一挙に100本上映という「雷蔵祭」は終わってしまったけれど、最近、私はTSUTAYAでDVDを借りてきて、雷蔵さんの映像に感動しています。
「炎上」は金閣寺放火という実話をもとにした三島由紀夫の小説「金閣寺」を題材にした映画です。
これは1958年に市川昆監督、和田夏十脚本で作られたそうですが、なんといっても凄いのが、あの美しい雷蔵さんが坊主頭で、どもりの役をしていることです。
それまでの雷蔵さんは、源氏物語の匂宮や弁天小僧のようにきれいでかっこいい役が多かったのに、素顔で現代劇に登場して、おまけにどもりの役をするとは、どれほど決心がいったことでしょう。26歳の時の作品だそうですけれど、たとえば今なら、妻夫木聡とか小栗旬とかのようなイケメン俳優がそんな役をしたら、ファンも大騒ぎだろうと想像できますよね。
この映画はモノクロで、舞台もほとんどがお寺の中、という地味な映画ですけれど、雷蔵さんの訥々とした無口な演技に引き込まれました。
そういえば、雷蔵さんの嫌味な友人役でギョロ目で足の悪い青年が登場するのですが、これがなんと若き日の仲代達也。驚きましたね。いつものお相手役の中村玉緒さんも売春婦役で出ています。
時代劇で白塗りの二枚目役を演じつつも、現代劇でリアルな青年を演じるという雷蔵さんの姿勢は、後の「破戒」での部落出身者の役に続くのだと思います。
どもりの青年修行僧は美しすぎるお寺を自分だけのものにしたいと思ったのか、彼の周りにいる世俗にまみれた坊さんに抵抗したいと思ったのか、放火という犯行になるのですが、そのあたりの理由ははっきり分かりません。しかし、美しいお寺を放火してしまうというのは、現代のうっ屈と先の見えない世の中で、たとえば秋葉原で無差別殺人をしてしまったり、何の縁もない人を傷つけてしまうような人間がいる、というのと通じるところがあるのかもしれません。
この青年は最後には捕まってしまい、護送される汽車から飛び降りて死んでしまいます。そこで「終」というエンドマークが出るのですが、見終わってもしばらくは茫然としてしまいました。
雷蔵さんにハマってますね(笑)
返信削除でもこうしてみると幅広い役をこなしているのね、名前くらいしか知らない役者さんだったけど。
いくつで亡くなったんでしたかね?
惜しいね。
さとさん、そうなのよ。私は本などでも同じ作者の本を読む傾向があるのだけれど、雷蔵さんの場合、いろんな役柄をしているので、それだけ楽しみも増えるわね。
返信削除40年前に37歳でがんでお亡くなりになったの。だから今生きていたら、77歳のおじい様よ。ホント、おしかったわね。
雷蔵さんは知っています。
返信削除父が時代劇が好きでよく一緒に観に行きました。でも、残念ながらよく覚えていないわ。
白い頭巾を被って着流し、そんなイメージは残っているのですが。あれ何の映画だったかしら?
美空ひばりさんとの共演もあったと思います。
としちゃんの凄いところは、興味をもつと
とことん追求しちゃうところね。
真蘭さん、お父様と一緒に時代劇を見ていたのね。それはいい思い出ね。
返信削除そうそう、ひばりさんとの共演もありましたね。
でもほんとうにいろんなジャンルを演じていて、時代劇だけじゃないのよね。中野学校シリーズとか、いろんなのがあってびっくりです。DVDが少ないのが残念だわ。