吉祥寺美術館で中ザワヒデキ展「脳で視るアート」▼というのを見てきました。
この美術館は武蔵野市立なので、入場料は何と100円。
昔、伊勢丹があったビルの7階に入っています。
中ザワヒデキさんという方は、千葉大学医学部を卒業された眼医者さんだったというちょっと変わった経歴の方でした。
この中ザワさんと、府中市立美術館の学芸員さんの対談がありました。
どうして府中市の方が対談相手だったかというと、2006年に府中市立美術館において、中ザワさんの「公開制作」▼というのが開催されたご縁だからだそうです。
そこでは頭に電極を付け、ベッドに横たわり、そして脳波を計測している中ザワさんの姿がありました。
それは「脳波ドローイング」といって、普通は絵を描くときは絵筆や絵の具などの道具を使って描くわけですけれど、お客さんが見ている中で、中ザワさんは何も使わずに念じるだけで、その脳波がグラフになって表れ、その波形を芸術として発表したのでした。
中ザワさんは、漫画の「まことちゃん」のようなおかっぱ頭をしていて、細身にプリント模様のシャツを着て、一見して普通のサラリーマンとは違う容貌の方でした。
対談のテーマは「脳波ドローイング」の生まれた日」。
中ザワさんはいかにして「きれいな波形の脳波」が出るかを訓練して、そしてその公開の場に臨んだそうです。
雑念があると、いわゆるアルファー波も出ないそうで、つまらない波形になるのだそうです。
どうすると面白い波形が出るかを修業したそうですが、結論としては、「気を抜く」ことにより、美しい脳波が描かれるのだとか。
私の職場では、脳波を研究している研究員もいるし、また頭に電極を取り付ける脳波測定器も置いてあるのですが、さすがにこれで美術に取り組もうと考える人はいないでしょうね。
ふーむ、対談はあまりよく分かりませんでしたが、この他にも変わった作品がいろいろ展示されていました。
******
他にも簡単に中ザワさんの作品をご紹介してみます。
今回の展覧会の表紙にもなっている「視力検査表」の作品。
人を食ったような絵ですが、視力の表の中に、変なおじさんがいるのが面白いですね。
下の写真は「灰色絵画」。
黄色、青、ピンクというカラフルな3色を使っていますが、それらを組み合わせると脳の中では灰色になるので、そいいうタイトルにしたのだとか。
「見る」ということは単に目で見るだけでなく、脳の中で再認識するということを意識させたいような意図を感じました。
でも私は「目で視る」と「脳で視る」との違いがよく分かりませんでしたね。
普段から目でモノを見ていても、それは網膜の上にできた像を視神経が感じ取って、そして脳の中の視覚野が判断するから見えるのであって、普段から「脳で視ている」のじゃないかしら?
いただいたパンフレットがちょっとシワになってしまったのですが、上の作品も掲載されていますね。
パンフレットの右下のは「セル」というタイトルの絵。
これは細胞を意識して描いたものでしょうか。
いろいろな色の組み合わせのセルがありました。
パンフレットの左下は、真っ白な大きな碁盤に、白と黒の碁石を敷き詰めたもの。
「三五目三五絽の盤上布石絵」というタイトルが付いていました。
******
中ザワさんの絵はいわゆる「下手ウマ絵」とでもいうのでしょうか。
ご自身を「コンセプショナル・アーティスト」と呼んでいらっしゃいましたが、「コンセプショナル」は「概念」という意味だとすると、「概念芸術家」というのはどういう意味なんでしょうね。
中ザワさんの絵はカラフルできれいで、いろいろなことに挑戦されていらっしゃるのは分かりますが、脳波ドローイングは脳波を大きく表示しただけで、私の頭ではどこが素晴らしいのか、あまりよく理解できなかったわ。
世の中には変わったことに挑戦する人がいるのだな、という感じかしら。
私の頭が固定観念にしばりつけられているといえば、それまでですが。
いずれにせよ、中ザワさんはかなり人気のある現代芸術家のようで、展覧会場には若い人からお年寄りまでたくさんの方が来ていました。
この展覧会は2月17日まで武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中。
2月10日にはご本人による公開新作設置があるそうですので、それを見るのも面白いかもしれません。
中ザワヒデキさんのfacebook▼にも今回のことが詳しく紹介されています。
脳波って訓練によりある程度コントロールできるのですね。座禅などにも通じるのでしょうか?
返信削除それを絵にしてもどんな意味をもつのかわかりませんが、面白い取り組みですね。
視力検査表、レトロでかわいくて好きです。
ずんこさん、脳波で絵を描くときには、目をつぶり、余分な除法を取り入れないようにしたそうですよ。雑念があるとだめなんですって。そういうところは座禅と似ているかもね。
返信削除そうそう、吉祥寺の駅が大工事中で、井の頭線とJRをつなぐところがどこもかしこも壁に覆われていて、迷路のようになっていました。
いつ工事が終了するか分かりませんけれど、吉祥寺も変わって行くみたいですよ。