2014年8月31日日曜日

「世界のビーズ」展@文化学園服飾博物館

東京・新宿のちょっとはずれにある文化学園服飾博物館は、私のお気に入りの場所です。


いちばんの理由は、入館料が安いこと。
大人なら500円、学生なら300円というリーズナブルなお値段です。

もう一つの理由は、地下街を通っていくと、雨の日でも新宿駅からはほとんど濡れないで到着できるということです。

またここはそれほど一般的には知られていないので、展覧会を社交の場所と間違えているような騒がしいおばちゃんたちがいないことです。

それらの理由は冗談としても、ここの展覧会はいつもかなり充実してて、見終わった後の満足感はかなりのレベルです。

今回の出し物は、「世界のビーズ」▼


1階の展示場はヨーロッパで発達したビーズの世界。
イギリス、フランス、東欧諸国、そしてアメリカの華やかなビーズの製品がたくさん並んでいました。
ぎっしりとビーズが付いたドレスがすごかったですね。
ブルガリアやルーマニアなどの民族衣装では、男性もたくさんビーズで飾っていたようです。
昔のビーズハンドバッグもたくさんありましたが、細かいビーズがぎっしりとついていて、素晴らしいものでした。

2階の展示場では、日本、アジア、アフリカなどのビーズの世界が展開されていました。
どれも美しくて精巧に作られていました。
とても細かい手作業によるものですが、民族の違いがあっても、どれもカラフルで美しいものばかりでした。


現代の私たちにとって、ビーズというと、アクセサリーの一種のように感じますが、ビーズはかなり大昔から世界中に普及していたようです。
そしてそれは、おしゃれのためというよりも、魔除けや祈りを表すためにあったようです。

特に小さな子供たちをビーズで飾り立てるのは、魔の手にかからず、健全に成長してもらいたいという願いがあったようです。

また外敵から身を守るためのビーズというのもあり、今の防弾チョッキのような感じだったのでしょうか。

ビーズの材質は、今はガラスやプラスチックが主流になっていますが、昔は石や貝殻や木の実などを用いていたようです。

下の写真の絵葉書をお土産に買ってきました。

こちらはインドのビーズ。
白いのは貝殻ですね。

こちらはフィリピンのビーズ。
とても光沢があって、きれいでした。


MIYUKI▼という福山市のビーズメーカーの紹介ビデオがありました。
世界に誇れる日本のビーズメーカーだそうです。
製法を見ましたが、細かいビーズを作るのは、技術力が必要なのだと分かりました。

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この日の装い。

かなり涼しくて23度くらいしかなかったと思います。

夏の着物では寒いくらいだったので、8月中でしたが、遠州木綿の単衣にしました。
我慢して夏着物を着て寒がるよりも、いいですものね。


帯はちょっと夏っぽく白の麻帯。
帯締めはOteshioで購入したきねやの水色。

青色と白ですっきりしすぎたので、帯揚げは紅花染にして、ちょっと遊んでみました。




2014年8月30日土曜日

文化セミナー「武家政権と鎌倉」

先日、「京王文化探訪」というセミナーに参加してきました。

会場は新宿の京王プラザホテルでした。


今回のテーマは「武家政権と鎌倉」ということで、会場には歴史好きなおじいさま、おばさまがたくさんいらっしゃいました。


下の写真は始まる前の様子ですが、この後、どんどん人が集まってきて、超満員になりました。


お二人の先生の講演がありました。

お一人目の先生は五味文彦先生。
現在は放送大学の教授としてテレビでもご活躍。
専門は日本中世史。
「吾妻鏡」を訳したりされていらっしゃる先生です。
今年68歳ということでした。

お話は、主に源頼朝が亡くなったのちの鎌倉幕府についてでした。
頼家、実朝などを将軍を動かしていたのは、実は頼朝の奥さんだった政子だったというお話。
このころの話は、永井路子さんなどの小説でよく親しんでいたので、とても納得がいきましたが、
いかんせん、説明がていねいすぎるので、1時間半の講演ではすべて終わりませんでした。
大量の資料を後で読んでいましょう。

