2019年10月31日木曜日

田辺聖子の本

田辺聖子さんが亡くなって、寂しいことです。

私は、若い頃は、田辺さんの小説をよく読んでいました。
最近はあまり新作を見かけなかったので、ちょっと遠のいていましたが、お亡くなりになってから、また新たな気持ちで手に取るようになりました。

彼女の作品は、現代小説はそれなりに面白いと思いますが、やはり真骨頂は古典を題材にしたものではないでしょうか。

今読んでいるのは、「むかし・あけぼの 小説 枕草子 上下」です。


もちろん清少納言の、かの有名な「枕草子」を元にしたものですが、こちらは海松子(みるこ)という平安時代の女性が主人公で、当時の宮廷や貴族たちの生活がとても良く描かれています。
随筆ともいうべき「枕草子」を小説に仕立てたところなんて、さすが田辺さんです。
ウイットに富んだ美しい定子中宮の元で働く一人の女性の生活と意見が、枕草子調で描かれています。
田辺さんの歴史の知識もとても豊富で、藤原一族の繁栄も良く描かれています。
まだ上巻しか読んでいないのですが、おススメです。

またこちらもおススメ。

「光源氏ものがたり」上中下


分かりやすい現代語に訳されていますが、時々、田辺さんの意見のようなこともちらりと書かれていて、あの「源氏物語」がとても面白く読めます。

難しいと敬遠しがちな古典ですが、「源氏物語」入門としても良いと思います。

ところで、私の住んでいる市の文化会館ですが、エレベーターの扉にはこんな絵が描かれています。


平安の貴族と女房達の姿です。

なんともユーモラスでしょ。


どなたの作か分かりませんが、この楽しい絵を眺めていると、エレベーターがなかなか来なくても、イライラしないで済みますね。



2019年10月30日水曜日

川越ぶらぶら

先日、「狂言ワークショップ」▼に参加した後は、着物友だちのSさんと一緒に、川越の市内を散策しました。
Sさんは川越をよくご存じなので、川越に行く時はいつも案内役をしていただいて、お世話になっています。

たまたま見つけたリサイクル着物屋さんに入りました。
「縁側・ちゃぶ台」▼というお店でした。
最近、開店したそうですが、川越はちょっと来ないと、どんどんお店が変わってしまいますね。
着物姿の女性がお二人で店番をしていましたが、かっこいい銘仙の着物姿でした。

そこで見つけたのが、こちらの博多帯。


未使用で、千円でした。
長さが340センチと短いのですが、私にはちょうどよい長さです。
どんな着物の色にも合いそうですし、浴衣にも使用できそうです。

このお店の品は、だいたいどれも千円から三千円程度のようでした。
ワンコインの品もありましたよ。

その後、ちょっとお茶でもと思い、レトロなカフェに連れて行って下さいましたが、ちょうど看板を下ろしたところで、残念でした。
記念に、写真だけ写してきました。


そして落ち着いたのが、こちらのお店。
「あぶり珈琲」です。


店内には古い雑誌とか、マッチ箱とか、いろいろなものが蒐集されていました。

この日の狂言の話や、着物あれこれ、のんびりとおしゃべりしてきました。


川越ももう少し近いとよいのですが。
それとも、民泊「恵比壽屋」でお泊りしてみようかしらね。

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この日の装い。

まずはSさん。
「川越唐桟」の渋い縦縞のお着物でした。
川越にいらっしゃる時の、定番だそうです。


半巾帯は、私の叔母が使用していたモノ。
うまく使っていただいて、ありがたいですね。
ご自身で染められた素敵な手提げもお似合いでした。

私もちょっと地味に、藍色の単衣着物。


帯は、西浅草の「黒猫亭」で開かれたフリマで頂いてきたもの。
黄色い帯、欲しかったのです。


朝は涼しかったので、羽織を着ていましたが、だんだん陽が差してきて、川越を歩いている時は、もう暑くてたまりませんでした。



2019年10月29日火曜日

狂言ワークショップ@川越古民家

先日、川越の古民家「恵比壽屋」で、狂言のワークショップがありました。
大蔵流の狂言方・野島伸仁さんが、狂言についてのレクチャーをされて、舞を舞ったり、狂言を演じていただき、その後は参加者に笑い方の実技を教えていただきました。

