私の住んでいる市には、角川(昔の大映)や日活の撮影所があります。
また東京現像所や、照明で有名なアーク・システムなど、映画関係の会社がいろいろとある地域です。
そんなわけで、市では映画祭とか映画に関するイベントがよく行われています。
今回、私が参加したのは「日本映画大学」公開講座でした。
これは、市内や近隣にある大学から専門の講師をお呼びして、講義を聞くというもの。
これまで仕事で関係のある先生たちのお話を聞いてきましたが、やはり私のレベルではちょいと難しい内容でした。
でも今回は日本映画大学の講義なので、少しは気楽な気分で参加してきました。
初回は「プロデューサーは何を考え、何をするのか」というタイトルのお話でした。
講師は日本映画大学理事長でプロデューサーの佐々木史朗さんという75歳くらいの方でした。
プロデューサーの仕事をきちんと分かっている人は、あまり多くないかもしれませんね。
佐々木さんによれば、いろいろなスタイルのプロデューサーがいらっしゃるそうですが、第一の仕事は「企画を立てる」ということだそうです。
いろいろな事件や小説、音楽や神話からヒントを得て、それをどのようなスタイルの映画に仕立て、監督や俳優を決めるのが一番の仕事だそうです。
もう一つの大事な仕事は、マーケットを知るということだそうです。
つまりいくら有名な俳優を使って、質の良い映画を作っても、興行的に成功しなければダメなので、そのためにはマーケットを研究するそうです。
現在の統計によれば、日本人が映画館で映画を見るのは、1年に1回なのだとか。
ところがアメリカ人は4回見ているそうです。
また映画館のスクリーンの数は、日本国中に3,339あるのだそうですが、やはり年々減少しているのだとか。
興行的に見ると、収入は邦画が55パーセント、洋画45パーセントの割合だそうで、邦画のうち、一番は東宝で591億円、松竹が97億円、東映は167億円だそうです。
佐々木さんがプロデュースした映画は、懐かしいものもありました。
・「遠雷」 根岸吉太郎監督 私の大好きだった永島敏行が出演。
・「家族ゲーム」 森田芳光監督
・「ゴールデンスランバー」 中村義洋監督 これも私の好きな堺雅人が出演。
他にも大森一樹、井筒和幸監督が、まだ若手と呼ばれるときにもずいぶんコンビを組んだそうでした。
いろいろな裏話を聞かせていただいたのですが、面白かったのは、私が以前見た「キツツキと雨」の話。
公開された映画では、小栗旬が映画監督の役でしたが、もともとは木こり役をした役所広司を監督役にした話だったそうです。でも話がうまく運ばなくて、それをプロデューサーが脚本家や監督と相談して、反対の立場に設定変更してみたら、うまい話になったのだそうです。
プロデューサーはそういう役目もするのかと思いました。
佐々木さんはまるでお年には見えず、感性がとても若々しい素敵な方でした。
やはり感性を磨いておかないと、よい映画は作れないのだろうと思いました。
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2回目は日本映画大学の准教授で映画監督の細野辰興さんという方が講師でした。
「昭和から平成、日本映画はどう変わったか」というタイトルで、ご自分が映画にかかわるようになった昭和55年頃からの映画の変遷について、DVDを交えてのお話でした。
見せていただいたのは
・「ええじゃないか」 今村昌平監督 撮影期間2年
・「セーラー服と機関銃」 1982年 薬師丸ひろ子
・「野獣刑事」 緒方拳、いしだあゆみ 太秦で撮影
・「ひとひらの雪」 津川雅彦、秋吉久美子 大泉で撮影
・「台風クラブ」 相米慎二監督
・「私のおじさん」 2012年 撮影期間2週間
映画を作った当時の社会状況や、製作費などの話も交えながら、DVDの予告編をたくさん見せていただきました。
昭和から平成になって、映画の環境もずいぶんと変わってきたのだと思いました。
2回とも平日の夜に行われたのですが、参加者はかなり年輩の方が多かったですね。
時間帯のせいかもしれませんが、若い人はあまり映画を見ないのかしら?
といいつつ、私もこのところ、ちょっと映画館に行くのがご無沙汰しています。
パ○コの映画館もなくなってみると、淋しいものですね。
写真は我が家のリビングから見える富士山。
安物カメラなのでうまく写っていませんが、美しい富士山です。
題名を見たらもっと軽い内容かと思いきや、結構重厚な講義だったのですね。
返信削除いつもいろいろな分野にご興味を持ち、勉強されていてすごいなと思います。
プロデューサーの裏話面白そうです。
発想次第で成功したり失敗したりするのかと思うと大変ですね。
私も昔パ○コの映画館に行ってました。人が少なかったから閉鎖も納得ですが、ないと不便ですよね。
ずんこさん、懐かしい映画を見せてもらったり、裏話を聞かせてもらったりして、お得な時間でしたよ。
返信削除でも映画界も社会環境によってずいぶん制作方法も変わってくるのだと思いました。
昔は映画スターがいましたけれど、今は小粒になった感じで、作品もすごく安上がりで短期間にテレビのようにして作られるみたいです。
外国では映画産業に対して、国の予算がかなりあるそうですけれど、その点、日本は淋しい状況らしいですね。