2008年6月5日木曜日

最新脳科学



京都で遊んだ後は、今日は最新の脳科学の講演を聞いてきたの。

情報学研究所というところ(竹橋)で開かれているオープンハウスで、基調講演をお聞きしました。

講演をされたのは、私が仕事でもお世話になっている先生。

50歳代の脂が乗り切っている先生で、とにかく素敵な方なのです。

おまけにねこちゃんがお好きな先生らしく、PCのデスクトップもねこちゃんでした。
こういうところも、ちゃーんとチェックしているのよ。

講演のテーマは「脳科学の社会へのインパクト」。

そうね、この講演の対象は、脳科学を研究している専門家と、私のように脳科学にはずぶの素人の中間だったかな。

お話は1時間だったのだけど、その間になんと60枚のスライドを用意されていたの。
だからけっこうお話が駆け足なの。

もう少しじっくりお話が聞けたらよかったのだけど、多分、分かっている人には分かっているお話だから、飛ばされたのだと思うけどね。


そうね、かいつまんで話すと、今まで「脳科学」というと、生物を学んでいる人や医学を学んでいる人がする学問、という傾向があったのだけど、いまや脳科学は社会とは切っても切れない関係がある、というのが大きなテーマでした。

脳というと、身体の一部ではあるのだけれど、普通の人間は見たことがないでしょ。
だから何となくイメージしにくいのかもしれないけれど、現代では二つの方面から脳についてのアプローチがあるというお話でした。


一つは「脳を読む」。
そう、脳の中身を読み出しちゃうのよ。
どんなことを考えているかとか、そういうことかな。
先生は「マインドリーディング」という言葉を使われていたわ。

その中でも、現代の社会に応用されているのは、
・ニューロゲノミクス
 これは、人がたとえば「こわがりであるか、そうでないか」などという性格の違いを遺伝子型による脳活動のパターンによって説明できるそうよ。

・ニューロエコノミクス
 たとえば人がコーラを飲むときに、「これはコカコーラです」とブランドを教えられて飲むときと、そうでないときでは、脳の活動が違うんですって。そういう脳の活動を解明することによって、ブランドの戦略をすることなどで、マーケティングに応用されているそうよ。

この話の中で面白かったのは、ビールについてのお話。

冷えたビールを飲めばおいしいと感じるときの脳は、その中心部での活動が大きいんですって。
これを「キリギリス」型と呼ぶことにすると、反対に「ビールを飲むと、太ってしまいメタボになるからあきらめよう」と考えるときは、脳の周辺部での活動が大きいそうで、これを「アリ」型と呼んでいるそうです。

専門用語では、「報酬系」と「認知系」と言うそうよ。

うーん、私はキリギリス型の脳なのかしら、と思ったわ。

・ニューロポリティクス
たとえば共和党支持者と民主党支持者の脳の活動パターンを調べて、政治に応用すること。

こんなにいろいろ脳科学の応用があるのね。


もう一つは「脳を繋ぐ」という分野で、つまり脳とITを繋ぐということのようです。

「脳を読む」にしても、「脳を繋ぐ」にしても、脳を扱うわけだから簡単にはできないわよね。
だから脳と倫理学とを考える新しい学問が必要になっている、というお話でした。


それからね、「神経最適化」という話も面白かったの。

たとえば、ある車メーカーが「富士山をイメージした新車」を作ろうと計画するでしょ。
そのときは、まず被験者に富士山の写真の絵を見てもらって、そのときに活動する脳の動きをパターンにとって、それをテンプレートとするんですって。

そして次々に新しいデザインの車を見せて、そのとき、どんな脳活動があるかを調べるらしいの。

そしてその活動とさっきの富士山を見たときのテンプレートにどんな違いがあるかを見極めて、なるべくテンプレートに近い脳活動が起こるような新車のデザインをするんですって。

へー、のお話でした。


こういう個々のお話をされていたのだけど、中心となるキーワードは「ブレイン・マシン・インターフェース」です。この用語、大切だから覚えておきましょう。

つまり耳の不自由な人や、脳卒中で半身不随となった人のために、脳の感覚などを人工的に作り出して、耳が聞こえるようにしたり、意思で身体を動かせるようにするというもの。つまりリハビリに役立つようなものを実用化したいそうです。
アメリカではかなり実用化されているそうです。

その中でよく話題になっているのが、脳に電極を突き刺して、その剣山のようなものから脳活動を取り出して、患者さんがパソコン上でメールを読んだり、インターネットができるようになったというもの。
ただし、これはかなり装置が大変だし、お金もかかりそうなので、先生はもっと軽量で身体を傷つけないような装置を考えているそうです。

そのために文部省や総務省などでは10億円規模の共同研究をしているそうよ。
それだけお金をかけるのなら、みんなに受益がある研究を進めてもらいたいわね。

それからこれは今までにも何回か映像を見たのだけど、アメリカにいるサルが歩いていて、そのサルの脳活動をインターネットで日本に送ると、日本にいる二足歩行ロボットが同じように歩き出す、という実験があるのよ。

またホンダが研究しているのが「じゃんけんロボット」。
人間が実験室の中で、グー、チョキ、パーを出すと、数秒後にはロボットも同じグー、チョキ、パーを出すの。

こういう実験を見ると、ふーん、すごいなと思うのだけど、どういう応用がされるのかしらね。


ただし、これから必要なのは、そういった実験方法の組み合わせや、小さくて簡単にできる装置の開発、理論と実験データの因果関係を調べたり、ものすごく道は大変そうだなと思ったわ。

でもそれだけのものが社会から要請されているのよね。

今の世の中、うつ病になったり、心の病気になる人も多いでしょ。
そういうことも、脳神経科学の発達によって、少しでも解明されるといいじゃない?

そのためには脳科学を学ぶ人たちも、専門領域だけにとどまるのでなく、もっと広く人間のことや社会のこと、教育のこと、経済のことも学ぶ必要があるのでしょうね。

2 件のコメント:

  1. 匿名6/06/2008

    あたしもキリギリスです!(笑)
    脳を操作することで、出来なかったことが出来るようになる・・・
    障害や病気をお持ちの方には画期的ですね。
    日本では承認されるまで時間がかかりそうですけど、これもお金のあるひとは、アメリカに行って治療を受けるのでしょうね。
    脳ひとつでこれだけ判ってしまうなら、被験者にはなりたくないなぁ。
    下らないことばっかり出て来そうですもん(笑)

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  2. たしかに何を考えているのかが分かっちゃうのはコワいわよね。
    史aya子さんもキリギリス派なのね。
    私もなかなかアリさんにはなれないかな。

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