湊かなえという人の「告白」は「本屋大賞」を受賞した本だし、映画でも評判になったというし、たまたまうちの家族が読んでいたので、私も手にとって読んでみました。
はっきり言って、すごく読後感が悪い本です。
その理由として、
・子供(中学生)が殺人をするというセンセーショナルな状態が書かれている。
・小さな娘を殺された中学校の女教師、その教え子たち、教え子の家族たちが次々に証言をするのだけれど、その口調がまったく一辺倒で、大人も子供も男女も見分けがつかないような下手な書き方をしていること。
があげられます。
ただ救いとしては、
・母と子の関係を見つめ直していて、それをサブテーマとしていること。
・構成が面白いこと。
などがあげられます。
しかしこの「藪の中」のような構成は、「羅生門」もそうだったし、大岡昇平の「事件」もそうだったし、こういう書き方は昔からあったわけで、この作者が考え出したものではないので、そのあたりはもう少しマイナス点になると思います。
発明が好きな少年がいて、誰かを驚かそうとしてあるあくどいおもちゃを作って、それを担任の娘で実験したところ、その子は別の理由で死んでしまう、というのが主なストーリーなんだけれど、その女の子が不憫で、なんでこの子が殺されてしまうのか、最後まで納得がいかなかったわ。
おまけとしては「夜回り先生」とか「ヤンキー先生」といわれる実在の先生をモデルにしたり、エイズを取り上げたりして、現代の状況を描いているといえばそうだけれど、なんとなく嘘っぽいんですよね。
映画ではどのように描かれているのか分かりませんけれど、かつて「バトルロワイヤル」という残酷な映画があったけれど、あんなふうに描かれているのかしら。
いずれにせよ、私はこの湊かなえという作家の本はもう読まないだろうと思うわ。
こういう本をおススメ本とする本屋の店員の気持ちも分かりません。
取り上げているテーマは重要な問題を含んでいるだろうとは思うけれど、少なくとも私にはまるで意味のない小説でした。
この本が気に入ったという人がいたら悪いのだけれど、このような本を書いた理由が私にはよく分からないわ。
今日は辛口書評でした。
「私にはまるで意味のない小説でした」と、
返信削除それなのに、読後感がこれほど書けるとは
驚きですよ。そこがとしちゃんなのね。
私なら、ふん!って投げておしまいだわ。
映画会社がめちゃめちゃ宣伝して居ましたが、そういう内容だったのですか。。。なるほど。今風な話題を取り上げていてセンセーショナルなつもりだけど、小説と言うものは、今も昔も無く、構成や文章力で、読ませてゆく物ですものね。としちゃんのご批評、よくわかります☆
返信削除真蘭さん、この本の凄いところは、「この先、どうなるんだろう?」と思わせて、読ませてしまうところね。それだけはすごいと思うわよ。
返信削除こういう本が好きな人もいるでしょうからそれはそれでいいのだけれど、でもやはり後味が悪かったわ。
延千代さん、映画の広告は相当お金を使ったのでしょうね。
返信削除この本は娘も読んでいましたけれど、「なんだかよく分からなかった」という感想でした。
登場人物がひとりずつ一人称でしゃべる、という構成なんですけれど、それが分かりにくいのかな。
でも反対に、この本を全面的に賛美する人がいたら、それも怖いと思いますよ。
私も、少し前に読みましたが、ホントに読後感は悪かったわ。
返信削除登場人物はみな心が歪んでいるし、志の高さが全く感じられない小説でした。
でも、本は驚異的な部数を売り上げ、映画も大ヒット上映中。
確かにおもしろいかもしれないけど、本屋大賞ってそれでいいの?
第1回の「博士の愛した数式」のときは、本屋の店員さんが推すだけあって、さすが良質な小説だと思ったけど、最近は?という作品もありますよね。
話題作りをして売り上げを伸ばそうという魂胆はないと思うけど、「告白」は大賞に選んだ書店店員のレベルを疑います。
今日はマサも辛口でした!
わぁ、マサさんも同じ意見でよかったわ。マサさんならどんなふうに読んだかしらと、ちょっと気になっていたの。
返信削除「博士の愛した数式」は確かに面白かったわね。映画もそれなりに面白かったし。
本屋大賞はそれで味をしめたのかもしれないけれど、もうちょっとマシなのを選んでもらいたいわよね。
あの天才発明少年のママがいる大学の研究室、というシーン、つい私の大学のことを思い出してしまいましたよ。
「博士の愛した数式」あれはよかったですね!読後心があたたまりました。
返信削除何年も前に読んだのですが、記憶力の悪い私が、いまだに覚えているということは、よっぽど面白かったのだと思います。
「博士の愛した数式」では数学のお勉強もできましたね。数字は苦手なんですけれど、あのように小説になっていると、楽しく読めるものですね。あの小説にも男の子が出ていましたけれど、この「告白」の少年とは大違いでした。
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