休憩の後の講演は峰岸純夫先生。

この先生はことし82歳ということでしたが、とてもそのようなお年には見えませんでした。
90分以上の講義の間、ずっと立っていらっしゃいましたし、年号などもきちんと覚えていらっしゃり、さすがに頭脳明晰。
おまけに奥様とのエピソードを交えたユーモアあふれる講演で、とても楽しくお話を伺うことができて、こういうおじいさまならいいなと思ったほどでした。

お話の内容は主に「建武の新政」のちの朝廷と幕府のごたごたについて。
室町時代の当初は、幕府の本拠地もはっきりせずに、尊氏のいるところが幕府という感じで、鎌倉になったり京都になったりしたそうです。
この時代のことは、あまり興味がなかったのですが、朝廷が南北に分かれ、また北条氏も尊氏と弟の直義(ただよし)に分かれたというあたり、面白かったですね。

また黒幕的存在として高師直が登場しましたが、歌舞伎でも有名な師直のことはもっと聞いてみたいと思いました。

セミナーではお二人の存在も大きかったのですが、それ以上に目立ったのが、このセミナーの司会進行をされた京王広報部の女性。
格調高いお話しぶりや博識が素晴らしく、ご本人もおっしゃるように「京王の政子」として君臨されていらっしゃるようです。
でも彼女の仕事も今年限りなのだとか。
なんだかもったいない感じがしました。
これまで25年間も担当されたそうですが、何か記録に残してもらいたいと思ったほどでした。

講演がとても長くなったので、さすがにおなかが空いてしまい、新宿駅にあるパン屋さんでランチ。


アスパラガスとベーコンの入ったキッシュとサラダ、ミネストロネスープのセットでしたが、とてもボリュームがありました。
今どきの女の子がたくさんいたお店でしたが、みんなしっかりと食べていたようでした。

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この日の装い。

(朝、早く写したので、顔がむくんでいます。)


それほど暑くもなかったので、あまり透けない絽の小紋にしました。
新宿にあるリサイクルきもの屋さん「福服」で数年前に買ったものです。

帯は京王デパートに入っている委託販売のお店「ながもち屋」さんで買ったもの。
かなり昭和のテイストですね。

どちらもリサイクルの紫ばかりになってしまったので、半襟と帯揚げは新品の明るいグリーンにしてみました。

さすがに全身リサイクルだと、ちょっとテンションが上がりませんものね。


2014年8月28日木曜日

ひまつぶし 第2弾

また暇にまかせて、レースでドイリーを作ってみました。

実物よりも、かなり淡い感じに写っています。


今回のタイトルは「マーガレット」だそうです。
どこが? と言われそうですね。

同じお花を6つもチマチマと作るので、編んでいるうちに、だんだんと飽きてしまいました。

どうも小さいものをいくつも作るのは苦手です。

それでも長々編みとか、玉編みとか、昔のことを思い出しながら編んでいました。

今のところ、真中に花瓶を置いて、使っています。

ほんとに暇つぶしね。




2014年8月27日水曜日

新しいパソコン

先日、ノートパソコンの電源が入らなくなって、焦ってメーカーに問い合わせました。

バッテリーパックをリセットして、とりあえず起動するようになりました。

それでもこの頃、TABキーが使えないとか、他にもキーボードの具合が悪いし、動きも重たくなってきて、、そろそろ替え時かなと思っていました。
メーカーの人に言わせると、この部品は6年半しか保存しないそうです。
実は私のパソコンは2007年7月に買ったVISTAなので、もう7年も働いてきたわけで、部品もないということ。

それでいろいろ安くてシンプルなものを、と考えていたのですが、新宿まで出かけて、お店のお兄さんに私の使い方を話して相談したところ、結局また同じメーカーのノートパソコンにすることにしました。