「恵比壽屋」▼は、明治時代に建てられた建物で、昔はお米屋さんだったそうで、室内には精米機などが置いてありました。


現在は、織り工房として、また各種の展示会場などとして、活動の拠点となっているところです。


また川越で一番最初に民泊を始められたところだそうで、なかなか良い雰囲気のところでした。

こちらの絵画は、かつての様子でしょうか。


川越の賑やかな中心地からほんの少し離れただけの場所にありましたが、川を渡っただけで、静かなところでした。

お座敷には、立派な大名行列の屏風がありました。


さて野島さんは黒紋付きに袴姿の凛としたお姿で、まずは狂言入門レクチャーでした。

登場人物の衣装などの説明をされましたが、主人はかならず扇を右手に持つ、家来たち(太郎冠者、次郎冠者)は扇は腰にさす、という決まりがあるということは知りませんでした。

その後、有名な狂言「しびり」と「附子(ぶす)」を演じられました。
狂言は、普通は役者ががそれぞれ2人、3人登場しますが、それを一人で演じられたので、大変だったのではないでしょうか。
体の向きをあちこち変えて、熱演されていました。

こちらは大蔵流に入門すると、必ず習うという「盃」です。



最後に笑い方の練習をしました。
ハーハッハッハーと声を出すのですが、声を段々と上げていきます。
みなさん、笑うと自然に口角も上がり、元気が出てきましたね。
笑うのは身体によいのですね。


私も一緒に高笑いをしました。

ワークショップは和やかに終了しました。
参加されていた方は、みなさん、「あー、面白かった」とおっしゃっていました。

野島さんは、舞台ではちょっと厳しい表情をされていますが、実際はとても素敵なおじ様でした。

2019年10月28日月曜日

季語さがし

「なんちゃって俳句」▼をするようになってから、何が一番大変かというと、「季語」を見つけることです。

俳句はただ五七五の句を作るだけでなく、季語を入れないといけません。

ところが、私はボキャブラリーが少ないので、なかなか季語が思いつきません。
せいぜい「秋の空」とか「秋の風」のように、季節そのものを入れてしまいがちです。

これでは発展性がないと思っていた時、たまたま新聞の文庫紹介欄で、面白そうな文庫が取り上げられていました。

新海均さんという人の「季語うんちく事典」(角川ソフィア文庫)です。
こういうのが手元にあれば、便利だろうと思い、さっそく取り寄せました。


「秋」の季語のページを開けてみました。
秋と言っても、まだほやほやの秋から、中盤、後半とさまざまな季語がありました。

すぐ分かるのもありました。
たとえば「秋刀魚」、「柿」、「紅葉」などは、誰でも秋だと思いますね。

ところが意外なのことに、「七夕」や「朝顔」も秋なのです。
7月、8月は秋になるわけでしょうかね。

またどうして秋なのか分からないのが、「鶏頭」とか「唐辛子」など。

なかなか難しいものです。

「相撲」、「子規忌」、「牛蒡」も秋なんだそうですよ。

もちろん、この文庫には、他の季節もいろいろと掲載されています。

そして書籍ではないのですが、インターネットでも季語が検索できるのもあります。
「きごさい季語歳」▼は時々眺めています。

季語も大事ですけど、このところ日本の季節は冬と梅雨、夏の三季しかないのでは、と思ったりしています。
こんなふうに季節の境目がはっきりとしなくなった時代に、昔ながらのルールを守るのは難しそうですね。
芭蕉さんが生きていた時代とは、季節感もかなり変わってきていると思います。


2019年10月27日日曜日

「善之会」~親子・兄弟共演~

このところ、関東や東北地方には次々と台風や低気圧がやってきて、各地に大雨の被害をもたらしています。
先日も、朝からものすごい豪雨で、窓から外を眺めていても、景色が分からないほどでした。

