2008年11月5日水曜日

源氏 上賀茂神社


何回も書いているけれど、今年の京都は源氏物語一色で観光客にアピールしています。

そして11月1日から3日にかけては、京都国際会議会館で天皇陛下も列席されての大がかりな源氏物語の行事がありました。

私もそこに行きたかったのだけれど、連休の京都は混みそうだし、なにしろ35,000円の参加費が惜しいという貧乏根性の私にはちょいと無理。

というので、源氏物語関連の無料の行事をあれこれ検索していました。

そうしたら10月29日に國學院大學同窓会主催の面白そうな行事が見つかったんです。

國學院というのは文学部の他にも神官養成をしている大学です。
私は関係者ではないのだけれど、この行事は同窓生でなくても参加できるそうだし、もちろん無料。

何より、開催場所が上賀茂神社というのがいいじゃないですか。
だってそこはSさんのお店の近くなの。

そういういきさつがあって、10月29日には有給を取って、私は朝9時10分発の新幹線に乗って京都まで出かけたのです。

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さて、京都駅に降り立った私は市バス乗り場に行ったの。
案内のおじさんが、「上賀茂神社の中まで行きたいのなら、こっちのバスのほうがいいよ」と教えてくれたので、ガイドブックに書かれていたバスとは違う系統のバスに乗ったの。

最終的には神社の境内の中まで連れて行ってくれたんだけれど、ものすごく遠回りで、バス酔いをしちゃったわ。でも、あちこち京都市内観光ができたので、それもよかったかな。

はい、上賀茂神社に到着しました。


上賀茂神社というのは、平安遷都以前からあった古い神社。
今は世界遺産となっていますが、昔は賀茂氏という豪族の氏神さんだったんですって。

ここはいうまでもなく葵祭の終点のところ。
ここで葵の上の乗った車と、六条御息所の乗った車の争いがあったのよね。
光源氏の姿を見たいがために、奥方様と愛人が衝突したというのが面白いわね。

神社の玉砂利を歩いて、会場である「庁屋」(ちょうのや)まで行きました。
ここは重要文化財に指定されているそうよ。


「國學院大學院友会発足120周年記念公益事業」という看板が立っています。

そして今回のテーマは「世界文化遺産で楽しむ源氏物語千年紀」というもの。

國學院関係者と思われる方や、京都市民や、私のように源氏物語ファンのような人がものすごくたくさんきていました。

この庁屋というのは、平安時代には役所のようなところだったらしいのですけれど、細長い建物で、いわゆる扉がないの。それで外の風がびゅんびゅん入ってきて、だんだん身体が冷えてくるのでした。

さて私が期待していたのは、雅楽の調べ。


これは司会の國學院の先生が横笛の説明しているところ。
それと箏が演奏されたの。

そこに登場したのが、この女性。京都のなんとかという神社の奥様だそうです。
衣裳が面白かったわ。


雅楽をBGMとして谷崎訳の源氏物語を朗読しました。
場面はもちろん、葵の車争いのところよ。
なかなかの熱演でした。

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その後は、私が一番興味があった「冷泉家」のお話。

冷泉家というと藤原定家の流れを継ぐ古い由緒正しいおうち、ということくらいしか知らなかったのだけど、ここの24代の長女で25代の奥様という冷泉貴美子さんがお話をされたの。

この方、もっとお高くとまっているような人だと想像していたんですけれど、すごく気さくでお話が面白いし、歴史と文化の継承者ということがよく分かる方でした。

いろいろとお話しされていた中で面白いなと思ったことは、日本の文化の継続性ということ。

たとえば中国では秦の始皇帝時代の兵馬俑などの発掘があって、歴史的にはすごく大昔のことだけれど、それでも歴史の継続性がないということ。
つまり中国というのは漢民族やいろんな民族が交代しているので、歴史につながりがないというの。前の民族のしたことを全否定して、次の民族支配になったというの。

これは古代ギリシャや古代ローマ帝国の文化も同じことが言えて、つまりラテン民族、トルコ民族、ゲルマン民族などいろんな民族が支配していたので、やはり文化の継続性がないという指摘でした。

私は別に右翼主義の人間ではないし、むしろそういうのは嫌いなほうなんですけれど、でも日本という国は、一つの民族で成り立っていたということは事実ね。

そういう意味で、1000年の間、どんな時代になっても源氏物語がずーっと受け継がれてきたというのは、やはり日本の特殊性なのかなと思いました。

冷泉家にはいろんな貴重な文化遺産があるそうだけれど、源氏物語のいわゆる「定家本」という写本もあるそうよ。

絵巻もあるそうだし、そういうものの管理って大変だろうなとも思いました。

それにしても冷泉さんは文化と教養の象徴のような方でした。

彼女の源氏物語に対する意見として面白かったのは、紫式部という人は、「宮廷に勤務する地方出身のキャリアウーマン」という説明。

1000年前に、ひとりの女性によってこんなスリリングなお話が書かれたというのは、本当に素晴らしいことだし、それが1000年間、ずーっと引き継がれてきたというのも、すごいことなんだなと改めて実感しました。

