ここは、秩父織物、銘仙などに関する民俗学上貴重な資料を収集・保管・展示し、それらの資料を永く後世に伝え、あわせて伝統的技術を継承することを目的として設置された施設です。
かつては埼玉県秩父工業試験場でしたが、2002年(平成14年)に「ちちぶ銘仙館」としてオープンしました。
昭和5年ごろに建てられたというレトロな雰囲気の建物でした。
入館料は200円です。
建物の入り口で集合写真を撮ろうとウロウロしていると、おじいさんが親しげに近寄ってきました。
あれこれお話をしていると、なんとこの方は秩父の伝統工芸士の長の方だということが分かりました。
私たちが着ていた銘仙の柄を見て、
「これは秩父だね」
「これは伊勢崎」
と指摘してくれました。
私が千円で買った派手な銘仙は、足利銘仙ということでした。
「これは古いものだね」とおっしゃいました。
着物の産地が分かっただけで、なんだか得をしたような気分になりました。
「ちちぶ銘仙館」でいただいた資料によると、秩父は「知々夫」とも表記されていたようですね。
秩父は養蚕の地として鎌倉瀑布が開かれるころより栄えたところだそうです。
江戸時代には南蛮渡来の布地を「シマ物」(遠い島から渡ってきた産物)と称していたそうですが、秩父ではシマ物の製織に成功したのが、現在の秩父銘仙の始まりと言われているそうです。
その後、秩父銘仙は伝統を受け継いで、高品質なものに改良を重ね、「ほぐし銘仙」を考案して、明治中期から昭和初期にかけて最盛期を迎えました。
一時期は、秩父の市民の7割が織物関係の仕事についていたこともあるそうです。
しかし戦後の生活様式の変化により、着物の需要は激変しましたが、現在では秩父銘仙は趣味の着物として愛用されるようになっています。
秩父銘仙の特徴は、平織りで裏表がないのが特徴です。
そのため、表の色があせても、裏を使って仕立て直すことができるのが利点だそうです。
私は昔の座布団にも銘仙が使われていたことを見て、懐かしさが湧いてきました。
かつては大活躍していた機械です。
糸の色がとても美しかったですね。
銘仙の製造法も詳しく説明してありましたが、あまりに工程が長くて、とても難しそうでした。
「ほぐし捺染」という用語だけ覚えてきました。
それでも現在でも秩父銘仙の織を学びに来ている人がたくさんいるとのことでした。
教室にには大きな機が何台も置いてあり、製造途中の銘仙がかかっていました。
建物を見るだけでも一見の価値があるところでした。
さきほど入り口で説明してくれた伝統工芸士さんの作品もありました。
ここでは織や染の体験教室もあるので、予約をして出かけるのもよいでしょうね。
銘仙館を後にして、秩父の駅までぶらぶらと歩いて行きました。
最後に、後ろを向いて、みんなで帯の記念撮影。
駅の隣に並んでいるお土産屋さんで、秩父名物の「おなめ」を購入。
とてもおいしいお味噌でした。
秩父遠足を企画してくださった「きもの de サルコ」の皆様、新啓織物の皆様、銘仙館のみなさま、どうもありがとうございました。
とても楽しい遠足となりました。
(この項、終わります)
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