2010年5月28日金曜日

新宿着物散歩 続編 ~江戸更紗~

林芙美子記念館で戦前のおうちのムードを味わった後は、雨の中を歩いて、妙正寺川沿いにある「二葉苑」という染めの工房に行きました。ここで江戸更紗の見学と実習をするのです。

門がまえが素敵ですよね。


この辺りは「落合」という住所なんですが、「落合」というのは、神田川と妙正寺川が落ち合ったところという意味で、落合という名前がついたそうです。
かつて江戸時代には神田のほうで染色が盛んだったそうですけれど、きれいな水を求めて、職人さんたちはこの落合の方に移動してきたそうです。
昔はこの川の水で染料を洗っていたそうですが、今は環境重視ということで洗うのはすべて会社の中でしていました。
このあたりには古くから染物関係の会社が300軒くらいあったそうですが、今ではずいぶん減ってしまったそうです。

江戸更紗というのは、いわゆる更紗(ジャワ更紗のようなもの)が洗練されて江戸時代に流行したものだそうで、何百何千とあるパターン(型)をもとにして、それを染めたものです。

こちらは工房の中の様子。長い反物の状態で吊るしてあります。


さて、今回の実習は江戸更紗のテーブルセンターでした。

こちらは図案を考案するお部屋だそうで、素敵な見本が飾ってありました。このお部屋で実習をしました。まぁ、こんなのが本当に作れるのかしら?


前に京都で友禅のバックつくりをしましたけれど、やり方はほとんど同じのようです。

ただ友禅と違っているところは、あちらは白紙の状態から少しずつ色を加えていって、最後に白色で境界線を作るのですが、江戸更紗はまず黒い枠があって、そこに色を加えていき、それでおしまい。

でも型の場所をしっかりと固定することや、色を塗るときは大きく手を動かして塗ることなどは同じでした。


こちらが最初の状態。


若い女性の技術者から指導を受けます。刷毛の持ち方を説明しているところ。


恐る恐る最初の色を塗ってみました。こんな感じです。


一緒に参加した方がやっているところ。袖がひらひらしていたので、割烹着を借りて着ています。私は家から自分の割烹着を持参しました。


紫と緑が入ったところ。同じ色でも二回に分けて塗るので、濃淡が出るように塗り方を工夫してみました。


次はピンクが入ります。


黄色が入ると、華やかさが増してきます。青も塗ります。

そして最後は茶色を塗りこみます。茶色は枝の部分です。

さぁてできあがり。


出来上がりは大満足でした。


でもね、色を塗る時の力の入れ方で、こんなに作品には違いがありました。
私のは右のほう。色が濃いでしょ。左の方は、うっすらとお上品な仕上がりだわ。


この様子、案内していただいた番頭さんがブログにアップしています。

いち利の番頭さんのブログ
一生懸命にやっている姿が分かるでしょ。でも知らないうちに私が写ってしまっているわ。顔は出さないで、とお願いしたんですけれど・・・。

ここにはすてきな更紗製品のお土産も買えるお店もあるし、本当に素敵なところでした。


自分一人では行けないようなところまで見学できたし、おまけにアイスコーヒーまでご馳走になり、嬉しかったわ。


こちらは柘植の櫛がセットになっています。くまちゃんも更紗の着物を着ていて可愛い!

新宿区という現代的なところに、こんな情緒のある染め工房があるとはつゆ知らず。
よい体験になりました。

テーブルセンターは持ち帰り、アイロンを当てて出来上がり。でも使うのには惜しいので、額に入れて壁に飾りました。

6 件のコメント:

  1. マサ5/29/2010

    ジャワ更紗はよく聞くけど、江戸更紗は初めて知りました。貴重な体験をされましたね。
    素敵なテーブルセンターだわ。ホントに二人の出来上がりはずいぶん違いますね。としちゃんの方が色がはっきりして、綺麗だと思う。
    テーブルセンターに使うのは、確かに惜しいわ。醤油の染みなどつけたら、ガッカリですものね。

    番頭さんのブログ、大丈夫ですよ~。顔はそんなにはっきりわかりませんから。

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  2. マサさん、更紗って、室町時代に海外から伝わったらしいわね。それが江戸時代ごろには庶民も着るようになったみたいよ。同じ型(パターン)でも色によってまるで違う雰囲気になるのが面白かったわ。
    テーブルセンターは部屋に飾ってありますよ。同じ色、同じ絵なのに、個性が出るのが面白いかったわ。

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  3. トントン5/29/2010

    更紗柄というのは、仕事をしていたときに、文様集というのがあって、よくアレンジして図案にしました。
    素敵に仕上がりましたね・・ドどんどん作品が増えて・・楽しそう。

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  4. としちゃん5/30/2010

    トントンはお仕事でよく使っていたんですか。そうか、刺繍の世界にも応用できるんですね。更紗の模様って古さが感じられないですよね。とても現代的なのもありました。こういう技術が新宿にも生き続けているというのが不思議な感じでしたよ。

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  5. さと5/31/2010

    更紗って魅力的ですよね。
    私も好きです♪
    新宿にこんなところがあるのも面白いわね。
    先日の友禅染めも楽しかったしこちらも個性が出ていいわ。
    額にしたのね、素敵ですもの~♪
    私もやってみたい(笑)

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  6. さとさん、江戸更紗のときも生徒は2人で、マンツーマンでした。でも京都で習っていたので、今回は少しは余裕があったかしら。同じ色を2回、繰り返したんですよ。だから同じ色でも濃淡が付けられるのが、よかったですね。
    ここは新宿といっても高層ビルのある新宿とはちがって、庶民的な町でしたよ。

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