それとね、冷泉さんのお話を聞いて、少しは古今和歌集なども読んでみようかなと思ったの。
和歌とかは私の一番苦手な分野なのだけど、ちょっと興味が湧いてきました。

冷泉家の講演の後には、國學院大学の先生のお話と、パネルディスカッション、それに庁屋の特別拝観というのもあったのだけれど、時間がないので退席しました。

でも冷泉家のお話を聞けただけでよかったわ。


さてこの風景は、百人一首に出てくる和歌

「風そよぐ ならの小川の夕ぐれは みそぎぞ夏のしるしなりける」の「ならの小川」です。

私はてっきり、奈良にあるのだと思っていたら、なんと上賀茂神社の境内にある川だったのです。

あー、知らないというのは恥ずかしいことだったわ。

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会場で、ものすごい分量の國學院大学のパンフレットやら絵葉書やらをお土産にいただきました。
どこの大学も少子化で学生を集めるのが大変なんだろうな、と思ったわ。

実践女子大にしろ、國學院にしろ、単に昔の名前で出ているだけじゃダメなんでしょうね。
あの手この手で行事をしたり、人集めをしたりとがんばっているんだなーと、ついつい現実的な話に戻ってしまいました。

10 件のコメント:

  1. 上賀茂神社での催しを詳しく書いていただいてよくわかりました。
    楽しめたようでよかったね!
    冷泉家のお話し私も聞きたかったわ。以前良くあるお店でお見かけしました。
    そんなに気さくな方だとは知らなかった。

    この上賀茂神社の小川には蛍が飛ぶのよ。
    清らかな水です。

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  2. わ~わ~!!
    さっき上賀茂神社のお話、父としたばかりです。
    父「上賀茂神社にも斎宮がいたって聞いたことがあるぞ」
    娘「ふ~ん。調べてみよう・・・か・・・・・な・・・・・」

    いえ、豪族の氏神なら、間違いなく斎宮はいましたね。
    調べずとも済みました・・・
    ・・・・てゆーより、その会話を父としたこと、思い出しました(笑)

    パパ、物忘れの激しい娘でごみ~ん!

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  3. あらっ、両陛下の参加された千年記の記念式典は、35000円も参加費がかかるんですか。なにかに参加者は公募って出てたので、タダかと思っていました。両陛下を拝見できるという、特典?つきだからでしょうか??

    冷泉家の女性の方は、ミセス向きの雑誌で拝見したことがあります。歴史と文化を受け継いでいくという、使命感を持たれているんでしょうね。

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  4. さとさんにとっては上賀茂神社はお庭みたいなものでしょうね。近くにいられて羨ましいわ。
    あの小川には蛍が飛ぶの?
    へー、きっとお水が甘いのかもしれないわね。

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  5. 史子さんも伊勢神宮に行ってきたのよね。
    斎宮博物館なんてものがあるなんて知らなかったわ。
    お父様とこんな会話ができるなんて、史子さんも幸せね。すてきな親子なんですね!

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  6. マサさん、記念式典と、それから寂聴さんやドナルドキーンさんの講演、それに能楽とかがあって3日間セットだったの。それで35000円なのよ。高いよねー。食事はどうだぅたかしら?
    けちな私は無料で参加できるのを探しているの。
    でも先日の実践女子大学の香道にしても、みんな無料で体験できたのよ。

    冷泉家のおばさまは、現代的でなおかつ伝統を大切にしていらっしゃる素敵な方でした。
    でもまたお子さんがいらっしゃらないとかで、養子をとるらしいですね。
    ああいうおうちに生まれたら大変だわ。

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  7. 上賀茂神社が目的地だったのですね。
    冷泉さんのお話が聞けただなんて、すごいなぁ。
    なるほど、日本の文化が継続したから、源氏物語も残ったのですね。
    すごいなぁ、日本って。
    私もとしちゃんブログのおかげで、すっかり源氏物語に詳しくなってきました。
    また、いろいろ教えてくださいね~

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  8. shiollyさんも、葵祭のとき、たくさん、素敵な写真を撮っていましたよね。ああ、ここで写したのね、と思いだしていましたよ。

    冷泉さんは大学の先生もしていらっしゃるので、今もよくご存じで、ギャグも面白い方でした。

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  9. 匿名8/29/2023

    國學院大學は文学部の名門大学で、知る人ぞ知る!ですものね。

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  10. 匿名さん、昔のブログにコメントいただき、ありがとうございました。

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