カナダ滞在中は、暇な時間には読書をしていました。
日本から持参した文庫本や、妹の家に置いてあった本など、手あたり次第に日本語の活字を追っていました。
どんな本を読んでいたか、ちょっとご紹介します。
「陽暉楼」 宮尾登美子 著
花柳界に生きた芸妓さんの短い一生を描いたもの。
好きになった男の子供を身ごもり、そのときの出産が元で結核に侵されて、悲しく死んでいくお話です。
彼女は舞踊の芸は一人前でしたが、生きていく才覚は少なかったのでしょう。
他にも悲しい運命をたどる女性たちが登場します。
「Nのために」 湊かなえ 著
若い男女が、金持ち夫婦に翻弄され、そして殺人事件になってしまうというミステリーですが、どうにも読みづらくて、イマイチでした。
面白いのかつまらないのか、よく分からないお話でした。
この作者のお話には少年少女がよく登場しますが、私にはあまり感じの良いものではありません。
「こんな夜更けにバナナかよ」 渡辺一史 著
進行性重度身体障害という難病に侵されていく鹿野さんをサポートするための多くのボランティアたちの本音が綴られているレポートです。
障害者にもエゴや欲があり、それをむき出しにしている人がいるから、ボランティアなども気持ちよく動いていくのだろうと思いました。
タイトルの付け方ががすごいと思いました。
これは夜中に鹿野さんからバナナが食べたいと言われて、ブツブツ文句をいいながらも、バナナを食べさせたという逸話から来ています。
「悪女について」 有吉佐和子 著
ある女性の死をきっかけにして、彼女についての逸話を、多くの人が語る、という形式を取っています。
どんな人であっても、良い面、悪い面があるということですね。
有吉さんの物語の語り口がうまく、どんどんと引き込まれていく小説でした。
「すかたん」 浅井まかて 著
江戸の饅頭屋の娘が、嫁いだ相手の武士だった夫が急死してしまったため、大坂の青物問屋に女中奉公に出ました。
彼女は慣れない仕事や大阪になじまずにいましたが、次第に浪花の旨いもんに目覚めていきます。
そこの問屋の若旦那との可愛らしい恋模様を描いたもの。
ただし、私としては同じ著者の「花競べ 向嶋なずな屋繁盛記」で描いた夫婦愛のほうが面白く感じました。
他にも何冊か読みましたが、印象が薄くて、忘れてしまいました。
(この項、まだ続きます。)
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