その日は、夕方から狂言を見に行く予定にしていましたが、あまりにひどい雨なので、着物は諦めて、洋服で行こうかと考えていました。
ところが私は外出着になるような洋服の持ち合わせがなく、ジーンズではまずいだろうな、と雨を眺めながらため息をついていました。
テレビでは、千葉県の豪雨が放映されていて、川の氾濫やダムの放水予定が放映されていました。

ところが夕方になると、雨は小降りになり、なんとか着物でも外出できそうな様子になりました。

そして矢来能楽堂に着いた頃は、ほとんど雨は止んでいたのです。


こちらの能楽堂は、外見はごく普通の日本家屋です。
入り口には下のようなお知らせが出ていましたが、それがなければ、能楽堂とは思えないようなところです。


この日は、善竹大二郎さんの「善之会」▼でした。


大二郎さんのご挨拶によれば、今回の狂言は、どれも親子や兄弟、はとこなどで演じられているとのこと。
やはり狂言の世界は、血のつながりが強いのですね。

とくにその関係を強く感じたのは、大二郎さんが、お父上様の十郎さんと演じられた「二人袴」でした。
このお話は、父親と息子が登場するのですが、その親子を本物の親子が演じていたのです。

父親が、ダメ息子に袴を穿かせる場面は、何だかジーンときました。
袴の穿き方も分からない息子は、幼児のように、ただ茫然と立っているだけ。
父親は跪いて、袴の紐を息子のお腹から背中に回して括り付けて、ぐっと結びます。
それを何回も繰り返す場面がありました。

パンフレットによれば、大二郎さんの舞台デビューは、5才とのこと。
その頃は、きっとこの役のように、衣装を付けるときはただ立っていただけだったでしょうね。
私の勝手な想像では、お父上様も、「二人袴」の父親のようにして、幼い息子に衣装を付けてあげたことでしょう。

現在は息子さんも大きくなって、演技の上で穿かせられるだけですが、そこに親子の情を感じました。

「二人袴」以外は、兄弟同士で演じた「棒縛」も、「抜殻」もとても面白かったです。
ゲラゲラと笑えました。
「棒縛」は棒を突く場面は迫力があり、舞台が狭く感じられました。
「抜殻」では、鬼の面が使われましたが、能の鬼とは違って、ほのぼのした面構えでした。

3つとも、お酒をたっぷりと飲んで、酔っぱらうお話でした。


狂言は最近見るようになったのですが、役者さんの着物を見るのも楽しみですね。
蕪や筍などの絵が描かれている上着(?)や、蝶々の模様の袴は可愛らしかったです。
またお父上や舅さんが着ていらっしゃった地味な色合いの横縞の着物は、とても素敵でした。
私も、もうちょっとおばあちゃんになったら、あのような茶色の着物を着てみたいと思いました。

着物でいらっしゃった方も何人かいらっしゃり、私も雨の上がるのを待って着物にして良かったと思いました。

今回は一番安い席(自由席)を申し込んだのですが、それがかえって良い結果となりました。
高い席(指定席)は満席でしたが、安い席もそこの席とほとんど変わらない場所なのに空いていて、ゆうゆうと座って見ることができたのは、ラッキーでした。

狂言が終わった時には、外はすっかりと雨が上がり、気持ちよく駅まで歩きました。

そしてこの日も、大江戸線のシルバーパスを利用して出かけたのでした。

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この日の装い。

今シーズン初の袷着物です。
とはいえ、雨の日対策用のシルジェリー。
なでしこ柄が気に入っています。


帯は叔母の遺品。
緑と黄色の両面が使える便利な帯です。


これに薄手の羽織を着ましたが、電車の中では暑く感じました。




2019年10月26日土曜日

乃南アサ「涙」上・下

私は若い頃、推理小説ばかり読んでいた時期がありました。
松本清張、森村誠一、夏樹静子、宮部みゆきなどなど。

最近は時代小説を読むことが多いのですが、久しぶりに乃南アサさんの推理小説(といえるかどうか?)を手にしてみました。

「涙」上・下巻です。


山の手のお嬢さん育ちの萄子は、ふとしたことで知り合った警察官の勝と付き合いはじめ、順調に交際をすすめて、ようやく結婚式まで間近となりました。
ところがある事件を境にして、彼は失踪してしまう。
その彼を求めて、萄子の追跡が始まります。

