谷崎潤一郎の「細雪」は読んだことはないのですが、旧家の4人姉妹が豪華な着物で登場する話ということは知っていて、いつかはその映画を見たいと思っていたのです。
今、私の住んでいる市では「映画祭」というのが3日間開催されていて、市内の施設で30本くらいの名画が無料で鑑賞できるのです。
その中で古い映画ばかりやっているところに「細雪」がありました。
「細雪」は何回も映画化や舞台化されていて、人気の女優さんが競い合うように着物姿で宣伝していますよね。
今日の「細雪」は1950年制作というので、今からからおよそ60年前に作られたものでした。
谷崎潤一郎の原作は昭和12年という設定だそうで、大阪の船場の旧家で古い暖簾を守っている蒔岡家が昔は栄華を極めていたのに、だんだん斜陽していく中での4人姉妹のお話です。
嫁ぎ先の夫の転勤によって東京に転勤してしまい泣く泣く大阪を離れた長女、芦屋の裕福な家に嫁いだ二女、何度もお見合いをしてもなかなか話がきまらないでウジウジしている三女、恋愛には奔放な生活を送っている末娘という構成です。
お話には「本家、分家」という言葉や「お見合い」とか「女中さん」がいる生活、「電話に出ても話をすることができないほどのお嬢様」などと現代とはあまりにかけ離れた生活様式なので、若い人が見てもピンとこないところもあったでしょうね。
でも「いとはん」「こいさん」などと呼び合う船場の言葉は、はんなりしていてよかったわ。
映画はモノクロだったのですけれど、それはそれは豪華な着物や帯のオンパレードでした。
鏡の前で、帯をとっかえひっかえするシーンなど、ほーっと思うほど素敵な帯ばかりでした。
この方たちは家の中でも羽織をきちんとしていて、帯もお太鼓に結ぶ生活をしていたのです。
今でも旧家というところのお嬢さん方は、まさかそのような生活はしてはいないでしょうけれど、その代わりにブランド品を集めているのかしらね。
そしてまた建築の面からみても、古い家と芦屋のモダンですっきりとした家の対比はうまかったと思います。
昭和初期の環境が分かって面白かったですね。
出演した女優さんのうち、4女の高峰秀子がきれいでしたね。あの方はたしか私の母と同年代なのですが、たぶん当時は20代後半でしょうが、輝くような美しさがありました。
二女は轟夕起子さん。おばさんのイメージしかなかったけれど、あでやかな人だったのですね。
他には浦辺粂子さんが出演していましたが、当時からおばあさん役でした。
男性俳優はあまりなじみがなく、なんという俳優さんなのか分からずに残念でしたが、当時の男性というのはちゃらんぽんな生活をしているような人でもちゃんと中折れソフトの帽子をかぶっていたので、驚きましたね。
それにしてもやはり女ばかり4人姉妹というのはいろいろな人間関係が複雑に絡みこんでいるのね。
それぞれの女優さんが身分や格式にこだわる旧家の女性の姿を、意地悪な面をさらけ出したり、やはり姉妹愛を大切にして優しい面を出したりして、それもまたおもしろかったわ。
原作も読んでみたくなりました。
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