2018年8月6日月曜日

「方丈記を3時間で読む会」@自由が丘

先日、東京・自由が丘にある素敵な一軒家カフェで、「方丈記を3時間で読む会」が開かれました。


この会は、毎月1回開かれている「源氏物語を原文で読む会」のスペシャル・バージョンです。
いつもの参加者に加えて、1回限りという方もいらっしゃり、また会場もいつもと違って、カフェ「えんがわ engawa inn」▼で行われました。

こちらが入り口ですが、樹々に囲まれていて、まるで軽井沢の別荘にいるような雰囲気でしょ?


ここはかつては大学教授だった方のおうちだったそうです。
庭にはその先生の胸像も残されていましたよ。


「方丈記を3時間で読む会」の進行と解説役は、「源氏」のときと同じEさんです。

大きな活字の資料も用意していただき、ちょっと目が弱くなってしまった人には好評でした。
また関係する地図やパンフレットもたくさん用意されていて、ありがたいことでした。
そしてそれらの資料がきちんとA4ファイルに収まって配布されたので、とても便利でした。


さて「方丈記」というと、誰でもその冒頭の部分はご存じだと思います。
高校の古典の教科書にはたいてい載っていましたよね。
(今の教科書は分かりませんが)

「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。
淀みにうかぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる試なし。」

作者の鴨長明(1155年ー1216年)という人は、京都の下鴨神社の神主さんの息子として生まれた人で、そこそこのおぼっちゃまだったそうです。
それが後継ぎ問題でごたごたが起きて、結局彼は神主として引き継ぐことができませんでした。そういうことが彼の人生観と結びついているようです。
時代的に見ると、平清盛(1118年ー1181年)よりは、少し後に生まれた人のようです。
源頼朝(1147年ー1199年)とはあまり年の差はありませんが、50歳ちょっとでなくなった頼朝に比べると、鴨長明は62歳まで生きたそうですので、当時としてはまぁ、長生きの部類に入るのでしょうね。

この時代は大火災や竜巻、地震などの自然災害が多く、また飢饉のために農作物は取れず、餓死する人が多く、道端には死体がころがっていたという状況だったそうです。
まだ若かった鴨長明は、その状況をしっかりと覚えていて、その内容は明瞭なものでした。

そして鴨長明は54歳ごろの頃、小さな庵に住むようになりました。
家族も職場もなかったので、郊外の日野というところに引っ越しました。
でもここは山奥ではなくて、都にも近いところだったようです。


よく世の中に伝わっているような「世捨て人」というイメージはなかったですね。
河の流れを眺めて、「ああ、無常だ」と嘆いている引きこもりのおじいさんではなかったということが印象的でした。
前向きな人だったようです。

今、生きていたら、けっこう新聞記者とかレポーターとして活躍できたのでは、と思えるほど、現実を見つめていた人だったと感じました。

ちょっとは知っているつもりの「方丈記」でしたが、全体を通して読んだことがなく、そして全文を読んで、とても短いものだと分かりました。
説明をしていただいても、3時間程度で終わることができました。

とてもリラックスした雰囲気の中で、すごせた学習会でした。
できたら、参加された皆さんの感想をひと言くらいは聞いてみたかったですが、時間が限られていたので、また何かの機会があれば、と思います。


始まる前はこんな感じ。


アカデミックな雰囲気が良いでしょう?


こちらはいつも源氏物語をご一緒している着物友だちのKさん。
親類の方からいただいたという夏着物を、すっきりと着ていらっしゃいました。


私は暑さにめげて、パンツスタイルにしました。
それでも炎天下を歩いたときは暑かったですね。

今回の方丈記が面白かったので、もう一度、読み返してみようと思って、こちらの文庫本を購入してみました。


現代の日本も、自然災害が多く、この時代の環境と変わりがないじゃないか、とつくづく思うこの頃です。

Eさん、大変お世話になりありがとうございました。


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