こんな感じ。
これまでパソコンは仕事も含めてWindows95、98、XP、VISTA、7と使ってきましたが、8.1というのはまた使い勝手が違いますね。

それでももう仕事には使わないので、今さらWordやExcelは不用なので、それは別のデスクトップのパソコンで使うとして、Officeを差し引いたものを注文することにしました。

メーカーの直接発注というスタイルになり、Officeもないのでだいぶ安くなりました。
おまけにお店のポイントがかなりあったので、実際の私の負担は2万円ほどで済みました。

発注後数日かかると言われましたが、翌日発送されて、すぐに届きました。
早いですね。

キーボード操作はとても楽ちんですが、画面の色合いが今までとまるで違います。
自分のブログも、気に入った色にしていたつもりが、まるで変な色だったので、ショック。
おまけに不用なソフトが山ほど入っているので、ほとんど削除しました。

これからいろいろとカスタマイズして、使いやすいものに変えてみます。






2014年8月26日火曜日

花火大会

先日の日曜日は、地元の花火大会でした。

私の住んでいるところの名物といえば、春の桜の野川ライトアップ、そして夏の多摩川花火大会です。
その花火大会は、一説では30万人もの見物客が来るとか言われていますが、まさかそれほどではないとは思いますが、毎年かなりの人でにぎわうイベントです。

事前に売り出された有料席はすべて完売されていたようです。


お一人様5000円の有料席だと、一家4人で出かけると2万円。
かなりの出費ですね。

我が家は、河原の近くの7階に住んでいるので、自宅でお金を出さずに花火を楽しめます。

ベランダから見える駅。
お昼過ぎにはもう浴衣姿の女性が来ていました。


夕方には、駅にはボツボツとお客さんが集まってきました。
電車が駅に止まるたびに、どっと人が繰り出し、そして川の方へと歩いていきます。
クレープ屋さんや焼き鳥屋さんなどの出店がありましたが、何と言っても繁盛していたのは、コンビニでした。

それでも例年ほどのにぎわいは薄れたようです。
やはりあちこちで花火大会が行われるので、マンネリになったのかしら。

6時半から点火というので、慌てて夕食を食べました。

これまでは、いつも娘一家、親戚、友人たちを招いて、ワイワイと飲食をしながら花火見物をしていたのですが、今年は夫と二人だけ。

ということでご馳走もなく、いつものようにサバの味噌煮、牛すじと大根の煮込み、豚肉と野菜の炒めもの、というありきたりの夕食でした。

それでも、飲み物と「じゃがりこ」を持って、ベランダに出て、のんびりと見ました。

最初はまだ薄暗いので、あまりきれいではありませんでしたが、だんだん、暗くなってくるときれいに見えるようになりまた。


花火の下の方に見えるのは、お隣のマンションです。

でも、安物のデジカメと、スマホでしたので、たいした写真は撮れませんでした。


以前は三脚に一眼レフを乗せて写していたのですが、熱意が薄れたかしら。


花火の形もいろいろと工夫されていましたが、やはり昔ながらの花火がきれいでしたね。


パッと咲き、パッと散る花火。
桜と共通点があるのかもしれませんね。


ヤシの木。

ハートや星型もありましたが、煙でうまく写せませんでした。


なかなか色がきれいにでませんが、実物はとてもカラフルでしたよ。


おなじみのニコちゃんマーク。


やはり最後のスターマイン連発がよかったわね。
今年は特にものすごく明るい花火があって、真昼のようになりました。


こちらは花火が終わって、電車で帰る人たち。
駅のプラットホームには人が溢れていました。
みんな、もらいものの団扇をパタパタとしていたので、それが波のようで、とても目立ちました。


