今月の新橋演舞場は新猿之助さんの襲名披露です。
6月5日に開幕しましたが、連日、満席が続いているようで、私は昼の部に行きましたが、普段は歌舞伎などあまり見ないような人たちも大勢押し寄せてきて、亀治郎や香川照之の人気と思いますが、ミーハーファンが凄かったですね。
今回の襲名はいろいろ重なっていておめでたいものでした。
○元の猿之助さんが二代目猿翁になる
○元の亀治郎さんが四代目猿之助になる
○これまで歌舞伎とは別世界で生きてきた香川照之さんが九代目中車になる
○香川さんの息子の團子くんの初舞台
それに初代猿翁と三代目段四郎の50回忌追善というのもありました。
なかでもテレビや映画では活躍していた俳優の香川照之さんが、46歳にして、これまで別離していた父親と同じ舞台に立ち澤瀉屋(おもだかや)に加わる、というのでいろいろと週刊誌のネタにもなっているようでした。この一家には浜木綿子との結婚・離婚、その後あれこれあったようなので、御家騒動が好きな日本人には格好のものなんでしょうね。
天皇家にしろ、市川猿之助家にとっても、誰が跡継ぎになるかというのは、重要問題ですね。
手元に歌舞伎の一族の系統図というのがあるのですが、ちょっとだけご紹介しますが、歌舞伎界には次のような一族がいます。ご存じの方も多いでしょうけれど、私は○○屋というのがごちゃごちゃしてよく分かっていないところもあるので、ちょっとまとめてみました。
○成田屋 市川團十郎 (あの海老蔵さんがいる一門)
○中村屋 中村勘三郎 (こちらも襲名がありましたね)
○成駒屋 中村歌右衛門(橋之助、福助さんがいる一門)
○播磨屋・萬屋 中村吉右衛門(獅童さんもこの一門)
○音羽屋 尾上菊五郎(松緑、菊之助もこの家族、寺島しのぶもこの中に入っています)
○大和屋 坂東三津五郎(玉三郎もこの中にいます)
○松島屋 片岡仁左衛門(この前、孫と一緒に連獅子をしていましたね)
○山城屋 坂田藤十郎(中村玉緒さんもこの中に入っています)
さて、最初の舞台ははその話題の中車さんが主人公になった「小栗栖の長兵衛」という新歌舞伎。
中車さんも頑張って演じているのは分かりますが、やはり声の出し方とか手先の使い方は、歌舞伎役者には見えませんでしたね。
ちょっと辛口になってしまいますが、熱演しているのは伝わるのですが、歌舞伎というよりも松竹新喜劇のような感じがしました。
筋書きもシンプルで、誰が見ても分かりやすいものでしたが、三味線も義太夫もなく、私的にはちょっとね、という舞台でした。
その次が澤瀉屋一門、そして歌舞伎界のメンバーが揃っての口上でした。
藤十郎さんがうまくリードしていました。
一門の役者さんがみんな揃って新猿之助さんを応援してみんなで盛り上げていきたいという気持ちは伝わってきましたが、途中入社の中車さんにはやはり厳しい目も持っているのかもしれませんね。
それにかつてのスーパー歌舞伎の主役だった元猿之助さんが、病気を患い、よれよれの姿になっても裃を身にまとい、ろれつの回らない口調で舞台に立っていたのは(実際は座っていた)、ちょっと痛々しい感じもしました。
あそこまで演出しないといけないのかな、というのが正直な感想ですね。
それに引き換え、新猿之助さんや團子くんの口上は若さにあふれていて、世代交代をひしひしと感じさせるものでした。
私自身は澤瀉屋では市川春猿、笑三郎、笑也といったすっきり系女形が好きなのですが、彼らも口上のときは引き立て役に徹して、新しい主人公を盛り上げようとしていたように見受けられました。
ちなみにこの隈どりの幕は、福山雅治がデザインしたものだそうです。
さていよいよ新猿之助さんの「義経千本桜 川連法眼館の場」です。
新猿之助さんは芸人に徹していましたね。
