市民カレッジ「美術館建築を楽しむ」の4回目の簡単な覚え書きです。
今回のテーマは、東京近郊にある5つの美術館紹介でした。
まずは埼玉県立近代美術館▼。
ここは黒川紀章さんの建築。1982年築。
黒川さんはご存じのように丹下健三さんの門下生で、「日本初のメディア型建築家」と呼ばれた方です。
奥様の若尾文子さんと一緒にいろいろなマスコミにも登場されていましたね。
国立新美術館や、原宿にある日本看護協会なども建てています。
この美術館は、北浦和公園の中にあります。
公立美術館なので、予算もあまりなく、国宝などの人寄せ目玉がないという欠点を逆手に取り、敷地内に有名作家の椅子を置くという方法で、集客能力を高めたそうです。
黒川さんは円錐型のものを作るのがお好きなようで、それがポイントとなっています。
お次は群馬県立近代美術館▼。
黒川さんと同じ丹下さんの門下生である磯崎信さんの建築。1974年築。
磯崎さんはロスアンゼルス現代美術館、水戸芸術館などの建築家としても有名な方です。
また品川にある原美術館の別館としてハラアークミュージアム(群馬)も建てられています。
黒川さんの特徴である円錐に対して、四角錘のものをよく作っていらっしゃるそうです。
この写真にもあるように、すーっとした曲線のもの(?)を作るのがお好きなそうです。
この美術館は、自然光と人工照明をミックスさせて、それをコンピュータでコントロールしているそうです。それが省エネにもつながるということです。
ただし、エントランスホールや階段などにお金をかけすぎてしまうと、美術品展示室にかけるお金がなくなってしまうという欠点もある、というのが講師の指摘でした。
3番目は千葉県立美術館▼。
これは大高正人さんという方の作品。1980年築。
当時としては珍しく、全館バリアフリーの建物です。
大高さんは東京文化会館、群馬県立歴史博物館、神奈川県立近代美術館も建てられています。
また「坂出人口土地」という階下は駐車場、上はマンションという開発を早くから試みていたそうです。
次は埼玉県立歴史と民俗の博物館▼。
前川國男さんの作品。1970年築。
ここは大宮公園の中にあり、樹木などをうまく利用した美術館です。
この方は東大を卒業してすぐにシベリア鉄道でパリに渡り、コルビジェに学んだという伝説の建築家だそうです。
日本で最初の超高層ビルともいえる東京海上日動ビルを建てましたが(1974年)、当時は「皇居を見下ろしてはならない」という声があり、99mという高さに変更したそうです。
この方は、美術館で美術品を見るコースは、「一筆書き」のようにして、入り口から入って、最後はまたもとのところに戻る、というような配置をしたそうです。
この方のおうちは、現在、武蔵小金井にある江戸東京建物園にあるそうですが、1942年という戦時中に建てられたので、釘はほとんどつかわない美しいおうちだそうです。
最後は山梨県立美術館▼。
やはり前川國男さんの作品。1978年築。
ここは、ミレーの「種まく人」で有名ですね。
広々とした敷地内にある美術館です。
ここも「ひと筆書き」になっています。
私は2010年7月に訪れています。
その時のブログ▼です。
美術品を見るときは、やはり自分の好きな美術館で見られるといいですね。
私は前にも書きましたが、ドーンと大きくて窓ガラスが大きな近代的な美術館よりも、こじんまりとして薄暗いくらいの建物の方が好きです。
永青文庫とか、静嘉堂などの、古い家を利用したところが好きですね。
2009年に永青文庫に行ったときのブログ▼
器ばかりが目立ってしまう存在感のありすぎる美術館よりも、全体の雰囲気のある美術館を大事にしたいですね。鉄とガラスばかりが目立ってしまう美術館は、あまり好きではありません。
主役はやはり中身だと思いますから。
講師の言葉に寄れば、美術品を見た後で、余韻を楽しめるようなスペースがあるのが、理想的な美術館建築だということでした。
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この日は、諸事情により洋服(パンツスタイル)で参加しました。
そのせいか、講義の間、なんだか肌寒くて、落ち着きませんでした。
やはり着物にすればよかったと、後悔したのでした。
次回は、浦和にある埼玉県立近代美術館の実踏です。
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