NHK大河ドラマで「鎌倉殿の13人」を見ているせいか、この時代に関連した小説を読んでみたいと思いました。
そして図書館で手にしたのが、杉本苑子さんの「竹ノ御所鞠子」です。初出は1991年ということですから、今から30年以上前の作品です。
杉本さんの著書は、紫式部の少女時代からの人生を描いた「散華」や、玉川上水を作った「玉川兄弟」の話が大好きなので、きっと面白いだろうと期待しました。
予想通りとても面白く、あっという間の半日ほどで読み終えました。
物語は、鎌倉幕府二代将軍の源頼家の娘である鞠子のお話です。
頼家には正妻の他にもたくさんの側女がいて、鞠子は木曽義仲の娘である刈藻という女性との間に生まれた女性です。そしてこのお話は、鞠子の母である刈藻の立場で描かれています。
鞠子には他には4人の兄弟がいましたが、彼らはみんな若いうちに殺されてしまいました。
ということで鞠子は源頼朝のただ一人の直系の生き残りですが、竹の御所というところで母たちとひっそりと暮らしています。
そして六郎という男性と相思相愛の末に結ばれ、子供まで生まれました。
ところが、鞠子は、尼将軍政子や、北条義時などの策略によって、四代将軍に祭り上げられた三寅という9歳の男の子と結婚させられてしまうのです。
なんということでしょう。
19歳年の差の結婚です。
そして鞠子の最期は悲劇で終わるのですが、この物語を読んでいると、北条執権政治がいかに非情で横暴なものだったかが見えてきます。
物語には他にも三浦氏や和田氏など、テレビのドラマに登場する面々も登場しますが、小説を読んでいると、彼らは陰謀や策略ばかりで、政治を行っているという意識はなく、まったくひどいものだと思いました。
また京都の上皇やお公家さんたちも似たりよったりの人たちでした。
この時代は、男子として生まれれば跡取り、女子はその跡取りを生むもの、という時代でした。
鞠子は悲しい人生を終えますが、それでもある一時期には愛する人の妻として、そして母として生きてきた幸せな時間があったので、それで少しは救われた気分になりました。
それにしても北条政子は当時としては長生きをして、最期まで権力を奮っていたようです。自分の孫でもある鞠子のことを、可愛いとは思わなかったのでしょうか?
物語には、他に創作の人物も登場させて、うまい具合に話にアクセントを付けています。
また実朝が大きな船を作る話など、エピソードもうまく取り入れています。
そして何よりも杉本苑子さんの読みやすい美しい文章が続き、一気に読ませてもらいました。
ただ読んでいると、小栗旬や山本耕史の顔がチラついてきて、ちょっと困りましたが。
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