2009年6月26日金曜日

「朗読者」

今、話題の映画「愛を読む人」を見たいのだけど、まだ1,000円では見られないのよ。

そこでけちな私は原作を読んでみることにしました。こちらは文庫本なので530円でした。


原作はベルンハルト・シュリンクというドイツ人が書いた「朗読者」と言う本で、世界中でベストセラーになったそうです。

そして私が読んだのは、もちろん翻訳版。それにしても英語のタイトルが「Reader」だとしても「朗読者」という訳は、なんとかならなかったのかしらね?

あらすじは、映画版でかなり有名になってしまったけれど、15歳の男の子が20歳も年上の女の人(市電の車掌さん)の肉体に溺れてしまって、メロメロになってしまう。ところがあるとき、彼女から「愛し合う前に本を読んで」と言われて、この男の子はいろんな本を読んであげるの。でも、ある日、ぱたりと彼女は彼の前から姿を消してします。

そこが第一部で、その後、この男の子が法律を学ぶ学生になった時、法廷で彼女の別の姿を見つけるの。
それが第二部なんだけれど、その前の熱愛時代からたった数年しか経ていないのに、男の子の変わりぶり。
すごく冷静に彼女を観察しているの。

そして彼女は無期懲役になって牢屋に入れられてしまう。
でもその間、この男の子(もう大人になっているのだけれど)は、ずっと朗読をし続けて、その声をテープに吹き込んで、刑務所にいる彼女に送り続けるの。
ここまでが第三部。

私は映画のあらすじを読んでいたので、ここまでは知っていたの。

ところがまた最後にどんでん返しがあるのよ。

彼女は途中で恩赦があり、出獄できるようになるの。
そしてこの男性が迎えに行くのだけれど、その日の朝、彼女は自殺してしまったのよね。

このストーリーには、ドイツのナチ時代のことが土台になっているの。
だから日本人には少し理解しづらい話でもあるわね。

でも、彼女の人生はいったい何だったのでしょう。

彼女は実は文盲だったの。それで文字が読めずに、底辺の仕事ばかりしていたのよね。昇級試験も受けないできたわけ。

男の子と知り合っても、彼の書いた書き置きも読めずに、行き違いが生じてしまう。

この本は「2回読んでください」と書いてありました。
でも私はまだ1回半しか読んでいないので、大したことは言えません。

本の帯には「心の底から涙があふれる」と書いてあったけれど、それほどの感激はありませんでした。

映画化されるにあたって、この場面はどんなシーンになったのかしら、なんて想像しながら読みました。
とても映像がきれいだそうですけれど、映画を見たいような見たくないような、そんな気持ちでいるところ。
だってドイツの話なのに、全編が英語で話されているというのよ。
それっておかしいでしょ。もし日本人の話なのに、登場人物が日本語でなくて英語でしゃべっていたら、どんなにおかしいか、というのと同じ。

最近、私は日本語の本(それも源氏物語とか)ばかり読んでいたので、翻訳本は少し読みづらかったわ。
でもドイツ人は、いまだに戦争を引きずっているのだな、とそういう思いがした本でした。

6 件のコメント:

  1. さと6/26/2009

    毎週金曜日にラジオで映画解説を聞いてるの。この映画見に行きたいなぁと思ってたところです~
    マサさんからまたお話聞けるかなぁと思ってたらとしちゃんが原作から入って・・・というのがいかにもとしちゃんらしいわね。

    ラジオでは途中までしか解説はしないから自殺以降のことは初めて知ったわ。
    映画を見たらまた解説お願いします。

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  2. さとさん、ネタばらしてしまって、すいません。結構長いストーリーですよ。
    私はドイツ人でもないし、男性でもないので、あまり深く感情移入ができなかったけれど、でもドイツってナチの影響がまだ強いのね、と思いました。

    薄い本だからすぐに読めますよ。

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  3. マサ6/26/2009

    としちゃん、私、昨日見てきましたよ~♪
    初っ端は、「えぇ~!?英語!?」って思ったけど、すぐ画面に引き込まれました。
    私は前知識がなく見たのだけど、途中で文盲という事実に気づいて、ハッとしました。少年に本の朗読を請いたのも、合点!

    ケイト・ウインスレットが、すごくいい演技をしているので、見て損はないと思います。
    私も、原作を読んでみよっと。

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  4. さすがマサさん、早いわね。評判の映画はほとんど公開してすぐに見ているのね。
    原作は男の子の視点からの話なので、本だけだと、ケイト・ウィンスレットの役の気持ちがよく分かりません。最後はすごくおばあさんになっているように書かれているけれど、でもちょうど今の私くらいの年齢のはずなのよ。それが「老人」と書かれているのでショックだったわ。ケイトがそのシーンをどう演じたのか、気になるわね。

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  5. カンカン6/29/2009

    本屋さんでずっと前にこの本を手に取ったことを思い出しました。ちょっと興味があったのですがそれっきり・・
    翻訳物は翻訳次第で数ページ読んだだけで
    読む気がしなくなるものもあり、困ります。

    映画も見たいと思っています。同じものだったのだとおかげで発見!
    ケイト・ウィンスレットはジェーン・オースティン物でも見たことがあるけど、何か古い時代があいそうな女優さんです。

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  6. さすが、カンカンね、前からこの本を知っていたわけね。私は映画化されなかったら、きっと読んでいなかっただろうと思うの。翻訳本って読みづらいんですもの。
    ケイトさんは、どっしりした感じがあって、現代風じゃないわね。この本の雰囲気には合っていると思うわ。

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