この本は、だいぶ前に、図書館に予約をしていました。
加門七海さんの「着物憑き」です。
新聞の書評欄に、どなたか(たしか澤田瞳子さん)が「これは面白い」と書いていたので、読んでみたいと思い、図書館に借り出しの予約を入れておいたのです。
忘れた頃になって、「ご予約の図書の貸し出しができるようになりました」という連絡があり、受け取りに行ってきました。
ということで、かなり時間がたってしまったので、当初の読みたいという意気込みが薄れてしまいました。
著者の加門さんは、ホラーや妖怪などの小説を書く方だそうです。私はこの人の本は読んだことがないのですが、タイトルの「憑く」という用語からして、そういうホラー系の分野を想像された方も多いようですが、実際はそういう怖い本ではありません。
着物についてのエッセイです。ただし、着物好きすぎて、かなり熱が入っていますが。
内容は、着物や帯、帯留、草履、文様など、着物好きなら興味のあることばかりです。その歴史やうんちくが、たんまりと語られています。
ただし、先にも書きましたが、ホラーを期待していた人でも着物には無関心とか、あるいは着物のことはよく分からないという人も多くいます。そういう人のために、文末に「本書における和装関係用語」というのがあるのが、これが結構、面白いのです。
ちょっと書き出してみますね。
「肌襦袢 素肌にじかにつける和装用インナー」
「裾除け 腰から下に巻く布状の下着」
「こはぜ 足袋の着脱のため、足の内側についている山形の金具」
こんな感じですが、イラストでもないと分からないかもしれませんね。
加門さんは美術大学を卒業されていて、学芸員の経験もある方なので、たしかに物知りで、着物についての知識も豊富です。そしておばあさま、お母さま、ご本人とも、背中の首のあたりにほくろがあり、それは「衣装黒子」というもので、衣装持ちの印なんだとか。そういう着物好きの人が書いているので、着物関連の歴史などは楽しむことができます。
ただし、私自身は、エッセイよりも物語が好きなタイプなので、この次はこの方の小説を読んでみたいと思いました。
またこれは編集者の趣味かもしれませんが、文章がセンテンスごとに改行されていて、それがかえって読みづらくて、気になりました。
こちらは、ついついネットで買ってしまった帯締め5本セット。紫とブルーの帯締めに魅かれて買ってしまいました。
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「一日一句」
着物好き埋もれてもがく春の闇
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