2015年6月28日日曜日

「美術館建築を楽しむ 6」

市民カレッジ「美術館建築を楽しむ」の6回目は、講師の故郷でもある石川県の各地にある美術館の紹介でした。


今回は、以下の4つの館を紹介していただきました。

1.石川県七尾美術館
内井 昭蔵 設計 1994年


内井さんは、日本で初めて公園の敷地内に美術館を建てた建築家です。
それは1985年に建てられた世田谷美術館です。
その後、日本全国で公園+美術館というパターンが増えたそうです。
また美術館にカフェを作ったものこの方が最初だとか。
内井さんは、他にも高岡市美術館や大分市美術館も設計しているそうですが、どれもその地方の
素材を使用するという工夫をされているそうです。
この七尾美術館は七つの屋根を持ったドームが特徴とのことでした。
また七尾は長谷川等伯の出身地でもあるので、ここでは、年に1回は等伯の特別展が開かれるそうです。
私も等伯の原点である能登地方の空気を感じさせる、この美術館に行ってみたいと思いました。

2.石川県能登島ガラス美術館
毛綱 毅曠 (もづな きこう)設計 1991年


能登半島の真ん中あたりにある能登島に建つ美術館です。
目の前に海が広がり、立地条件は最高のところのようです。
毛綱さんという建築家は、風水を取り入れた設計をした方だそうです。
ここでも、四神(東に青龍、西に白虎、南に朱雀、北に玄武)に見立てた棟を配置してあります。
かなりの奇人だったということでした。
自己顕示欲が強そうな方で、美術館に展示される作品よりも、建物の方が目立ちそうな感じでした。
建てられた当時は斬新さが目を引きますが、年月を経ると、メンテナンスに問題があるという設計もあったそうです。
故郷の釧路にも、いろいろな建物を作っていらっしゃいました。

3.西田幾多郎記念哲学館
安藤 忠雄 設計 2002年


能登半島の日本海側に面した、かほく市出身の西田幾多郎の記念館です。
日本を代表する建築家・安藤さんの特徴であるコンクリートの打ちっぱなしが随所にみられます。
館内の階段など、随所に安藤忠雄の個性が生きているようでした。
建築家の目から見ると、かなり高度な技術を持った職人さんでなくては作れない構造になっているということでした。
ちなみに私の住んでいる市にも安藤忠雄さんの作品(劇場)がありますが、私はどうも好きになれません。
外観の冷たさもあるのですが、それ以上に配置が入り組んでいて、たとえばトイレに行こうと思っても、いつもウロウロと迷ってしまうようになっています。建築家の趣味かもしれませんが、使いにくいのは困りますね。
  
4.中谷宇吉郎雪の科学館
磯崎 新 設計 1994年


雪の結晶で有名な加賀市出身の科学者・中谷宇吉郎の美術館です。
この隣には中谷の生家もあるそうです。
彼は寺田寅彦の弟子で、随筆家としても多くの著書があるそうです。
建物の外部には大量の盛り土をして、2階のエントランスに導いています。
また中庭にある60トンもの石はグリーンランドから運んできたものだそうで、それは中谷さんの研究にも関わっているのだそうです。
中谷さんの娘さん(かなり高齢の方ですが)が芸術家とのことで、その作品も飾られています。
ここは金沢からは離れているので、簡単に行けるところではないようですが、雪の季節に出かけたら素敵だろうなと思えるところでした。

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講師の先生は時々、建築とは直接関係のない話をしてくれるのですが、そのほうが興味くて面白いこともあります。

今回、印象的だったのは、美術館と神社の比較でした。

日本人が神社にお参りに行くときは、長い参道を歩き、手や口を水ですすぎ身を浄め、お賽銭を投げて、そして礼をして、願い事を神様に祈るという一巡の手順がありますね。

ところが普通の美術館は、入り口で代金を払うとすぐに展示会場になり、心の余裕がないままに作品と出会うというケースがよくあります。
美術館に到着するまでの道も、ごちゃごちゃしていたり、世俗的なものに囲まれていることが多いのではないかという指摘でした。
このようなことは作品に対して失礼なのではないか、また作品を見た後も、余韻が残らないのではないかという意見を述べていました。

神社と美術館をそのまま比較するわけにはいかないですし、目的も違うとは思います。
ただし、日本人が神社やお寺にお参りすることは、小さなころから自然に身についているように、美術館も子供のころから慣れ親しみ、美しいものを見る訓練や、態度を学ぶ必要ではないかと思いました。

ちなみに、日本はイギリスやフランスなどに比べると、美術館の数はかなり多いそうです。
でも気楽に足を運べるような料金でないところが多いですね。

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この日の装い。

このところよく登場している黄色い縞の遠州木綿です。

(これは美肌に写せるというアプリを使用してみました。)


会場は冷房がきつくて、着物でも肌寒いくらいでした。
洋服だったら凍えてしまいそうでした。

帯の模様が花火のようですね。


暑い季節は、ブルー系のものを身に付けたくなります。


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