2020年7月2日木曜日

「紫式部の暗号」

今日の読書案内は、「紫式部の暗号」
サブタイトルは「源氏物語の裏ポイントは気象」となっています。


これは、女子アナウンサーの草分け的存在で、その後、気象予報士として活躍されている石井和子さんという方が書いた、源氏物語を気象学的に解説した本です。

源氏物語と言えば、たとえば和歌から解説したり、恋のお相手の女性をタイプ別に解説したり、あるいは京都観光に関わって解説したりと、いろいろな解説本がありましすが、これはなんと天気予報繋がりなので、びっくりして手にしてみました。

この方は国文学者の野口元大先生に教えを乞い、古文の勉強を始めたそうで、なかなかの努力型の人のようです。

京都という地理学的考察はもちろんのこと、千年前の気候変動など学術的にも興味深いものでした。

光源氏が男友達と女性談議「雨夜の品定め」をした時の天気、
朧月夜と出会った夜の天気、
まだ少女の紫の上と初めて出会った霞の時の天気、
野分や雪の場面など、
源氏物語を少しでも読んだことのある人なら、「へー、そうなんだ」「あれはこういうお天気の時の話だったんだ」「なるほどね」、と思うところがたくさんあるはずです。

「紫式部は平安時代の気象予報士だった」というのが愉快ですね。

そして著者の結論としては、「紫式部は自然の微妙な変化にも心を寄せていて、すごい天才だった」ということでしょうか。

なかなか面白いところに目をつけた本だと思いました。

実はまだ最後まできちんと読み終えていないのですが、千年前の都の四季折々が丁寧につづられている本です。

コンピュータによる現代の天気予報と、千年前の紫式部の天気についての表現が一致したというのはすごいですね。

ただしひと言付け加えるならば、「暗号」というタイトルはどうかしら。
別に秘密ではないので、暗号は大げさだと感じました。

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「一日一句」

千年の時を越えた豪雨予報


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