熱海、郡山、田川、宮古島。
日本各地、彼の姿を追いかけます。

実は、勝の失踪は、彼の上司の娘が乱暴された上に殺された、という事件が絡んでいました。
萄子は勝を見つけて、元通り幸せになれるでしょうか。

こんなストーリーですが、物語よりも面白かったのは、その時代背景です。

事件が起きたのは、昭和39年、東京オリンピックが始まる前のことでした。
当時の風俗や、流行歌、事件がとてもよく描かれていて、あの頃に戻ったような気分に浸れました。
池田首相が病いのため、佐藤栄作が首相になりました。
新潟地震が起こり、新幹線が初めて走ったのも、ケネディが暗殺されたのもあの頃でした。
美空ひばりが小林旭と離婚したり、金田正一がジャイアンツに入団したのもあの頃だったそうです。
佐田啓二が亡くなったり、「アンコ椿は恋の花」が流行ったのも、この頃だったそうです。
翌年には北ベトナム爆撃が始まり、吉展ちゃん事件が解決し、「11PM」がスタートしたそうです。
そして沖縄に行くためには、パスポートが必要な時代でした。
そういう時代背景が、小説のあちこちに散りばめられています。

ちょうど私が中学3年から高校1年の時です。

懐かしさでいっぱいになって、どんどんと読み進みました。

また萄子が出かけた先も、熱海や宮古島など、最近、私も行ったところが多く、ほんとうに細部までよく描けていると思いました。

小説の後半になると、警察官の娘が殺された理由や、勝が逃亡を続けていた理由が中心になりますが、そのあたりはちょっと推理小説としては弱いかな、とも思いました。
しかし、宮古島での猛烈な台風の中での二人の再会は、今年の台風のひどさを思い出されるほどの場面で、迫力がありました。

婚約者の無実を信じたヒロインは、今は幸せな主婦となりました。

この小説、映画化されたら、とても面白そうだと思いました。

乃南さんの一番の小説と言えば、やはり「凍える牙」ですが、この「涙」もとても面白い作品だと思います。
ただし、タイトルがイマイチですね。
わざとダサいタイトルにしたのかしら、とも勘ぐってしまいました。


2019年10月25日金曜日

ピアノリサイタル「ミクロ・マクロ」

先日、地元のホールで、森下唯さんのピアノリサイタルを聞きました。
森下さんは「ピアニート公爵」と呼ばれているそうす。


実はこの方は、私の友人のご子息なのです。
それで友人にチケットをお願いしたところ、とてもよい席を取っていただきました。
ピアニストの指が、目の前にどーんと見える席でした。



リサイタルは三部になっていました。

最初はベートーベンの曲。
「6つのバガテル」というピアノ曲でしたが、「バガテル」というのは、なんと「つまらないもの」という意味なんだそうです。
といっても、とても優しい雰囲気の小品でした。
ベートーベンもこういう曲を作っていたのね、という驚きもありました。

その後は、アルカンという「超難曲」ばかりを作る作曲家の曲でした。
アルカンは1813年~1888年まで生きたフランスのロマン派の作曲家・ピアニストです。
「エスキス48のモチーフ」という作品で、短い曲ばかりでしたが、とても聞きごたえのあるものでした。
目の前で、鍵盤の上を上下左右に自由に踊る指を眺めていましたが、その技術に圧倒されました。

