松本清張さんのこの有名な推理小説を、また読み返しました。
というのも、私は通勤時間が長くて、いつも何か読む本を持っていないと、電車の中で持て余すのよ。それで、家に置いてあったこの本を持って行き、読むことにしたの。
私はかつて、20代のころ、松本さんの本はほとんど読んでいたのだけれど、最近はほとんど読まなくなっていたわね。
この「ゼロの焦点」は最近、また映画化されてまた脚光を浴びたみたいね。
ストーリーなどはあまりにも有名なので紹介しませんけれど、主人公の女性がヒロスエの役だったのかな? そして木村多江さんは、北陸に住む女性、中谷美紀が社長夫人役かしら。これは私の想像ですけれど。
この小説は昭和32・33年頃に書かれたそうで、もう50年も前の話なんですよね。だから小説の中にも、あまりにも現代とかけ離れたことが書かれていて、あっと絶句したくらいでした。
たとえば、金沢から東京まで電話をかけるのには、電話局の交換を呼びださないとつながらなかった、なんて、携帯電話一本で海外とも話せる現代とは雲泥の差よね。
それと一番違和感を感じたのは、個人情報がまるで保護されていなかったということ。
物語の中で、ある人物のことを知るために、役所に出向くと、戸籍謄本が簡単に入手できてしまい、その人の過去が分かってしまうのよ。それが分かったからこそ、ストーリーがうまく展開するんだけどね、今なら絶対に、ありえないわよね。社内情報も簡単に外部に伝わってしまうし。
そういう前提があったから、推理もできたのだけど、清張さんが今の時代に生きていたら、まるで違った物語を作らなければならなかっただろうな、なんて思ってしまいました。
この小説の中では、北陸の寂しい海岸の断崖絶壁のシーンがたくさん出てくるけれど、2時間ドラマのシーンを見ているようだったわ。
戦後のいろいろな悲しい出来事が下地になっているこの小説は、それまでの推理小説のジャンルを打ち破るほどすごいものだったことは分かってはいるけれど、それにしても自分の過去を知られる怖ろしさって、何人もの人を殺してしまうほど、大変なことなのでしょうか。
そういえば、「砂の器」も過去を葬りたいという、そういう設定でしたよね。
松本清張さんの小説は私もほとんど読んでいます。
返信削除昔「0の焦点」が出版された後に、能登の断崖絶壁の場所を見てきましたよ。その頃、清張さんの小説のせいか、自殺の名所になって危険区域でした。
50年前の自分を思い出しています。
昭和の時代って本当に驚くほどの変化、
激動の時代を生きてきたんだと改めてとしちゃんのコメントで思い出しています。
匿名さん、こんにちは?
返信削除真蘭さんかしら? 間違っていたらごめんなさい。
もう50年前の話なんですよね。戦後10年、まだ戦争の色が漂っていたのでしょうね。渋谷辺りには傷痍軍人がいて、子供心に怖い思いをしていました。当時は「ぱんぱん」という言葉も、訳も分かりませんでしたが、なんとなくいけない存在なんだろうなと思っていました。
昭和も遠くなりにけり、ですね。平成生まれがもう大学4年生なんですものね。
としちゃん、配役はピンポーンですよ。
返信削除ヒロスエはこの作品で、日本アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされましたよね。
でも、私が思うに、「どうみても中谷美紀が主役でしょ!?」
中谷美紀には圧倒的な存在感がありましたもの。
そういえば松本清張は、「点と線」のなかで、「50歳ぐらいの老婢」とか、書いてましたよ。
「コラッ!清張!」ですよね(苦笑)
マサさん、配役はあっていましたか。このストーリーの主役である女性は、どうしてあんなに長く旅館に泊まっていたり、どこに行くにもタクシーに乗ったりとお金があったんでしょうね。そんなこと、考えちゃだめかな。
返信削除「老婢」ですか! それも50歳で!
それはひどいな! 確かにちょっと前まで新聞でも「老婆殺される」とかいう見出しがあって、中の記事を見ると60歳くらいだったしりましたよね。こういうことが平気な時代だったんですよね。そういう昭和は嫌だわ。