2009年6月24日水曜日

雨の日は美術館

今日は朝から本格的な雨降り。
せっかくの休日なので、美術館に行きたかったのです。
それで雨に濡れずに行ける美術館、ということで東京駅の国際フォーラムにある「相田みつを美術館」に行ってきました。

これまでフォーラムに行くたびに、この美術館が気になっていたんですけれど、どうもあの「下手うま字」がわざとらしくて好きになれなくて、敬遠していたのです。それに人生訓を垂れるような、あの詩もあまり好きじゃなかったの。

でもね、見てきたら、その考えが変わりました。

というのは、相田みつをという人は、中学・高校の頃から書道に目覚め、十代のころはみごとな楷書の書を書く正統派の書道家だったのです。その頃の作品も展示してありました。中国の詩を書いたものや、般若心境もありました。若い頃からいろいろな賞も受賞していたそうです。

それがだんだん、そういう世界に嫌気がさして、自分なりの書体に没頭して行ったようです。

たったひとつの文字を書くのに、気に入ったものが書けるまで200枚もの半紙を使っていたとか。

書道をしているビデオもありましたが、半紙の山の中に座って書いていました。とてもハンサムでりりしいお顔立ちの方でした。


相田さんという人は大正13年足利市生まれということで、私の母と同年齢です。(67歳でお亡くなりになっています。)
お兄さんが二人いたそうですが、二人とも戦地で亡くなり、それが彼の若い感受性に影響を及ぼしたようです。

またこの人は詩人としても優れていて、素直な詩をたくさん書いていました。
やはり十代のころに、短歌をしっかりと勉強していたようです。
人間のおおらかさ、命の大切さ、親子関係などをつづった詩がたくさん展示してありました。

でもね、単なる書家・詩人なのに、どうして東京のど真ん中の一等地に美術館が建てられるのかしら?
すごく立派な美術館です。

そのあたり、ちょっと疑問の人ですね。
お店には色紙とか書籍がたくさん売っていましたが、きっと商売が上手なんでしょうね。

◆◆◆◆◆◆

今日の日にぴったりの詩がありました。

  雨の日には
  雨の中を
  風の日には
  風の中を

これって、逆らわずに生きていく、ということなのかしら。
なんだか、いいなと思って、絵葉書を買ってしまいました。

もうひとつ、「時」というのも気に入りました。
あまり教訓らしさがなくて、自然な気持ちを歌ったような詩です。

  あなたを待つ
  時間の長いこと
  あなたといる
  時間の短いこと
  
  計れば
  同じ時間
  なのに

なんとなくいいな、と思いました。

◆◆◆◆◆◆

雨が降っていたので、駅直結の濡れない美術館に行ったのに、午後はすっかり晴れてしまいました。

これなら憧れの東京都庭園美術館に行けばよかったのに、とちょっと後悔しました。

10 件のコメント:

  1. そういう歴史のある方だとは知りませんでした。
    れっきとした書道家さんなのですね。

    中学生か高校生のころ、相田さんの詩にとても感銘を受け、母の日か何かに母に本をプレゼントしたんです。
    でも、母親の反応がイマイチで。
    それ以来、あまり好きじゃなくなっちゃったのだけど、またどこかで、ちゃんと読もうかな。

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  2. マサ6/24/2009

    「相田みつを」の名前は知っていたけど、その作風については詳しくなかった。書道家であり、詩人でもあったんですね。
    ちょっと、武者小路実篤っぽくないですか?全然違うか(汗)
    東京フォーラムに常設の美術館なのね。有楽町に行く機会があったら、寄ってみようかな。

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  3. shiollyさん、そうなのよ、私もこの方のことあまり良く知らなくて、でもカレンダーとか見るので、どういう人かなと思っていたの。
    今日も中高生がたくさん来ていたわ。修学旅行かしら? 分かりやすい言葉の詩なので、若い人にも受けると思うわ。

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  4. マサさん、そうね、現代の武者小路実篤とも言えるかもね。でも想像に反してすごくハンサムなので、驚きました。
    ここは東京駅からも濡れないで行けるし(かなり歩くけどね)、有楽町の目の前なので、映画の後にでも寄ってみて下さいな。

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  5. 金曜日に松本市美術館に柳宗理さんの展示会を見に行く予定です。
    T高校の同級生の柳君のお父さんなので、柳君に会えないかなと思っています。

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  6. 史aya子6/25/2009

    色んなところで見かけますが、丸っこい字体が苦手で、ちゃんと読んだことはありませんでした。
    でもこうして拝見すると、とても感受性が豊かで、感性が鋭い方なのですね。
    ご本人にしてみれば、字ありきの詩なのでしょうけれど、あたしは活字で読みたいなぁ。
    なんて失礼すぎるかしら?
    諏訪ッチさんの書いてらっしゃる柳さん、お鍋や什器を作る方ですよね。
    息子さんが同じ高校なんて、すてきすぎ!
    諏訪ッチさん、展示会でお買いものして来そう(笑)

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  7. 諏訪ッチさん、柳宗理って、あの有名な柳宗悦のお父さんでしょ? デザイナーの。その息子がT高校にいたの? 私の知っている柳君って、ちょっと太めの男の子だったけど、彼じゃないですよね。そんな人の息子が同級生だったとは知らなかったわ。
    松本で楽しんできてくださいな。

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  8. 史子さん、私もあの丸い字体があまり好きじゃなかったのよ。でももともとはすごく端正な字を書く人だと分かって、びっくりしました。基本はちゃんとできていたのよね。それをあそこまで崩しちゃうのもすごいと思ったわ。

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  9. ご返事が遅くなってごめんなさい。
    柳宗理さんは柳宗悦さんの子供で、同級生は宗理さんの息子です。
    ご存じなかったですか。
    確か3年の時に、軽井沢の別荘にお世話になったのです。
    その時にお父さんの宗理さんにお会いしました。
    娘が宗理さんのファンで、息子さんと同級生だと最近話したら驚いていました。

    展示会良かったですよ。
    柳君には会えなかったけど、宗理さんのデザインは暖かくて、今ならレトロな感じが受けるのではないかな。

    史aya子さんの予想通り気に入った物があったので、ショップで娘や息子の分も買って来ました。(笑)

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  10. まぁ、諏訪ッチさん、優雅な休日で良かったですね。
    そうですか、レトロっぽいデザインなのね。どんなお土産を選んだのか、こんど写真でも見せてくださいな。
    松本に美術館があるというのは、何かのご縁なのかしら?

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