私は江戸や東京のあっさり文化が身になじんでいるせいか、これまで大阪というと、ちょっと悪いとは思うのですが、あまりよいイメージが思い浮かばなくて、ちょっと一歩引いていたところがありました。
吉本のお笑いとかド派手な服装とか、こってりとした大阪のグルメなどにはほとんど興味が湧かない人間でした。
ところが今回のきもの旅で、その印象がだいぶ薄れて、今までの思い込みを反省しなければと思ったほどです。
というのは、「大阪歴史博物館」▼に行ったことが一番の理由でした。
ここは大阪城の近くにあるのですが、私は方向を間違えて、大阪府庁まで行ってしまいました。
府庁舎には多分、知事さんもいらっしゃるのですよね。
大阪府知事といえば、今は維新の会幹事長の松井一郎氏、そしてかつては橋下徹氏、女性知事の大田房江さん、ちょっと前には横山ノック氏もここの府庁舎にいたのですよね。そんな大阪府庁舎をこの目で見ることができたのは、道を間違えたおかげでラッキーでした。
さて、大阪歴史博物館は大阪NHK放送局と隣り合わせになっている立派な建物でした。
両国にある江戸東京博物館と同じようなコンセプトで作られたのではと思いますが、子供向けのイベントもたくさん用意されていて、とくに考古学の遺跡発掘には力を入れているように思いました。
というのも、大阪歴史博物館という場所は、かつて「幻の難波宮」と言われた地点のすぐ近くに建っていて、古代の歴史を振り返りながら現在の社会や文化を考え、さらには未来への創造を目指すという館の方針が伝わってくるようでした。
その地の利を利用して、発掘調査も盛んなのでしょう。
歴史博物館の構成は時代別のフロアになっています。
最上階の10階が古代のフロアです。
この下の写真の手前に見えるのが難波宮跡。
大極殿や朱雀門の位置もちゃんと分かっているそうです。
左のほうには生駒山が見えるということでした。
はるか大昔はここが都だったのですね。
でも遺跡や遺物がたくさん保存されています。
難波宮はだいたいの時代でいうと、聖徳太子より後で、天武天皇・持統天皇の時代よりも前のころにあたります。
645年に第36代天皇である孝徳天皇(若い頃は軽皇子という名前)がここに遷都をしたということです。
この後、孝徳天皇は中大兄皇子などとうまく行かなくなって、都は大和の飛鳥に移ってしまい、それを悲憤しながら孝徳天皇は亡くなったとのことでした。
この時代は、かなり頻繁に遷都を繰り返していますが、莫大な費用もかかっただろうし、都を作る材料などはどのようにして集め、そしてどれだけの労力が使われたのでしょうね。その頃の人々の生活はどうだったのでしょう?
空想が広がります。
下の写真は当時の姿をした人たち。かなりリアルな姿ですね。
建物もすごい。
立派な柱ですね。直径70センチあり、実物大だそうです。
こちらは女官たち。
とてもカラフルな衣装を着ていますが、そのころから染色技術も発達していたのですね。
いかにも生きているようで、なんだか映画の1シーンを見ているようでした。
次に9階へ下ると信長や秀吉の時代です。
ここからはガラス越しですが、かつて秀吉が住んでいた大阪城が高いビルに囲まれているのが見えます。
その対比がとても面白い風景でした。
太閤さんが今生きていたら、なんと言ったでしょうね。
8階は考古学にチャレンジするフロアがあり、調査発掘の方法を学んだり、実際に土の中から遺跡を発掘するワークショップもあり、小学生たちが楽しそうにチャレンジしていました。
7階は「大大阪時代」でした。
大正末期から昭和初期の大阪のにぎわいが再現されていました。
こちらは歌舞伎が開かれているところを表していますが、リアルでした。
当時の普段着だった銘仙も展示されていました。
カラフルでとても素敵ですね。
このように歴史博物館の各フロアを見学していくと、大阪は奈良時代よりも以前から、日本の中心だった時期があったということが分かり、またその後の繁栄の歴史も分かり、非常に興味を覚えました。
特別展では「エヴァンゲリヲンと日本刀」という展覧会もしていました。
中には入ってみませんでしたが、アニメとの組み合わせがユニークですね。
歴史博物館には模型や展示物もたくさんあり、大人から子供まで楽しめるところでした。一日遊べそうです。
またこの歴史博物館は撮影OKでしたが、それはとても良いことだと思いました。江戸東京はどうだったかしら?
ところで中之島にある中央公会堂の隣には、大阪市役所もありました。
現在、市長の橋下さんはここにいる時間は少ないでしょうが、この中之島は江戸時代には各藩の蔵屋敷が立ち並び、商業の中心だったところです。
今は市役所があるというのも面白いと思いました。
市役所の近くにある公会堂です。
ライトアップされていて、とてもきれいでした。
中にはレストランもあり、食事をしている人の姿も見えました。
ほんの少しの大阪滞在でしたが、古代から現代までの大阪を自分の目で見ることができたのは、とてもよい体験になりました。
(この項、続きます)
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