休憩の後は、またベートーベンのピアノソナタでした。
「ハンマークラーヴィア」というタイトルの曲でした。

最後まで息をつく暇もないほど、素晴らしい演奏でした。
なんといって説明したらよいか分からないほど、超絶技巧の技を見せていただきました。

あの難しい曲を、音符も見ずに弾くのです。
驚異の暗譜力ですね。
いったいどうやって覚えるのでしょうか。

客席からは拍手の波が押し寄せていました。
そして2回もアンコールに応えていただきました。


ちなみにこのピアノリサイタルは「ミクロ・マクロ」というものでしたが、どういう意味を持つのでしょうね。

地元での演奏会でしたので、知ったお顔の方も何人かいらっしゃり、嬉しくなりました。

森下さんの演奏をまた聞いてみたいので、今度は12月のクリスマスバージョンのコンサートを申し込みました。


楽しみにしています。

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この日の装い。

午前中は雨でしたが、次第に止んできました。

それでもまた雨が降るとまずいと思って、ポリエステル着物にしました。
単衣ですが、厚手なので、寒くはありませんでした。


帯は、日本橋きもの倶楽部でいただいてきた、ちょっと落ち着いた雰囲気のものです。


先日、着物の組み合わせを間違えて▼がっくりしたので、今回は全体を青と白と黒にまとめて、すっきりとさせました。

2019年10月24日木曜日

台風10日後の多摩川

我が家は多摩川から400メートルほど離れたところにあります。
先日の19号台風で大きな被害を受けた二子玉川とは違う地域ですが、やはりこちらでも被害がありました。
川の近くに住んでいる知人たちは、マンション住まいであっても、近くの避難所へ避難したという地域です。

台風が過ぎ去って、10日経ったとき、遊歩道を歩いてみました。
ここは自転車を乗る人や、犬の散歩をする人で、いつも賑わっているところです。
(夕方でしたので、写真が暗くてすいません。)

まだこんな大木が倒れたままになっていました。
根こそぎです。
上流から流れてきたのでしょうか。


後に見えるのは、京王線の高架です。
流木の山が、あちこちに山のように見えます。


ここは堰のあるところです。
いつもは美しい水が流れていますが、茶色に濁った色になってしまいました。
こちらのフェンスは、以前はちゃんと全部ありましたが、この部分はどこかへ飛んでいってしまったのでしょうか。
ロープが張ってありました。


この近くの一軒家に住んでいらっしゃる方は、台風の時はさぞ怖かっただろうと思いました。
目の前に水が迫ってくるのですから。

多くの樹木が流れ着いています。
当分の間、片付けられることはないでしょうね。


美しかった遊歩道は、今やごみばかりです。
ペットボトルがたくさん流れ着いていました。
歩くたびに、ため息が出てきます。

白い鳥(鷺?)は、なんの屈託もなさそうに、水辺で遊んでいました。


もう夕闇が迫ってきたので、家に戻ることにしました。
マラソンの練習をしている人は、よく出会います。


千曲川や阿武隈川など、もっと災害の大きかった川もたくさんあります。
災害ごみを片付けるには、2年かかるとニュースで聞きました。

自然の恐ろしさを痛感した多摩川でした。



2019年10月23日水曜日

「おかえり美しき明治」

先日、「おかえり美しき明治」▼という絵画展に行ってきました。


場所はお隣の府中市立美術館です。

ここは広い公園の中に位置しています。
「府中の森公園」の一角です。


実は、見る前は、それほど期待していませんでしたが、とても良かったです。
なんというか清々しい気分になれました。


とにかく明治時代のたくさんの絵画があり、驚きました。
昔の日本人も、こんなに絵画に親しんでいたのですね。


水彩画、油絵、クレヨン画などいろいろありました。

明治初期の笠木治郎吉(1870年~1921年)という人は、浮世絵で有名な月岡芳年の弟子だったそうですが、アメリカに渡り、帰国して水彩画に取り組むようになったそうです。
この人は「幻の画家」と呼ばれているそうですが、暖かさを感じさせる絵を描いていました。

また鹿子木孟郎(1874年~1941年)という人は、フランスに渡り、その後多くの肖像画などを描いていました。

この頃は日本には大勢の外国人の画家もやってきました。
こちらの展覧会では、明治期に来日した外国人画家13人の絵画が紹介されていました。

中でもイギリスのチャールズ・ワーグマンという人は、新聞記者だったそうですが、横浜に住み、日本人女性と結婚して、和と洋の両方の良さを引き出した画家でもあるそうです。
あの有名な「生麦事件」の挿絵まで書いていて驚きました。

