2020年11月14日土曜日

都立大学プレミアム・カレッジ 3

今回の講演は「若者の就業問題から8050問題へ:労働問題からみる私たちの社会」というタイトルでした。

講師は仁井田典子さんという准教授でした。ご自身が40歳で、ちょうど就職氷河期に当たるそうで、これまで「ジョブカフェ」という若者就業支援をされているそうです。

仁井田さんのお話では、1990年から2000年までの間に、「フリーター」とか「ニート」と呼ばれる人たちの存在が問題になり始めたとのこと。その頃は20代くらいの人が対象でした。

そして2020年現在では、彼らが40代、50代になり、彼らの親の世代と合わせて「8050」問題と言われています。

ところで若者の就職問題は、景気に大きく左右されます。企業は景気が良ければ正社員をたくさん採用するし、景気が悪くなれば控えます。つまり若者が企業の安全弁になっているのです。

フリーターやニートの就職に対しては、「本人のやる気のなさ」や「就業意欲の低下」が問題視されますが、それを上乗せしたのが、政府の労働者派遣法だった、との説明でした。派遣労働などの非正規雇用が多くなってきたのは、政府のお墨付きがあったからなのですね。

去年、農水省の元次官というエリート男性(70代)が、自分の息子(40代)を殺してしまった事件がありましたが、これはフリーターの息子がこのままでは他人を傷つける事件を起こしてしまいそうなので、その前に自分の手で殺した、と言われています。

そういう悲惨な事件が起きないためにも、若者の自立訓練が必要ですが、これは個人の問題では片付けられないものです。

この講師の結論は、若者の自立は「社会全体の問題である」ので「他者理解が必要」と述べていました。

「他者理解」という言葉の意味の実態が良く分かりませんが、それだけでは少し物足りないのではないでしょうか。

私の感想としては、この方の研究は若者サイドからのアプローチが重視されていましたが、私はそれだけではなく、親の世代(年金世代)にも問題があるのではと感じました。

現在は親の年金を頼りにしている50代の子供でしょうが、親が亡くなったらどうなるのでしょう。あと10年か20年もすれば親は必ず亡くなります。その時になって急に自立を求められても、無理でしょうね。

私自身がその親世代に近いので分かりますが、とかく年寄りの中には「大きな会社こそが良い会社」であるとか「我慢して働くのが美徳」と考える人がいると思います。昭和の風潮を引きづっているようです。

でも令和の現実はそうではありません。昔からの自分の基準に合わせるのではなく、子供が自分で考え、自分で何かを見つけられるように育てることこそ、親のつとめだと思います。

私は子育てにあまり熱心でなかったせいか、幸い、子供は何でも自分でするようなタイプに育ってくれて、早いうちに家を出て行きました。現在は仕事と家庭を両立させているように見えます。私は子供には自分で決めるようにさせていたので、それが少しは役立ったのかなと思っています。

若者支援には、やはり子供のころからの家庭教育も大事だろうと思います。

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「一日一句」

親と子が並んで眺める冬夕焼け




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