第149回直木賞受賞作品「ホテルローヤル」ですが、受賞直後はどこも本が売り切れだったようで、ようやくアマゾンで入手して読みました。
北海道の釧路湿原を見降ろすところに立つ廃墟となったラブホテル「ホテルローヤル」。
そこに関わった人たちのドラマです。
全部で7つの小説から成り立っていますが、それぞれの登場人物はどこかでつながっているのが面白いですね。
人間のドラマを良く観察して、良く描いていると思います。
中でも一番良かったのは、このラブホテルを建てた発端となる「ギフト」。
なんだか寂しいのだけれど、希望が持てる感じがしました。
それと、どうでもいいような高校の女子生徒と逃避行をしてしまう高校の若い教師の物語。彼の奥さんとなった人は、仲人役をした校長の元彼女だった。そしてその関係は結婚後もずっと続いている。それってすごく悲しいでしょうね。その悲しさをこの真面目な教師は、おバカな女子高生で埋め合わせをするのでしょうか。
いろいろな人たちのいろいろな生活。
この本は先日読んだ「わりなき恋」とは正反対の物語でしょう。
セレブ、ファーストクラス、ワイン、パリ・プラハ・・・・。
そういった匂いがぷんぷんとしていた岸恵子の小説には絶対に登場しないような人たちのドラマです。
庶民、中卒、挫折、すえた臭い、地方都市・・・・。
著者の桜木紫乃さんのご実家はラブホテルだそうですが、さすがによく観察されていました。
私は東京にしか住んだことがないので想像ができないのですが、地方に住む中高年というのは、希望が持てないのかしら。なんだか閉塞感が漂っています。
それとも、こういうムードを生みだしているのは、作者の力量なのかしら。
ただしこの小説が直木賞受賞に値するかどうかは、私には分かりません。
そもそも直木賞・芥川賞が年に2回もあるのは多すぎるのでは?
としちゃん、貸してくださった「わりなき恋」、読み始めています。
返信削除なんせ、こちらは、飛行機はファーストクラスの、それも隣が空席じゃないとイヤなのよね。岸さんはファーストクラスにしか乗ったことがないとは思うけど、それを全面に出してきて、ちょっとヤな感じよね。借りておいてなんですが(汗)
私も、年に2回の受賞は多いと思うの。
量産しすぎると、作品の質も低下するのでは。
受賞しても、大成しない人もいますよね。
マサさん、「わりなき恋」は岸恵子の匂いがぷんぷんでしょ。あれを好きな人もいるかもしれませんが、私はどうもね。貸しておいてすいませんが。
返信削除もう誰が芥川賞で、誰が直木賞だか分からなくなりましたね。ダブル受賞というのもあったし。かえって受賞できなかった人のほうが、あとで伸びるかもしれませんね。