2008年3月5日水曜日

桃尻調


私の出身高校の有名同窓生といえば、詩人の谷川俊太郎、アニメの宮崎監督、タレントのイッセー尾形、そして橋本治さんということになっているみたいね。

今の若い人には橋本治と聞いても、誰? ということかもしれないわね。
でも、一昔前、いやふた昔前の東大闘争盛んな時は、そりゃー、人気者だったのよ。

「とめてくれるなおっかさん、背中の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く」という名コピーで、がーんと登場した人なの。

今の橋本さんの肩書きは小説家だと思うけれど、イラストレーターとしても一流、編み物も上手、なんとなくフェミニストっぽい人です。

その彼の書いた「桃尻語訳 枕草子」を、このところずっと読んでいます。

すごく軽い調子だからスイスイ読めるのかと思ったら、これが大違いなのよ。

原本を桃尻調に訳しているだけでなく、その後に橋本さんが清少納言になったつもりで、いろいろと注釈を書いているの。

こっちのほうが断然、面白いともいえるわ。

清少納言さんが、私たち現代人に、平安時代の衣食住すべてについてを詳しく解説しているの。

どんな衣装(十二単や男性の直衣など)を着ていたか、どんな食べ物を食べていたか、どんなところに住んでいたかとか、ややこしい人間関係を図解入りで説明してくれているのよ。

たとえばさ、十二単はものすごく重たかったから、当時の貴族の女の人は立っていられなくて、はいはいをするようなかっこをしていたとか、部屋の中は電気なんか無いからかなり暗かったとか・・・。寝殿造りの配置図などもばっちりよ。

そうね、清少納言さんって、実際にそばにいたら、かなりイヤミなお局さまだと思うのだけど、でもずけずけモノを言ってしまったり、あふれる教養をかくさずにいたりするから、愛すべき人物だったかもしれないわね。

そんなこんなで、わたしもすっかり桃尻調が移ってしまったの。

橋本さんの長いあとがきによれば、「いとをかし」は、「もんのすごく素敵」だし、「あはれ」は「ジーンとくる」というように統一して訳したそうよ。

文法面で言えば、「こそ~已然形」は「~っていうのは、ホント、~なのよねェ」というように訳したんですって。

それにすごいのは、こういう古文から現代語(桃尻語)への翻訳の作業を最低3回はしたそうで、ホント、橋本さんはこの作品に手間隙かけているのよねェ。

そして同窓生としてハッと思ったのは、「高校のときの古文はまるで面白くなかった」という部分。

橋本さんはどの先生に習ったのかしら? なんて、想像してしまうわ。

でも彼は東大の国文科では鶴屋南北や歌舞伎を専攻したそうだから、高校のとき古典の時間も多少は好きだったのだろうな、と思うわ。

うーん、当分、この桃尻調は抜けそうもないわね。

今日の写真は私が勤めている大学の正門前のお庭。
梅がすんごくきれいよ。

4 件のコメント:

  1. 匿名3/06/2008

    宮崎駿監督や橋本氏と同窓とはすごいですね.桃尻版,前から気になっていたのですが,読んでみようかと思います.

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  2. あんまり有名人はいないんですけど、宮崎さんや橋本さんと同じところで学んだというのは、ちょっぴり誇りかな?

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  3. 匿名3/07/2008

    写真のところは、駅前に行くときには、必ず通りますよ。
    もう、何年(?ン十年?)楽しませてもらっているかしら。
    少し手前の植え込みのところも、いつもお花がきれいですよね。今はパンジー(かな?)、もう少ししたらチューリップですね。

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  4. マサさん、あの庭の花は市民の方がボランティアで植えているようですよ。パンジーとかきれいですよね。
    来週は入試があるので、お気をつけください。通行禁止になります。

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