入すると福引ができるのですが、私はこちらが当たりました。


高級ポリエステル着物の「きもの英」さんのあずま袋でした。
軽くてとても便利。

抽選に当たったので、お礼にお店に行ってお話を聞いてきました。
お店ではなんと、水槽に着物がどっぷりと浸かっていました。
つまり、これだけ濡れても大丈夫、ということなんでしょうね。
驚きのディスプレイでした。
 

この日は2回目だったので、どこに何があるかはだいたい把握できましたが、会場がビル2つに分かれているし、階も2つに分かれていて、そこにぎっしりとお店が入っているので、ちょっと複雑であちこち探し回る時間がかかりました。

160ものお店を出すよりも、もう少し店を厳選するとか、考慮したほうが良いと思いました。
たくさんのお店が集まることに意義があるのでしょうが、せめて同じジャンルのお店は同じ場所に集まってほしいですね。

また営業時間が長くて、売り手の方は大変だったと思います。
夜の9時まで開いている必要があるのかしら?

それにしても日本橋界隈には着物姿の方が多く歩いていて、知らない人はびっくりされたかもね。

*****

この日の装い。

福岡市の「KIMONO MODERN」▼さんで誂えたデニム着物。
それとお気に入りのターコイズブルーの1000円の帯。
ほんとうはデニム着物にはこういう帯は合わないのでしょうが、気にしないで締めてしまいました。


デニム着物のアドバイスをしていただいたユキさんとも再会できて、嬉しかったですね。
このお店では、合言葉を言うとお土産をいただけました。
扱っている製品のカタログですが、なんと私と同じデニム着物が表紙になっていました。


帯揚げと帯締めは名古屋市大須の「Berry工房」▼さんのもの。
こちらのお店のコンセプト(使い勝手がよくて、可愛くて、高くない)というのが、私の方針(?)と合っているところもあるので、年がいもなく、大いに利用させていただいています。こちらの商品は、使用しているとテンションが上がり、楽しくなるのが一番いいですね。

Berry工房さんのお店の前で。


それと半襟は、5月の着物カーニバル▼で買った八王子の「坂本呉服店」▼のものです。小さなバラの花がとても可愛らしい木綿の半襟です。
(坂本さんの写真を取り忘れました。)

また、西尾市の「あづまやきものひろば」▼さんで、「小春」という名前の遠州木綿の着物を注文しました。
先日の着物パーソナルデザイン▼で、「こういう縞なら似合いますよ」と言われた淡い黄色の縞模様と同じような生地です。
遠州木綿はとても着やすいので、出来上がってくるのが楽しみです。


「きものサローネ」では、こんなふうに日本各地のお店と直接、顔を合わせてお話ができて、商品を見比べたりできたのは、よかったですね。