駅前の広場では、若者たちの喧騒がいつまでも続いていました。

それでも今回は日曜日開催のせいか、あまり遅くまでたむろしている人たちはいませんでしたが。

来年の花火は、誰と一緒に見ることになるでしょうか。




2014年8月25日月曜日

上方舞@神楽坂

先日、神楽坂で、上方舞というのを初めて観賞してきました。

「上方」という言葉からも分かるように、上方舞というのは、元は大阪や京都などの方で始まったお座敷での舞だそうです。
ちなみに、舞と踊りとは別のもので、踊りには音楽がつきものですが、舞はほんとうに純粋に人間の体の動きが中心のもののようです。

今回は、日本の伝統芸能に興味をお持ちのよーでるさんと一緒に、観賞することにしました。

こちらはよーでるさんの後ろ姿。
すらりとしたスタイルに、白と紫の有松絞がとてもお似合いでした。


始まる前にちょっと腹ごしらえをしました。
「くりこ庵」▼という鯛焼き専門店に入りました。
あんこと抹茶がたっぷりのかき氷。

今年はかき氷をずいぶんと食べましたね。


後ろ側に見えるバスケットの中には、よーでるさんが注文した鯛焼きが入っていました。
冷えないようにという心遣いかしら。

上方舞はうなぎ料理で有名な志満金▼の上にある大広間で行われました。

すごく広くて何畳あったのかしら。


出演は山村流若静紀社中の皆さん。
全部で12名、それにお師匠さんの山村若静紀さんが、それぞれお一人ずつ、舞を舞いました。

私は図々しくも一番前に座ったので、舞う人のお顔の表情や手の先、足の先までじっくりと観察することができました。

常に中腰の姿勢を取り、ぐっと重心を低くした姿勢は、よほどお稽古を積まないとできないことでしょうね。
扇の開き方、目の動きなども、良く分かりました。


出演者の皆さんは6歳の女の子から、日本髪を自前で結った女性、大坂の名取さんまでいらっしゃいましたが、みなさん、とてもお美しい人ばかりでした。
はんなり、という言葉がぴったり。

こういう伝統芸は、年配の方が多いのですが、美しい若い女性が多いのにも驚きました。

こちらは休憩中の一コマ。
お客様もほとんどが着物姿でしたので、とても華やかでした。


舞が終わった後、写真を取らしていただきました。
左がお師匠さんの山村若静紀さん。
なんと3歳の時から踊りをされていらっしゃるそうです。
さすがにはんなりとした美しい舞でした。

右は着物着付け教室の先生としてご活躍のSさん。
まだ舞を初めて3年ほどだそうですが、見事に舞っていらっしゃいました。
秋には名取さんに挑戦するそうです。
素晴らしいですね。


上方舞の中には、三味線で知っている曲もありましたが、ゆったりとしていて、長唄とはまるで雰囲気が違うように感じました。

でも頑張ってお稽古をすることは同じですよね。

私も来月の浴衣会に向けて、頑張らなければ。

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この日の装い。

お上品な舞の会だったので、私も少し大人し目の着物にしました。

名古屋の大須観音で買った藍色の紗の着物。


帯は白い麻の帯。

白と青の模様の入った帯締めを初めて使ってみました。

上方舞では、みなさんの美しい夏着物姿をじっくりと拝見させていただき、美しい姿はやはり美しいボディがあってからこそ、だと痛感しました。
もう少し、身体を絞り込まねば・・・・。







2014年8月24日日曜日

天神通りのお蕎麦屋さん

ローカルな話題ですが、地元のお蕎麦屋さんのご紹介です。

天神通りというのは、駅から天神様(布多天神)につながっている商店街です。

小さなお店がたくさん並んでいます。
食べ物屋さんが多くて、パン屋さん、ふぐ料理屋さん、居酒屋さん、ワイン屋さん、八百屋さんなど、色とりどり。
他にも花屋さん、お医者さん、ドラッグストアなどのお店があります。

