2013年7月29日月曜日

「まほろ駅前多田便利軒」

三浦しをんさんの直木賞受賞作品「まほろ駅前多田便利軒」は読んではいないのですが、たまたまBSで映画をやっていたので、興味を持って見てみました。

映画「まほろ駅前多田便利軒」公式サイト▼ (2011年制作)

というのは、この舞台になる架空の「まほろ駅」というのは、実際は町田駅のことであり、この駅は、前の仕事のときに帰りに寄り道をしていた所なので、どのように描かれていたか気になっていたのです。

主人公は便利屋を営む瑛太と、ひょんなことからそこに同居することになったかつての同級生の松田龍平。便利屋をしながら、二人はいろいろな事件に巻き込まれていきます。


この個性的な俳優が、映画の中では二人ともあまりぱっとしないバツイチ男を演じています。

ストーリーの底に流れるものは、私が考えるには「男にとっての子ども」と「犬」ということかしら。

二人の共通点は、「かつては父親であった」ということ。
瑛太のほうは、結婚していた相手の女性が浮気をして、その直後に子どもが生まれたので、その赤ちゃんは自分の子どもだったかどうかは分からなかったという過去を背負っています。
また松田龍平のほうは、レズビアンの人に偽装結婚を頼まれて、人工授精で子どもを産ませたという事実がありました。

そのようなことが段々と明らかにされていきます。

普通の映画などでは、「女」(母性)と子ども(自分が産んだ存在)というような観点から描かれることが多いと思いますが、「男」にとって、自分の子ども(と信じている存在)は、私には想像がつかないのですが、このような観点は目新しいと思いました。

子どもといえば、小憎らしい小学生役の男の子がものすごくうまい。
愛情のない母親の代わりに、「フランダースの犬」(ネロ少年)のビデオがお気に入りなのです。

またもう一つの「犬」については、可愛らしいチワワが登場して、かつての飼い主だった少女や、新しい飼い主となった夜の女たちに可愛がられていきます。

そのチワワの存在が、暗くなりがちな画面を明るくしているように思えました。

原作を読んでいないのでなんとも言えないのですが、あちこち話が散らばってしまっているのに、うまくまとめてありました。

また都会でもない、田舎でもない、まほろというところをうまく描いていたと思いました。

二人の主人公以外に、脇役が良くて、ちょっとヤバイ人種も登場しますが、中でも岸部一徳のやくざな刑事役が光っていましたね。

私たちの周りにいる人たちは、一見すると平穏で気楽に生活しているように見えていても、実はいろんなことを抱えて生きている、ということを言いたかったのかしら。

BSはあまりCMが細切れに入らないので、それは良かったわ。

やはり原作を読みたくなりました。





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