「結城の里へ 1、2」の続きです。
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結城に行くと決まった時、ちょうどNHKのお昼の番組「ひるブラ」▼で、結城紬を紹介する番組がありました。
それで事前学習をしておくことにしました。
番組の中で、外国人のタレントさんが、結城の着物姿でダンスをしていたのですが、私は彼女たちが耳に付けていたピアスが気になって、それを求めて結城に行こうと思ったのでした。
結城紬の反物は目の保養だけ、あくまで本物を見てみたい、という気持ちでした。
番組で織物の紹介をしていたのが、「奥順」さんの「つむぎの館」▼でした。
奥順さんでは、私が探し求めていた結城紬のピアスは在庫がなかったのですが、お店の人たちはとても親切に探してくれて、恐縮してしまいました。
ここはとても広い敷地で、中には陳列館、染織資料館、染織体験ができるところ、お土産屋さん、ギャラリーなど多くの種類の建物がありました。
結城紬ができるまでの工程をざっと説明すると、
まず真綿かけといってまゆを指先で広げながら、大きな袋に作ります。
そして次に袋から指先で細く引き出します。このとき、唾をつけながらするのですが、この技術がかなり難しいのだそうです。
縦糸、横糸のデザインを行い、かすりくくりという仕事をします。
そして染色になりますが、その染め具合が難しいそうです。
以上の工程を経て、ようやく織るところになります。
全部では40ほどの工程があるとのことでした。
こちらではちょうど「浴衣の草木染め体験」▼をしていました。
自分で浴衣の染めが体験できるというので、人気のコースなんだそうです。
下の写真の右側に見えるのが、できあった浴衣です。
色は藍色と黒のほかに、茜色、クルミ色がありました。
その組み合わせを自由に選んで、自分だけの浴衣を染めるのだそうです。
仕立ても依頼できるということでした。
染織は何回も何回も布に色を漬けて、大変そうでした。
その後で、大広間にある大量の結城紬をじっくりと見ることができました。
どれもとても素敵でしたが、いわゆる結城の織物(渋い色に細かい亀甲が入ったもの)は、童顔の私が着るとせっかくの結城がウールか木綿にしか見えなくなりそうです。
樋口可南子さんや檀ふみさんが着ればお洒落な着物に見えるのでしょうが、私だと女中さんの衣装にしか見えないでしょう。
お店の人の話を聞いていると、機織りの微妙な加減を習得するまでにはとても長い時間がかかり、そして作業の辛さの割には、賃金はすごく低く抑えれているということでした。
名人と言われる人でさえ、「自分の娘には後継ぎにはさせたくない」というほどの低賃金だそうです。
呉服屋さんではあんなに高く売っているのに、作り手にはまるで反映されないということは、非常におかしなことですね。
そういう話を聞いたので、織り手の人に少しでもがんばってもらいたいと思って、私の出せる範囲で結城紬を購入しようと思いました。
それで模様の入った反物は目に入れないで、無地の結城を探すことにしました。
お店の人は、私の我儘な注文にも嫌な顔もせずに、遠くの場所からブルー系、ピンク系、黒などのいろいろな反物を運んできてくれました。
なかなかピンと来るものがなくて、どうしようかなと思っていたのですが、お店の人が自分用にと取っておいた黄色の紬がとても素敵でした。
そしてそれをまとってみたところ、顔映りもよく、周りの方も褒めていただいたので、誂えをお願いすることになりました。
実物はもっと鮮やかな黄色です。
これは「結」マークではなくて、「紬」マークなので、超高級品ではありません。奥順さんの「はたおり娘」というブランドです。
でもちゃんと機を織る女性の絵もついていますし、割印もあるので、大丈夫。
私の希望だった無地の結城紬と出会えたので、とても幸せな気分になりました。
お世話になった奥順のみなさま、駅の観光情報センターのみなさま、そして案内役をしていただいた「きもの熱さん」▼、どうもありがとうございました。
とても有意義な一日となりました。
参考までに、結城組合のHP▼では、機織りの様子が動画でご覧いただけます。
(おしまい)
奥順の若社長は元気でしたか?
返信削除彼は確か2年前まで、 青山えり華で修業していたんですよ。
帰って、結婚してなかなか逞しくなってきたわね、などとTVで見かけたときに思いましたが。
結城は着込むほど体に馴染んで気持ちよいですよね。
maryhitsujiさん、こんにちは。
返信削除駅前の観光情報センターで開かれていた地産地消の特別展示会ではいくつかの問屋さんが交代で順番をしていたようですが、奥順さんの若社長という方は分かりませんでした。
ごいっしょしたきもの熱さんならご存知かも。
えり華にいたんですか。
結城は単衣に仕立ててもらいましたよ。
結城の無地の単衣、ステキ♡
返信削除私も欲しいです。
結城紬は軽くて暖かいのが長所と言われますけれど、東京に住んでいると、それほど寒さ対策は必要ないのではと思い、単衣にしました。このところ、単衣を着る期間がかなりあるし、お仕立て代も袷よりかなり安かったので・・・。
返信削除としちゃん、その節はお世話になりました~案内というほどのことはできませんでしたが、おかげさまで楽しい時間を過ごせました。この黄色は単色ではなくて、深みのある面白い無地でしたね。とてもよくお似合いでした。秋の着物day結城に着ていけるといいですね~
返信削除雨女(?)のとしちゃんのおかげで、ほんとにゆっくりお話も聞けて、じっくり反物も見られてラッキーでした。私のほうは記事が滞ってて・・・まだこれから書こうと思っています。また何かご一緒できるとうれしいです☆