2008年9月24日水曜日

「憑神」 書籍版


この前、憑神の映画版をDVDで見て、面白かったので今度は原作を読んだの。

著者はもちろん、浅田次郎さん。


時は幕末、武士道まっしぐらの主人公が、ひょんなことから3種類の神様(貧乏神、厄病神、死神)に取りつかれてしまって大変なことに。

神様といっても、主人公の前に現れたのは、商売人の姿をした貧乏神、お相撲さんの姿をした厄病神、そして可愛い少女の姿をした死神という面々。

そんな主人公と神様たち、そして彼の家族(離縁させられた妻、縁の切れた子供たち、母、兄、兄嫁)や、彼を取り巻く庶民代表の二八蕎麦屋の親父や、御徒士(おかちと言う下級武士)たちの物語。

私はこれまでは原作を読んで、そして映画を見て、がっくりというパターンが多かったのだけど、この本に関しては先に映画を見ていて良かったわ。

というのも、原作は漢字がいっぱいで、話もごちゃごちゃしていて、ストーリーを知らないと読みにくいと思うのよ。
今回は映画である程度ストーリーが分かっているので、難しい漢字が出てきても楽チンでした。

それに俳優さんたちのイメージがまだあるので、誰が誰だかよく分かりました。


浅田さんの原作を読んでいるといろんなことが学べるの。

たとえば、徳川家の将軍様のことだけど、「権現様」というのは誰だか分かるわよね。言わずと知れた初代の家康公です。

ところが、台徳院様、大酋(この字に右側に犬という漢字)院様、厳有院様、常憲院様、文昭院様、有章院様、有徳院様・・・・・と書いてあると誰だか分かるかしら?

ふりがなによると、それぞれ「にだいさま」「さんだいさま」「しだいさま」「ごだいさま」「ろくだいさま」「ひちだいさま」「はちだいさま」なのよ。

つまり家康から始まって、秀忠、家光、家綱、綱吉、家宣、家継、吉宗とくるわけ。

もちろん、時は15代将軍の慶喜の時の話だけどね。

ちょいと漢字ばかりが続いてしまったけれど、こんなふうに、江戸時代の人たちは将軍様を名前で呼ばないで、「なんだいさま」ということが分かっただけでも面白かったわ。


それ以上に面白いのが、当時の武士や庶民の会話の場面。

身分によってこんなに話し方が違うのかしらと思うほど、同じ日本人なのにまるで違うのよ。

きっぷのいい江戸っ子と、肩肘張って生きている武士の違いがよく見えて面白いわ。

それにしても、こういう幕末の面白い話を学生の頃に読んでいたら、歴史の時間ももっと興味が湧いて楽しかっただろうと思ったわ。

4 件のコメント:

  1. 匿名9/24/2008

    この本は読みましたよ。
    面白かったですね。というか浅田次郎の小説は大好きでほとんど読んでいます。
    「鉄道員」のようなしんみりしたのから、プリズンホテルシリーズのようなハチャメチャまで、とにかく面白い。
    今は「天切り松闇がたり」シリーズにはまっていま~す。

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  2. 匿名9/24/2008

    原作を読んで映画を見ると、自分のイメージとずいぶん違っていてがっかりすることが多いのだけれど、逆(映画→原作)はそうでもないですよね。「映画では、ここを描ききれていなかったよな」とか思ったりして。

    浅田次郎はあまり読んでいないのだけど、ホロッと泣ける作品が好き。これは、どうなのかなぁ~。

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  3. 諏訪ッチさん、私も浅田さんの本はほとんど読んでいますよ。プリズンホテルはもう最高。ヒットマンとか、あの本で悪いこともだいぶ覚えました。松の泥棒シリーズも面白い。あんな面白い本を書ける人はいませんよね。以前、浅田さんには市の講演会でお目にかかりましたが、すごくダンディで小説の中に出てくるような感じでしたよ。かれは杉並区の出身だから、すごく親近感があります。中央大学付属杉並高校だったと思うわ。

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  4. マサさん、浅田さんは人情系の作家と思われがちだけど、本当は歴史ものやお笑いものがうまい方なのよ。この本はもちろん江戸時代の人情もあるけれど、それ以上にストーリーが奇想天外というか、他の本とは違うわね。
    幕末ものっていろんな人が出てきてごちゃごちゃしているから、最初に映画を見ておいて今回はよかったと思ったわ。配役もうまかったと思いました。

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