またフェノロサの来日もあり、美術学校もできたりして、だんだんと洋画の世界も広がっていったようです。

イギリス人のアルフレッド・パーソンズという人は美しい花の絵を描いていました。
メンぺスという人はとても日本ファンだったようです。

彼らは東京だけでなく、京都や日光、箱根、そして富士山などにも旅行をして、各地で多くの風景画を残しました。
明治の風景はとても美しかったのですね。
そして日本の画家にも多くの影響を及ぼしたことだろうと思います。


そしてなんといってもすごいと思ったのは、徳川15代将軍慶喜の風景画でした。
彼は駿府に移ってからは趣味に生きたと言われていますが、まさかこんなすごい絵まで描いているとは驚きでした。

私が一番興味を引いたのは、多くの絵画の中に、三味線を弾く女性の姿がたくさん描かれていたことです。
当時の日本女性は、三味線を日常的に弾く人が多かったのかもしれませんね。

とても有意義な展覧会でした。


おまけにこちらは京王のパスポートを持っていると、2割引きで入館できるのです。
また府中駅からのバスはシルバーパスを利用して、安上がりでした。

府中駅では、ラグビーの立派なオブジェがありました。


府中はラグビーの町なんだそうです。

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この日の装い。

こっくりとした赤い色の紬です。
ワイン色というかぶどう色というか。


実はこの着物は、着物を着始めて3枚目に購入したものです。
新宿の京王デパートの中に入っている「ながもち屋」さんという委託販売のお店です。
私が着物を着るようになったのも、こちらのお店のおかげです。


帯は、以前、護国寺の骨董市で見つけたウールの帯。
たれ先がフリンジになっていて、レトロな感じです。
なんと百円でした。


2019年10月22日火曜日

リベンジ着物

先日、「明日は26度になるでしょう」という天気予報がありました。

それを信じて、翌日の着物のコーディネートを考えました。
トンボの絵柄の青い半襟を、今シーズン最後にどうしても付けてみたいと思ったのです。
そしてその紺色の半襟に合わせて、薄手の白っぽい米沢紬の単衣と、青の博多帯風の名古屋帯を用意しておきました。
全体が白と青のツートーンで、ちょっと涼しげな雰囲気にするつもりでした。

ところがその日の朝になって、その着物を着てみると、どうもスースーして肌寒いのです。
おまけに色も寒そうに見えました。
天気予報も「曇りがちで22度くらいでしょう」と変化していました。

あまり寒そうに見えるのもまずいと思って、ちょっと地の厚い縦縞の青緑の紬に変えました。
となると用意していた青い帯も合わなくなりました。
それで、パッと思いついて、いろいろな色の混じったポップな帯にしてみました。

その組み合わせがこちらなのですが、どうも落ち着きません。
(おまけに折りジワがついていて、みっともない)


おまけに3割増しのデブに見えます。
でももうこれ以上、着替えるのは面倒になり、そのまま外出してしまいました。


ところが、変な組み合わせで着ていたので、一日中、落ち着かず、早く脱ぎたいと思うばかり。
家に戻ってサッサと脱ぎました。

さて、この着物姿をfacebookにアップしたところ、着物友だちのSさんがするどい指摘をされました。
「なんかおかしいと思ったら、半襟を着物と同系統に合わせると落ち着く」というのです。

そうなんですよね、紺色の半襟を使ったがために、そこだけ妙に浮いて目立ってしまっていました。

ということで、もう一度リベンジすることにしました。

半襟は白(淡いベージュ)にして、帯も白地の染め模様のものにしました。

少しはすっきり見えるでしょうか。


 帯揚げと帯締めは、前と同じです。


半襟は大事だと、つくづく思いましたね。

そして学習したこと。
私には多色づかいのコーディネートは似合わない。
ポップな模様もあまり似合わない。

着物や帯に使用する色は、せいぜい3色ほどにまとめるのが、私の場合、少しでもすっきりと見えるコツかもしれません。

派手派手なのが似合う人が羨ましいです。