2015年12月6日日曜日

「孤高のリアリズム」

高校時代の友人のブログ▼で、スペイン大使館で「孤高のリアリズム」▼という絵画展があるということを知りました。

スペイン大使館は、銘仙展を見に出かけた泉屋博古館▼のすぐお隣なので、銘仙を見た後に寄ってみました。

大使館の中に入ってみたかったというミーハー気分が半分でした。


入室する際にはさすがに荷物検査がありましたが、でもそれほど厳しくはありませんでした。

「孤高」の人は、戸嶋靖昌という人でした。

私は戸嶋靖昌という画家はまるで知りませんでしたが、栃木県出身の方でした。
武蔵野美術大学で学び、卒業後は彫刻科の助手をされていたそうです。
その後、画業に専念するようになり、1970年、三島由紀夫の自決に激しいショックを受け、1974年にスペインに渡りました。
スペインではセビリアやグラナダに滞在して、スペインの風景などを多く描きました。
その後、2000年には日本に帰国して、2006年に亡くなったそうです。
72年の生涯のうち、30年近くをスペインで暮らした方でした。

この方が描いた絵画が100点くらい(彫刻もいくつか展示されていましたが)、どれも黒や焦げ茶の絵の具をたっぷりと使った絵で、何が描かれているのかほとんど理解できませんでした。
何というのでしょうか、ものすごく暗い感じがしました。

17世紀の頃に活躍したベラスケスのような雰囲気もありました。
重い感じでした。

絵を横から眺めたら、絵の具が5センチくらい、こんもりと盛り上がっていました。
すごい迫力で塗った、という感じを受けました。
でも、何が描かれているのかは、分かりませんでした。

画家の心の内側を描いたものなのかもしれませんが、日本画の分かりやすい絵画が好きな私には、ちょっと苦手な分野の絵画でした。

帰るとき、「どれでもお好きな絵葉書を一枚お選びください」と言われましたが、どれも黒っぽいものばかりで、選びようがありませんでした。

それでも選んだのがこちら。
「杜の中で」という作品だそうです。
お土産にはクリアファイルをいただきましたが、これも似た色調のものでした。
これはグラナダを描いたもののようです。

いただいたパンフレットには
「戸嶋靖昌は、ただひとりで生きていた。そして、ただひとりで死んでいったのだ。」
とありました。

たしかに画壇にも属せず、名声も地位もお金も求めない人だったようです。

だからといって、人間は一人では生きられないものだと思います。
いろいろな人と付き合い、その中で関係を持ち、影響を与えたり与えられたりしながら生きているのではないでしょうか。

この絵画展は、NHKテレビの日曜美術館で紹介されたそうです。
そのせいか、多くの人が来ていました。

人間嫌いと思われる戸嶋靖昌さんは、この状況をどんなふうに感じているでしょうね。







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