ここは水木しげるさんが住んでいるご縁で、ゲゲゲの鬼太郎に出てくる妖怪たちの像が並んでいます。


以前、朝の連続ドラマ「ゲゲゲの女房」が放送されたときには、ずいぶん多くの方がこの妖怪たちを見るためにやってきていました。

この天神通りの中ほどにあるのがこちらのお蕎麦屋さん。
こじんまりとしたお店ですが、生真面目そうな職人さんと、きびきび働く店員さんがいるお店でした。


ランチメニューというのを選びました。

まずはお盆に乗ったご飯のセットが出てきました。
今回はシラスと大根おろし、みょうが、大葉を乗せたご飯。
トリのささみに片栗粉を付けたきゅうりとの和え物。
お漬物。
サラダ。

これをいただいている間に、お蕎麦を茹でているようです。


お蕎麦が出てきました。
角がピンと立ったきれいなお蕎麦でした。
汁のお味もちょうど良い感じ。


そして一番感激したのが、こちらの蕎麦湯。
ドロッとしていて、濃厚なお味でした。
ほんとうにおいしかったわ。


このお店に行くようになったきっかけが面白いのです。
それは「結城」
あの結城紬で有名な茨城県の結城での出会いが、お蕎麦屋さんへと繋がったのです。

実は、ここは、結城で染物体験をしたとき▼、一緒に染色をした若い女性が勤めていたお店なのでした。

結城で、地元の方とお会いできたなんて、驚きでしたが、また再会できて嬉しかったわ。

小柄な彼女に、私の浴衣などを差し上げました。

新しいつながりが生まれると嬉しいものですね。





2014年8月23日土曜日

昨日の手仕事

昨日、作ったのはこちらの腰ひも。



だいぶ前、高幡不動の骨董市で絞りのハギレを買っていたのですが、そのままになっていたもの。
それを4分の一の幅に切って、長さをつないで、腰ひもにしました。

絞りなので使っているうちに伸びてしまうかもしれないけれど、それは気にしないわ。

市販の腰ひもは私には微妙に長すぎて、いつも切って使っているのですが、自分で作ったのはマイサイズなので使いやすいのです。

縫うのはミシンでザーッと縫うので簡単なのですが、袋状になったものを裏返しするのが面倒ですね。

なにか、いい技はないのかしら。


2014年8月22日金曜日

お豆腐料理

広島の豪雨で多くの被害が出ているときに申し訳ないと思うのですが、昨日は、豆腐料理専門店に行きました。

お料理はこちら。


湯葉のお吸い物と、田楽がおいしかったかな。
野菜サラダの下にもお豆腐が隠れていて、さすがお豆腐屋さんですね。

集まった人はみなさん、着物姿でした。
オシャレな夏着物の方もいれば、お召しあり、浴衣あり、と色とりどり。


こういうときって、着物よりも帯に目が行ってしまいます。

それに若い方は、どんなものを着ていても似合うので、若いというそれだけで得点が高くなるような気がします。
年配の方の着物は、高価なものをお召しなのでしょうが、ややもすると野暮ったくなりますね。
姿勢が決め手かしら。

