2015年12月10日木曜日

「春画」と「耽美」の世界

先日、永青文庫に行ってきました。

ここに、前に出かけたのは2009年のことでした。
その時▼は、源氏物語関係の宝物を見てきたのでした。

今回はガラッと変わって、「春画」▼
日本で最初の春画展です。


春画というのは、古くは平安時代の頃からあったそうです。
きっと当時の貴族たちが楽しんだのでしょうね。
その後、江戸時代になり、庶民文化が花開くと、浮世絵版画で活躍した多くの絵師たちも肉筆画で春画を描くようになりました。

今回は大英博物館の所蔵品や海外のコレクションなども多く展示されているようです。
細川の殿さまも、こういうものを集める趣味もあったのでしょうか。


元々の予定では「着物デー」の時にいくつもりでした。
その日なら入場料が安くなるのですが、しかし、土曜日なのでたぶん大勢の人が来るかもしれないと思って、平日に出かけました。

目白からバスに乗って行きましたが、車窓から眺めると、かつての田中角栄の大邸宅も、今は子供向けの運動施設になってしまい、月日の流れを感じました。

さて、永青文庫ですが、平日にも関わらず、すごい人ごみでした。

明らかに後期高齢者と思しき年配の男性、もうすでにそういう関係は終わったのではとお見受けする老カップル、中年女性の二人組とかが、ぞろぞろぞろぞろ。

みんな真面目な顔して、じーっと眺めていました。
中にはルーペを取り出して眺めている人もいましたが、研究資料ではないのですから、適当に冷やかしながら見ればよいのでは、と思いますけどね。


この建物は一つの部屋があまり大きくないので、4つに分けて展示されていましたが、はっきり言って、「第一」の部屋を見ただけで、食傷気味になりました。
何枚か見れば、後は同じようなものだと想像できました。

おまけにちょいとグロテスクで、あまり美的ではない感じ。

それでも着物を着たまま、あれこれ大胆なポーズをとって、くんずほぐれつ、といった様子でした。
かなり無理な体位もあったようですが、自由奔放というか、楽しんでいる様子が描かれていました。

どういう柄の着物を着ているのか、と気になりましたが、そういうのをじっくりと眺めている暇はありませんでした。
それと帯がどのようになっていたのかも、気づきませんでした。
少なくとも、男女とも着衣のまま、という絵が多かったと思います。

中には有名な浮世絵作家のものもあったと思いますが、当時はこういうのは「わじるし」と呼ばれていて、お金稼ぎに描いていたようです。


かつて、昔のお姫様は嫁入り道具として、こういう枕絵を持たされて、それで初夜を迎えたわけですが、こんな絵を見たらきっと怖がったのでは、と思いましたね。
巨大に描かれた男性のものが、そそり立っていて、痛そうでした。

春画というのは、昼間に展覧会で見るものではなく、夜にこっそりと眺めて、にんまりとしするものじゃないのかな。

一生懸命眺めていた老カップルは、どんな気分になったでしょうね。
そして、お友達同士来ていた女性グループは、その後、どんなおしゃべりをしたのか、気になりました。

ただし、私自身は、そのものずばりの絵よりも、それとなく匂わせる程度の絵の方が、色気を感じるように思いました。

さっさと見て、すぐに退出しました。

私の感想としては、女性はこのような春画を見ても、その気になるものではないと思います。
つまり絵を「見る」という視覚に訴えても、性的なものとは結びつかないのではと思います。
それよりも、優しい言葉をかけて聴覚に訴えるとか、柔らかな手触りとかよい香りなどの皮膚感覚に訴えた方が、その気にさせるのではないでしょうか。

男性は週刊誌などのヌード写真に欲情するのかもしれませんが、女性は「見る」ということは、ただ「見る」だけであって、その後は発展しないだろうと思います。

帰りはこちらの急な坂道を下って、江戸川橋まで歩きました。


そしてお口直しに、竹橋にある共立女子大学の「耽美の世界」を眺めてきました。

これは19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパに現れた「新しい美」を意味する「アール・ヌーヴォー」の展示でした。


アール・ヌーヴォーの特徴は曲線でした。
女性の体、ガラス製品、家具などすべて曲線で表していました。

数はあまり多くありませんでしたが、モーリスや、ガレなどの美しい装飾品が並べられていました。


こういうほうが、私の趣味に合うようです。

春画展は12月23日(水)まで開催されています。

*******

この日の装い。

江戸時代の女性が好んで着ていたという縞の着物にしました。

浮世絵に出てくる女性の衣装は、太い縞模様の着物が多いようですが、こちらは細い縦縞の小紋です。


大好きな着物をキリリと着て、紫の帯を締めました。

あまり寒くなかったので、羽織と襟巻で気楽にしました。


写真にすると、全体的に紫っぽくて、メリハリがないように見えますね。

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