2018年12月30日日曜日

大♥地図展@東洋文庫ミュージアム

私が「東洋文庫ミュージアム」▼の存在を知ったのは、12月初旬に、都内の紅葉見物バスツアーに行った時▼のことでした。
六義園に寄った際、自由散策時間があったので、周辺をぶらぶらと歩いていると、立派な建物を見つけました。
それが東洋文庫ミュージアムだったのでした。


何となく気になって近寄ってみるとアジアムードたっぷりの看板が出ていました。


そして地図の展覧会が開催中だということを知りました。
「伊能忠敬没後200年&歌川広重没後160年」▼というサブタイトルの、古地図と浮世絵の展示会ということでした。


詳しく検索してみると、12月23日には、伊能図を元に小説を書いた作家の講演会もあるというので、何としても参加してみたくて、もろもろの用事をキャンセルして駆けつけたのでした。

まずは展覧会のご紹介です。


日本で地図として一番古いものは、「行基図」というものだそうで、現存している最古の地図は14世紀のものだとか。

そして18世紀になると、石川流宣(とものぶ)という人の地図が登場します。
この人は元々は浮世絵の絵師だったそうです。
その後、長久保赤水が登場して、正確な地図を作成します。
この赤水の地図に関しては、こちらの展覧会の様子▼をご覧ください。
シーボルトが持ち帰った地図は、赤水のものもあったということです。
かなり正確に日本の地形を表していました。
ただし北海道はまだ存在していませんでした。

これは初期の関東地方の地図です。
富士山の登山道も詳しく描かれていました。


伊能忠敬測量隊の足跡。
初めに東日本に行き、後半は西日本に測量に出かけました。


展覧会には、日本各地の風景や名所、旅の様子をえがいた浮世絵もいろいろと展示されていました。
葛飾北斎も鳥瞰図のような地図を描いていたのには、驚きました。


このミュージアムにはあっと驚く書庫がありました。
「モリソン書庫」というものです。


東洋文庫の創設者の岩崎久彌(三菱の三代目)が、北京駐在のオーストラリア人モリソン博士から、東アジアに関する欧文の書籍・絵画・冊子など約24,000点をまとめて買い取ったそうです。
今のお金に直すと、70億円ほどだったとか。


壁という壁が書籍で埋まっていました。
天井まで隙もありませんでした。
圧倒されました。


展覧会の後は、太田俊明さんの講演会に参加しました。
タイトルは「伊能図の小説的解釈」▼

伊能忠敬は今の千葉県の九十九里で生まれ、佐原で商人として家業を継ぎます。
その後、49歳で隠居して江戸に出て、地図作りに人生をささげた人です。
第1回測量の時は55歳で、これは今の年齢にすると78歳に相当するとか。
すごい人だったのですね。
当時の将軍は徳川家斉、そして葛飾北斎とはほぼ同時代を生きた人でした。
その頃は、ロシアやアメリカの船が日本近海に出没して、幕府は国防のために正確な地図を作る必要があった時代なのでした。

太田さんご自身も、伊能忠敬と同じように、大手の会社に勤め、そして中年になってから作家としてデビューされた方です。

伊能忠敬の生涯を辿り、そして彼の歩いた道を小説「一身二生」にされたときの取材旅行の苦労話などを語っていました。
ちなみに一身二生とは、一生に二つの人生を生きる、という意味の伊能忠敬の言葉だそうです。


私も伊能忠敬の人生はだいたいは知ってはいましたが、10回も測量をして、最後の遠征時にはなんと72才(今の年齢にすると100歳以上)だったとは驚きました。
気力・体力ともに充実した人だったのでしょうね。

彼自身の真の興味は「地球の大きさを知りたい」ということでしたが、それでは幕府の許可が下りないので、「地図作製」という名目を立てて測量を始めたのだそうです。
それが結果的には、地図のほうが目的となったということでした。

また伊能忠敬にとっては、年下の尊敬する天文学の師・高橋至時の存在は非常に大きく、また二人の奥さんもいたということも知りました。

彼の境地は「道楽から道心へ」ということだそうです。
好きなことだけをするのは道楽かもしれませんが、道心というのは悟りを開く、という意味でしょうか。
伊能忠敬は自分の知りたいことを追求していき、それが世のため人のためになったのでしょうね。

太田さんの講演を聞いて、是非とも伊能忠敬記念館▼に行ってみたいと思いました。

こちらはお土産に買ったガイドブック。
手ごろな大きさで持ち運びにも便利。
東洋文庫の若い学芸員さんの執筆によるものです。


東洋文庫ミュージアムではこのような講演会を定期的に開催していて、知的好奇心を求める多くの方が参加されています。

なお、上記の展覧会は2019年1月14日まで東洋文庫ミュージアムで開催中です。

2 件のコメント:

  1. カンカン12/31/2018

    東洋文庫ミュージアムのことは知りませんでした。面白そうなところですね。
    併設のオリエント・カフェも魅力的です。今度六義園に行った時でも
    寄ってみようかと思っています。素敵な場所を紹介してくれてありがとうございます。
    としちゃんの好奇心はとどまるところがないですね。

    返信削除
  2. ここを見つけたのは、ほんとうに偶然からでした。
    六義園と東洋文庫はセットで利用すると割引になるようですね。

    私もカンカンのブログから、いつも素敵な場所を参考にさせてもらっています。
    来年もどうぞよろしく!

    返信削除

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