いつまでもピシッと着られるようにしていたいと思います。

私はお気に入りの絽のストライプの着物に、フリル帯。
もちろん、これをぐるりと後ろに回します。


前側は、黒一面では寂しいので、帯の端を折って、水玉が見えるようにしてみました。


慌てていて、帯板を入れるのを忘れました。
外出してから気づいたので、時すでに遅しでした。

最近、グレイの小花模様の半襟がお気に入りです。




2014年8月21日木曜日

「たこの吸い出し」

先日、新聞を目にしていたら、懐かしいものの広告が目に入ってきました。

こちら。

「たこの吸い出し」です。

実は私は子供のころ、皮膚が弱くて、虫に刺されたり、傷がついたりすると、すぐに膿んでしまって、それでこの「たこの吸い出し」にはいつもお世話になっていたのです。

青緑というか緑青色をしたペースト状の塗り薬ですが、よく効きました。

丸い缶に入っていたような記憶があります。

これをつけてガーゼで押さえておくと、翌日には(汚い話ですが)黄色い膿がドバッと出て、それで傷はすっかり治ってしまうのでした。

何でできているのか知りませんが、うちの実家の常備薬でした。

私はこの薬はてっきり富山の置き薬だとばかり思っていたのですが、東京で作っていたものなのですね。

大正2年に発売というから、今から100年以上も前からある薬なんですね。

ちょっと怪しげな薬ですが、まだ販売されていることが分かり、懐かしかったわ。






2014年8月20日水曜日

面白い本 つまらない本

私はいつもだいたい、2、3冊の本を同時進行して読んでいます。

1冊はベッドに置いてあり、寝る前に読むための本です。
お気に入りの本を、腹這いになって読むのが、私の一番好きなスタイルです。

もう1冊は電車で移動するときに、バッグの中に入れて読むための本。
これは人様から見られても恥ずかしくないようなタイトル(笑)で、軽くて薄い本が多いですね。
ほとんど文庫本になります。

あとは自分の机の前で、パラパラとめくって眺めるような大型の本など。

私にとって面白い本、というのは、だいたいが女性作家の手によるもの。
男性の書いた本は、どうも女性の描き方がワンパターンのような気がして、せっかくの面白い話の興がそがれることが多いようです。

最近、読んだ中では、宮尾登美子さんの「伽羅の香」が面白かったですね。
お話の先を知りたくて、どんどんとページを繰っていき、1日半くらいで読み終えてしまいました。


山林王の娘として生まれ、何不自由なく育ったヒロインが、これでもか、これでもかというような不幸に会いながらも、香道の道を極めて行く、というお話。

実在のモデルさんがいらっしゃったようです。
愛する息子に死なれ、娘にも死なれ、夫にも死なれ、尊敬していたおじにはそれまで隠していた不倫の結果に生まれた娘がいて、その娘を養女のようにして育てていながらも、結局は裏切られ、香道を確立するために一緒に行動していた元貴族の男性からも裏切られ・・・。

とまぁ、波乱万丈の女性の一生もの。

こういう本は、ページをどんどんと繰るのが楽しみになります。

反対につまらない本というのは、何回も何回も初めから読み直しても、全然、主人公の姿が見えなくて、結局、途中で投げ出してしまうというものです。

渡辺淳一の「遠き落日」は、いつまでたっても渡辺さんの感想ばかりで、主人公の野口英世がなかなか登場しなくてがっかりしました。もう少し読んだら佳境に入ったのかもしれませんが。


山本一力さんの「くじら組」は、四国のクジラ取りの人の物語ですが、途中でジョン万次郎が登場したり、黒船が登場したりして、そちらのお話は面白いのに、主人公のほうはいっこうに話が見えなくて、これも途中でやめてしまいました。


これら男性作家のものは、それほど期待していなかったし、図書館で借りた本だったので、返却すればそれでおしまいでよかったのです。

ところがお金を出して買ってみても、まるで期待外れだったのが、瀬戸内寂聴さんの「爛」でした。
前にも書いたかもしれませんが、何回となく読み返しても、いつも最初の10ページくらいで投げ出してしまう内容でした。
寂聴さんにしては、ずいぶんとレベルが下がった、と思わずにはいられない本です。


今、ベッドに置いてあるのは辻邦生さんの「西行花伝」。
文庫本にしてはとても分厚くて、重い本です。

この本に辿り着いた経緯はこちら▼


西行を巡るいろいろな人たちの話が語られていて、読み進むうちに西行の人生が見えてくる、という内容です。

毎晩、少しずつ読んでいますが、辻さんってほんとに頭が良い人なんだろうなというのが、率直な感想です。
歴史認識や当時の人々の暮らしの描き方もきちんとしていて、もし私の周りに、こういうことを話してくれる人がいてくれたら、どんなに幸せだろうと、思わずにはいられないほどです。

ただし、話し言葉で書かれているのに、その口調があまりに理路整然とし過ぎていて、「普通の人はこんな話し方はしないよね」とちょっといやみを言いたくなりますが。

西行さんや、私の好きな女院のことを知るには、最高の本だと思います。