今回は前半は丸山伸彦先生の講義、後半はスライドを見ながらの授業でしたが、日本の服装の歴史がよく分かって本当に面白い内容でした。
私にとって一番の新発見は「家紋」についてです。
今、紋付というと背中にひとつ、袖に二つの3つ紋や、それより2つ多い5つ紋を思い浮かべるのですが、実は昔は上着だけでなく、袴にも紋が付いていたそうなのです。背中の腰の部分、手が当たる膝の部分にも紋があったというから、驚きですね。
この紋というのは、もともとは布と布をはぎ合わせたところの糸をかがった残りをきれいに菊の花のようにしたものなのですが、(「菊とじ」と言います)それが時代が下がるにしたがい、布の分量が少なくなり、菊とじの存在意味はなくなってしまったのにも関わらず、その場所に何か飾りがあったほうがいいというのでしょうか、家紋に変化したというのです。
つまり本来は実用的な意味があったのが、時代が下るに従い、装飾の意味になったのです。
これは主に庶民の衣類だった水干や直垂(ひたたれ)は縫い目と縫い目の間に補強の意味で、糸をかがっていたのでした。(貴族の衣装は動作が少ないので糸でとじていなかった。)
ところが江戸時代あたりになり、だんだんと邪魔な部分は省かれるようになり、袖も二幅から一幅になり、また裃のように袖がない形式の服になったとき、菊とじのかわりに家紋が登場したというわけなんだそうです。
これって目から鱗ですよね。
ウィキペディアからお借りした「裃」の写真です。
これは上下が同じ布で作られていますが、時代が下ると、上下別々の布のものを着ることもあったそうです。今の替え上着みたいなかんじでしょうか。
また前回のテーマであった「日本の服にはどうして文様があるか」という質問に対する答えはこちらです。
桃山時代ごろになり、男性も女性もそれまで下着として着ていた小袖を上着として着るようになると、服装での性差がなくなってしまいました。当時は男性でもきれいな柄のもようが段々になった小袖を着ていました。
そうなると「弱い性のほうを飾り立てる」」という服飾の法則から、弱い性であった女性の小袖を飾るということになり、女性の小袖がどんどん模様がついて派手になってきたんだそうです。
なーるほどね。
ということはオシャレに命をかける男性は、弱い性ということになるのでしょうかね?
後半は源頼朝像、 毛利元就像、武田信玄像、伊達正宗像などの絵画を見ながらのお勉強。
「伝頼朝像」と言われている方の衣装です。
こんなに固い衣装を着ていたら動きづらいですよね。
描かれている衣装を細かく見ていくと、微妙な違いもあり時代の変化が読み取れます。
今まで、そんなふうにして絵画を見たことがなかったので、とても参考になりました。
それと今は着物は「右前」に着ていますが、これも大昔は左前が普通だったようです。
「はにわ」の画像を見せていただきましたが、はにわは左前に着ていました。
養老3年に「右前に着ること」という命令が出る以前は、きちんと決まっていなかったそうです。
そしてテレビの大河ドラマなどでいかに時代考証がいい加減であるかも教えてもらいました。
袴を締める帯の色を見ただけで、時代考証がちゃんとしているかどうかが分かるのです。
これは笑えましたね。
他にもいろいろと面白いお話を聞かせていただきましたが、市でやっているカルチャースクールなので、1回の講義が1,000円程度なのです。
これは嬉しいですよね。
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この日の装いは、うたどんさんのお母様からいただいた藍色の紬。
ちょっと模様が見えませんが、織りの模様が入っています。
それに例のカット帯。
お太鼓の柄がうまく出て、模様がつながったようにできました。
ちょっとしたオシャレですが、羽織の紐のかわりにブレスレットを使ってみました。
このブレスレットは母がどこかに旅行に行って買ってきた琥珀なのですが、ブレスレットはあまり使わないので、結び紐の代わりにしてみました。
紋がたくさんあったというのは驚きです
返信削除日本のことなのに、もういろいろなことが忘れ去られてしまっていますよね
大河を見ていても、まぁ突っ込むところが多いとはいえ、
それでもこういう時代、すべてが自然のものを使っての手作業だったことを思うと、
作らせた人の力の大きさや、
その当時の技術力や、
本当に感慨深いものがあります
きょうのとしちゃんさんもすてきです
イカットならぬカット帯、
とてもいいですね♪♪
siroajisaiさん、こんにちは。
返信削除そうなんですよ、紋がたくさんあったのには驚きましたね。袴は座って手を置く太ももものあたりや背中の腰のところにもあったそうです。
こんなふうにして着物の歴史を学ぶのは楽しいですね。
帯は本当ははさみを入れてはいけないと聞きましたが、長すぎると締めにくいので、スパッと切ってしまいました。帯さん、ごめんなさいと謝りながら切りましたよ。