2009年7月23日木曜日

母の手紙

このところ、1週間ほど、母のいるグループホームには、行きそびれていました。
いろいろと用事があったり、雨が降ったりして・・・。


それで、昨日は罪滅ぼしの意味も兼ねて、母のために薄いパープルのブラウスを買って、それを持ってホームに出かけました。

母はそのブラウスを手にして、とても喜んでいました。
新しい服というのは、いくつになっても、女心を刺激するのでしょうね。

このホームにいる方は、皆さん、高齢なのに、とてもおしゃれなんですよ。
いつもネックレスやブローチをちゃんと付けて、華やかにしている人が多いの。


母の記憶力は完全に崩壊しています。
1分前にしゃべったことを、何回も何回も、繰り返してばかり。

あまりにその状況がひどいので、前回ホームに行ったとき、「字を書いていたほうが物忘れをしなくて、いいでしょう」と言って、海外に住む私の妹に手紙を書くようにすすめました。

封筒には宛名を書き、便せんも用意しておきました。


今回、「手紙は書けた?」と聞くと、母は「ああ、書いたよ」という返事。

部屋の机の上には、妹あての手紙が置いてありました。
便箋を開いてみると、鉛筆書きでしたが、「私は元気にしています」というような内容の文章が数行、漢字交じりで書いてありました。

あんなに記憶力は低下しているのに、ちゃんと漢字が書けるのが不思議です。

私は、「それじゃ、この便箋は、すぐにカナダに送っておくからね」と言って、受け取ってきました。

母が1週間前の宿題を忘れずに、手紙が書けたことは、とても嬉しいことでした。

写真は、ホームの近くに咲いていたさるすべりです。

12 件のコメント:

  1. 史aya子7/23/2009

    素敵なアイディアですね。
    どんなお気持ちで机に向われたのかしら。
    異国にいる娘に手紙を書く母。
    向田邦子の本を読んでいるようです。
    お母さまの記事を集めたら、一冊の本になるんじゃないかしら。
    としちゃんさんは、作家が向いてらっしゃると思いますよー

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  2. マサ7/23/2009

    嬉しいですよね。手紙がしっかり書けたのですものね。宿題っていうのが、効果的だったのかもね。やるべきことがあるっていうのは、励みになりますよね。

    としちゃん、私、2年ほど前に娘たちと宇治に行ったことがあって、そのとき中村藤吉のお店に寄ったの。注文したのは、抹茶ゼリーだったかな。なにしろ、量が多くて途中でギブアップ。あの甘さと量は、手ごわいわよ(笑)

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  3. たかぽん7/23/2009

    ほっとするようなやり取りですね.
    心がささくれだって来ると,こうした
    話に癒されます.
    もちろんお相手をしてらっしゃる
    としちゃんさんには,それなりの
    お悩みもあるとは思いますが,
    こうした話を
    書いて下さってありがとうと
    申し上げたいです.

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  4. 史子さんね、実は、先日、妹から母あてに手紙と写真が来ていたのよ。それで「返事を書いたら?」とすすめても、全然、書かないでそのままだったの。

    自分で便箋を引出しから出す、というのができなかったようです。
    それで、私が便箋を用意して、宛名も書いておいたので、返事を書く気になったのでしょう。

    向田邦子さんの小説って、すごくうまいけれど、実は、怖いなーと思うところがありますよ。心の底をえぐっている感じもします。

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  5. マサさん、そうね、その場でさっさとは書けないでしょ。待っているのも大変なので、宿題にしておきました。そうしたらちゃんと書けていたので、ほっとしたわ。

    中村藤吉のはそんなに多いの?
    頑張って挑戦してみますね。

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  6. まぁ、たかぽんさんからお礼を言われて、恐縮しています。ほんとうは、私はそっけない娘なんですけれどね。
    実は妹の誕生日が近いのですが、母はそんなことはすっかり忘れていましたね。お腹を痛めて産んでも、誕生日は忘れてしまうもんでしょうかね?

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  7. トントン7/23/2009

    としちゃん、お誕生日は忘れても仕方ありませんよ・・
    母は、なくなった姉達がまだ生きていると思っています。すぐ上の姉が、最近、銀座で写真を撮ったら、お店のウィンドウに飾られていたと嬉しそうに言っていました。いったい何十年前の話!(笑)始めて聞く話でした。
    ウン、としか言わなくなっていた母が、10日ほど前に「雨月物語」を見たと覚えていたのでビックリ。
    環境が変わったら、レベルアップしたようなのです。
    お母様も、ゆったりとして、こうした時間を過ごせて、きっとよかったのではないかしら。自宅で見るとこうした時間は削られてしまうのですよね。

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  8. トントンのお母様、雨月物語を見ていたなんて、急に思い出したのかしらね。すごいわね。
    どこまでちゃんと分かっているのかしら、と疑うことも多いのだけど、結構分かっているのかもしれないわね。
    ゆっくりと過ごして、昔のことを思い出してもらえたらいいわ。
    最近、銀座とか京橋に行くたびに、ああ、母も若い時はここをさっそうと歩いていたんだろうな、と思うことがよくあります。

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  9. さと7/24/2009

    嬉しいお話ね。
    家の母は妹たちから(おば)何度手紙が来ても全然返事を書きません。
    弟とずっと一方通行の手紙を叔母たちがよく書いてきてくれるねぇ~と話しています。

    そうかハガキでも用意をすれば書くかもしれないわね。
    ありがとう。
    今度挑戦してみます!

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  10. chae7/24/2009

    凄い!!  このアイディアいただきます。今度実家へ行った時に私宛に住所を書いたはがきをたくさん母のところに置いておきましょう。  

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  11. さとさん、そうね、お返事用のハガキを用意しておいたら、お母様も書くようになるかもしれないわね。
    でも妹さんたちも、よくお手紙をくれて、嬉しいですね。

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  12. Chaeちゃん、こんにちは。史子さんの展示会では、相変わらずスマートなお写真でしたね!

    そうそう、お母様も宛名を書いておくと、書くようになるかもしれないわよ。やってみてね。

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