2014年2月26日水曜日

「あかね空」

山本一力の「あかね空」を読みました。
男性作家の時代小説を読んだのは、浅田次郎さん以外は、たぶん初めてです。


京都からお江戸に下ってきた豆腐職人の大男の栄吉が、ちゃきちゃきの江戸っ子娘のおふみと所帯を持ち、裏通りに豆腐屋を開き、3人の子供に恵まれ、苦労をしながらも表通りに店を出すまで、というのが第一部。

第二部は栄吉やおふみが相次いで亡くなった後、3人の子供たちやその嫁の視点を交えながら、両親の歩んだ道を振りかえり、仲たがいしながらも店を継いでいくというお話。

下町の裏長屋に住む町人たちの人情に支えられて、店を大きくするところまでが面白かったですね。
とくに京都で修業した豆腐の味を守ろうと、己の腕一本で江戸でがんばる栄吉の姿は文句なしにかっこいい。

後半は、家族の結束の強さをやたらに強調しているようで、ちょっと鼻につくところもあるし、時間があっちこっち飛んで行ってお話が分かりにくいところもあるのですが、さすが直木賞受賞作品です。

時代は田沼意次の時代から享保の改革に移る頃のお話で、天明の富士山大噴火などの話もさりげなく入っているので、全くの作り話という感じはしません。

こういうお話は映画化されるのでは、と思っていたら、内野聖陽と中谷美紀が主人公で、すでに映画化されていたようでした。
ただし中谷美紀のおかみさんは痩せすぎだわ。ふっくらとした女性という設定なのにね。


山本さんのことは、以前、私の好きな宇江佐真理さんと対談しているのを読んで、山本さんの潔さがいいなと思い、いつかは山本さんの作品も読んでみたいと思っていたところでした。

かなり分厚い文庫本でしたが、せりふも多いし、話の先を読みたくて次々とページをめくるので、一日足らずで読み終えてしまいました。




4 件のコメント:

  1. こんにちは!

    としちゃんさんのおっしゃる通りで山本一力さんの本は面白い(ちょっと軽いのかなぁ?)ですが、んんん?って所があるんですよね。「だいこん」って本も
    最後が尻切れトンボで凄く勿体無いなぁって思った事があります。

    宇江佐真里さんの本も良いですね。母と祖母が髪結だったのでその言葉に敏感に反応しちゃうんです^^;
    時代小説はなんかホッとしますね。

    訪問浅いのに長々失礼しました!

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  2. カブチさん、コメントありがとうございます。
    そうですか、お母様もおばあさまも髪結いさんだったんですね。今はもうあまり使われない言葉ですが、いいですよね。伊三次さんのことも身近に感じるでしょうね。
    山本さんの本はすらすらと読めますが、しかし書く人にとってはいろいろと資料を集めたり大変なんでしょうね。
    あっという間に読んでしまって、著者には申し訳ない気持ちもします。
    「だいこん」も読んでみますね。

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  3. としちゃん様 こんにちは

    山本一力さん、いかつい顔なのにスゴくロマンチストなんですよね。以前新聞のコラムを書かれていた時に思いました。

    男性作家の時代小説と言えば、やはり池波正太郎さんが一番好きです。
    鬼平や秋山小兵衛は理想の男性像です。(ドラマで演じた吉右衛門や藤田まことが素敵だったこともあります)

    好き過ぎて一時無外流のお稽古に通おうかと思った程・・・(笑)

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  4. よーでるさん、そうそう、山本一力さんはお顔で損をしているような感じがしますが、いろいろと苦労している人のようですね。
    池波正太郎は父が好きで、実家にはたくさん本がありました。でもはまってしまいそうで、今のところまだ読んでいませんが。
    無外流、よーでるさには似合いそうですよ。

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