今ごろになって昨年のできごとをお伝えするのはちょっと心苦しいのですが、年末は沖縄に旅行に行き、年始になってから大掃除を始めたり、風邪を引いていたので、報告が遅れてしまいました。
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紅花染めは、実は2014年8月に、結城まで出かけて体験してきました。
その時のブログ▼。
これは紅花という花の花びらを黄色と赤色に分けて、紅花染めに使う赤い色だけを取り出し、そしてそれにセルロースパウダーを混ぜて、それで布を染めてみるという体験でした。
そしてその時、自分で作った紅花のうち、ショールに染めた分の残りを、大きな瓶に詰めて、お土産に頂いてきました。
こちらがその染料のパウダーです。
ちなみに上に乗っている桜エビのようなものが、紅花の花びらです。
「次に使うまでは、冷暗所に置いて保管しておくように」という先生のお言葉に従い、普段はあまり使わない部屋に置いていたのですが、それを置きっぱなしにしてしまい、気がついたら早や1年半近くが過ぎてしまいました。
せっかく苦労して抽出した色の素をそのままにしておいては勿体ない、というので何とかしたいと思いましたが、染める方法もすっかり忘れてしまい、本を読んでも難しくて、一人ではどうしようもない、と諦めかけていました。
方法を忘れてしまった私が一番おバカさんなのですが、その時は何も資料がなく、分かっていることは、こちらのガラス窓に描かれた文字だけ。
分量も書いていなかったので、これでは自力では染められませんねぇ。
そして諦めかけていたところ、これぞ天の恵み、というか、たまたま2015年10月に「きものサローネin日本橋」▼で、手織りを伝えていくというプロジェクトのデモンストレーションに出会いました。
お話を聞いてみると、私と同じ地元で活動されていらっしゃるということでした。
写真の右側に立っていらっしゃる方です。ご自分で織った紬を着ていらっしゃいました。
これが大久保有花さんとの出会いでした。
この時、何かがピーンと来ました。
「この方なら、私の紅花を生かしてくださるかもしれない!」と思ったのです。
そして、その後、同じ地元ということで、紅花染を教えていただくようお願いしてみたのです。
なんという図々しさでしょうね。
大久保さんは手織りが専門ですが、染めも学んでいらっしゃる方です。
ということで、「実験」ということにしましょうと、染めを教えていただくことになりました。
実験場所は大久保さんの工房です。
ご自宅兼用の工房のベランダには、染め専用のコーナーが設けてあり、外で水を使用したり、ガスを使用したりが可能なように設計されていました。
私が持参したのは、上の写真にあるボトル入りの紅花パウダーと、アルカリ性の灰ソーダという材料でした。それに割烹着と、ゴム手袋を持参しました。
そして染めるものは、だいぶ黄ばんでしまったり、色が気に入らない半襟を5枚持参しました。
それぞれ素材(絹、麻、木綿)や織り方が違うものでした。
そして試行錯誤の上、5枚の半襟は美しく染め上がりました。
同じ染料で染めましたが、素材によって、サーモンピンク、淡いピンク、濃いピンク、オレンジなど微妙な変化が生まれました。
クリスマスイブの日の、午後1時過ぎからスタートして、試行錯誤しながら染め上ったのは、だいぶ夕方になったころでした。
染め方の手順などについては、また別のブログでお知らせしますが、まずは感動だけをお伝えしたいと思います。
美しく染め上がったので、先生も私も充実感がありました。
染めの作業は中腰で行うことが多く、また冷たい水を大量に流すので、体力も使いますが、その時は「やった!」という感じで、疲れも感じませんでした。
ただし、翌日のクリスマスにはどっと疲れが出てしまいましたが。
染め上がった半襟を干している大久保さんのスナップ写真です。
きりりと美しいですね。
だいぶ前ですが2011年8月に見た、映画を思い出しました。
「朱花(はねず)の月」という映画でした。
詳しいことは、その時のブログ▼をご覧ください。
その映画は染色をしている女性が主人公だったのですが、彼女が染め上がった布を干しているシーンが印象的でした。
ヒロインが、染め上がった布を眺めているところですが、なんとなく似ているでしょう?
染物や織物をする人って、良い表情をされるのだなぁと思ったのでした。
押しかけ女房ならぬ、押しかけ生徒でしたが、快く迎えていただき、場所も道具も貸していただき、実験の指導をしていただいた大久保さんに感謝いたします。
大久保さんが主宰されている着物の手織りを次世代に繋ぐプロジェクト「衣の織(いのり)」▼もどうぞご覧ください。
この実験話しは、「衣の織」のブログ▼にも掲載されています。
kimono熱さん▼と出会ったのも着物の不思議なご縁でしたが、そのkimono熱さんと一緒に結城に出かけて紅花染を体験して、その結城で織りの修業をされた大久保さんに紅花染を教えていただいたというのも、なんとも不思議なご縁でした。
着物にまつわる「めぐりあい」なんでしょうか。
(この項、続きます)
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