早変わりであっと言わせたり、海老ぞりをしてみたり、欄干の上を歩いてみたり、可愛い子狐になってみたり、ほんとうに私たちを楽しませてくれました。
最後の宙乗り(ワイヤーで花道の上空を飛んでいく)は最高でした。
満面の笑みを浮かべながら、空を飛んでいき、そして桜の花びらがパーっと散っていました。
最後は拍手が鳴りやみませんでした。
新猿之助は華麗で、哀愁があり、表情がとても豊かな人で、おまけに女形もできる人です。
やはり幼い時からこの世界に入った生え抜きの人と、途中入社の人を比べるのは可哀想ですね。
あまりにも差が歴然でした。
それでも中車さんは頑張ってこの世界で生きていくというのは、偉いですね。
こちらは7月のポスターですが、新猿之助さんは生き生きとしていますね。
この日の装いは、雨が降るかもしれないというのでちょっと考えてしまいましたが、初夏らしく、白地にミント色の麻の葉模様の単衣。名古屋の大須で買ったリサイクル品です。
帯はなんとワンコインの作り帯。
涼しそうに見えたかしら。
この舞台、とても話題になっていますよね。
返信削除ワイドショーでは、新猿之助より、どうしても中車に目が行くようです。ほんとに歌舞伎役者として通用するのかといった好奇心、野次馬根性でしょうかね。
「よくやっている」という評も聞きますが、幼いころから歌舞伎役者になるべく精進してきた人たちとは、歴然とした差があって当然でしょうね。
映像の世界の香川照之はたいした役者なので、私は映画やドラマで活躍してほしいと思っています。
〇〇屋を、わかりやすくまとめてくれてありがとう。
としちゃんおブログは、教養が身に付きます。
マサさんもそう思うでしょ。
返信削除私も香川照之は映画もテレビもうまい人だなと思っていたので、どうして歌舞伎に進出したのかちょっと解せないところもありますが、やはり血なんでしょうかね。
歌舞伎のファンという人は、役者さんを小さいころからよく見て知っているので、親戚のおばちゃんのように応援しているというところもあるみたいですね。
私も久しぶりに先日大阪松竹座で歌舞伎を見ましたよ。
返信削除ただ券なので3階の席で悪かったこれどけっこう楽しめましたよ(笑)
ただ後ろでかけ声かけるおじさんがいて(この人はプロなのかしら?)タイミング良く○○屋!!と言うのよねぇ〜
としちゃんの解説とパンフレットを見比べてふんふん。。。
少しわかりました、ありがとう!
さとさん、こんにちは。
返信削除大阪松竹座の出し物は何だったのかしら。
かけ声をかける人は「大向こう」というのです。私が前に人形町で歌舞伎のことを学んだときの講師もこの大向こうの方で、本職は俳優さんでした。
プロというか通というか歌舞伎のことをよくご存じで、1回の公演中に何回も通うらしいですよ。
でも最近はアマチュアの人も増えて、掛け声をかけなくてもいいところで声を出すので、あれは気分が悪いとかおっしゃっていましたね。
役者さんの気持ちを分かっていて、掛け声をかけないとだめなんですって。
3階の席はそのような常連さんの席だそうですよ。
1階の変な場所よりも見やすくて安いから、おすすめかもしれないですね。
出し物は
返信削除1、絵本太功記
2、高杯
3、ゆうれい貸屋(山本周五郎原作)
の3本でした。
高杯では海老蔵さんが下駄でタップを踊りました。
3本とも難しいお芝居ではなくて楽しい歌舞伎でしたので私でも楽しめました(笑)
また色々と教えてね♪
さとさん、このコメントにお返事していなくてすいませんでした。
返信削除楽しくて分かりやすい歌舞伎はいいですよね。
せっかくお金を出しても難しすぎたりしたら楽しめませんもの。
この海老蔵さんの歌舞伎は面白くて人気があると聞きました。
タップダンスとはすごいですね。
役者さんって、練習するとなんでもできちゃうんですね。