先日、新橋演舞場で「蘭 ~緒方洪庵浪華の事件帳~」▼というお芝居を見ました。
藤山扇治郎さんが若き日の緒方洪庵役、元宝塚スターの北翔海莉さんが、その相手役の男装の麗人、というお芝居でした。
このお芝居の元となった小説を、図書館で借りて読んでみました。
「北前船始末 緒方洪庵浪華の事件簿帳」です。
本当は「緒方洪庵浪華の事件帳」の最初のシリーズを読みたかったのですが、貸し出し中だったので、第2作であるこちらにしました。
第1作を読んでいないので、話がよく見えなかったのですが、お芝居を見ていたので、大体のストーリーはつかめました。
第2作も、大坂で蘭学塾の医学生である緒方章が、いろいろな事件に巻き込まれて、大坂を陰で守り続ける「在天別流」の血統を受け継ぐ謎の男装の麗人・東儀左近(普通の時は、饅頭屋の娘・佐江として生活している)に助けられる、という基本は同じでした。
この二人の淡い恋の行方ですが、章は成績優秀であるがゆえに、江戸にもっと高度な医学を学びに行くことになるところで終わっています。
舞台に比べて、小説の方はかなり話が込み入っていて、登場人物も多く、ややこしかったのですが、さすがにお芝居にするときは、分かりやすく脚色されていたようです。
本の紹介には「痛快無比、浪華の町を悪事から守り抜くほろ苦い決意を描く」とありましたが、うーん、私にはそれほど痛快ではありませんでしたね。
ただし、これまでの時代小説は江戸が中心の話を多く読んできたので、大阪が舞台の小説というのは、大阪弁という特殊性もあり、それはそれなりに面白い部分もありました。
ちなみにこのシリーズは、テレビでは栗山千明さんというすらりとした女優さんが演じていたようです。
著者は築山桂さんという人ですが、なんとこの人は女性でした。男性だとばかり思い込んでいました。
1969年京都生まれの大阪育ち、大阪大学出身の方でした。
硬い文章のところと、妙にラフな文章のところが混じっているので、どんな人か想像がつかなかったのですが、「桂」という名前は男性とも女性ともどちらでもよく、それはヒロインである左近さんが男装しているのと、どこかで繋がっているのかもしれません。
できたら、つぎはこちらの、第1作の方も読んでみたいですね。
本のカバーがあまりに可愛らしくて、ちょっと笑ってしまいます。
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