2008年1月31日木曜日

脳科学のお勉強 5


脳研究の最前線 講談社ブルーバックス

第5章 脳はどのように認知するか

この章は今までで一番、難しかったわ。
著者の田中啓治先生と言う方はロマンスグレーの素敵なソフトな感じの先生なのだけど、中身は硬いのよ。

この章にはいろんな図解がでているのだけど、その絵がどんな意味を持つか、と考えているだけで時間がたってしまうの。
とはいえ、少しは分かるところだけでも書いてみましょう。

脳がものを認知するシステムというのは、ずばり言うと、「情報の分離と統合を繰り返す情報処理の積み上げ」だというの。
それって分かったような分からないような説明なんだけど、ある情報が頭の中に入ってくると、それはどんな形をしているか、どんな色をしているか、どんな臭いをしているのかを分析して、そういうことなら、それはこれに違いない、と判断することなのかしら。


田中先生は具体的な知覚の説明として、視覚を取り上げています。
今までの章にも視覚のことはいろいろ取り上げられているのだけど、それだけ研究の対象になりやすいのでしょうね。
それに「目は口ほどにものを言い」とも言われたり、「百聞は一見にしかず」とか言われるように、見ることから得られる情報というのはすごく多いのよね。

また、「目は脳の出先機関」と言われるほど、目と脳は結びつきが強いし、脳の中で視覚に関係する場所は多いらしいの。

こういう文章を読むとね、私は自分の目が見える、ということにとても深く感謝をしなければ、と思うのです。
私の知人に大人になってから視覚を失った方がいるのだけど、その人の苦労を見ていると、本当に大変だと思うのです。
私はたとえ耳が聞こえなくなっても、口がきけなくなっても、それはそれで大いに悩み、悲しむだろうけど、目が見えなくなることの恐怖に比べたらまだ耐えられるかもしれない。
だって視覚が失われたら読書も映画もできないし、人の顔も判別できなくなるのですもの。

ちょっと話がずれてしまいましたが、ものが見えるというのは、目から入った情報が網膜で像を結び、そこで電気信号になって神経細胞を伝わって脳まで届き、そして脳の視覚を司るところで「見る」ということになるのですね。
つまりいくら網膜に像が写っていても、脳が働かないと、ものとして見えないということ。

その網膜には神経節細胞、アマクリン細胞、双極細胞とかあれこれ難しい名前の細胞が層になっているそうです。
このあたりの説明はちょいと難しいのでパスしますね。


ひとつだけ大切なこと。
それは二つある目のうち、右側の目に入った情報は脳の中では左半球のほうに反映され、反対に左側の目の情報は右半球の脳に反映される、ということ。
つまり鼻の後ろ辺りで像が交差しているらしいの。

この最初に情報が届くところが第一視覚野というところなのだけど、脳にはこれ以外にもあちこちに視覚の働きをするところがあるとのこと。
そこではもっと高次の働きをしているそうです。
そのことは「脳科学のお勉強 1」にも書いたので、そこを見てね。

そういうふうに情報がいろいろと判断されるのだけど、それでは情報はばらばらよね。だからこんどはそれを統合しなくてはならないわけね。
つまりどんな色であるとか、どんな形であるかを総合的に判断するのよね。

田中先生はこの後で、いろんな実験の成果を書いています。

たとえば、被験者に、人間、動物(サルや鳥など)、生き物でないもの(車とか)1000個のものをばらばらに見せて、それがどの細胞に対応して反応したかの実験をしたそうです。
すると、顔に反応するところ、動物に反応するところ、非動物というカテゴリーに分類されるそうです。

そういえばね、私はかつてアフリカに住んでいたのだけど、アフリカに着いた当初は周りの人はみんな同じ黒人に見えたのよ。
それが時間がたつにつれて、同じアフリカの人も種族によって顔が違うこと、同じ種族によってもハンサムな人とそうでない人が分かるようになってきたの。
これって、アフリカ人の中でも、カテゴリー化ができてきた証拠なんでしょうね。

たとえば日本人と韓国人の違いって、私たちならなんとなく分かるのだけど、スウェーデン人とフィンランド人の違いは分からないわね。
でもスウェーデン人なら違いが分かると思うのよ。
そんなふうに接触する時間が長くなると違いが分かってくるのよね。


田中先生は視覚の話の次は、「注意」ということにも触れています。

その中でも有名なのがパーティ効果ということ。
これはよくある話で、どんなにざわざわとしているパーティ会場にいても、自分に関係のある話題だと、ちゃんと話が聞こえるのよね。
これがパーティ効果というそうなんだけど、とくに自分の名前が聞こえてくると、そのときだけ耳がそっちに行ってしまうことって、よくありますよね。

そういう注意が頭の中のどの部分に関係があるのか、ということも研究されているそうよ。

ふー、この章は専門用語が多くて、ちょいと難しくて、私にはお手上げでした。

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