2013年12月6日金曜日

栗田美術館

「栗田美術館」▼と聞いて、どこにあるのか、どんな美術館なのかご存知の方は、かなりの美術工芸通かもしれませんね。
実は私もまるで知らなかったのですが、ここは世界最大級の陶磁美術館なのでした。


場所は栃木県足利市にあります。埼玉県の少し北側といえばだいたいお分かりでしょうか。
私の住んでいる東京の西にある市からは、高速道路を使って2時間足らずのところでした。

さてその栗田美術館ですが、市から貸し切りバスで40人ほどの団体で行きました。
これは市民カレッジの日帰り講座でした。


 たまたまバスの隣に座った方が、20年前にもここに来たことがあるというので、どんなところかお尋ねしたところ、
「とにかく広くて、展示物がどーっと多くて、疲れるところだったわね」
とおっしゃるので、それは大変なところに行くのだなと、ちょいと不安な気持ちになりました。

でも美術館に着いてみたら、意外と味のあるところでした。

こちらは入口の天井にあったランプ。


それにしても、広い。敷地面積は3万坪だそうです。

ところがその広大な美術館に、出かけたのは私たちの団体ひと組、のみという貸し切り状態でした。
ということで、ゆっくりと観賞することができました。


まず、美術館に到着して、学芸員さんからスライドを見ながら説明をしていただきました。

「有田焼」と「伊万里焼」の違いや、陶磁器の歴史を学びました。

伊万里焼と呼ばれるのは、江戸時代に伊万里で作られた焼き物です。
そしてそれが長崎の出島に運ばれ、そこからオランダの東インド株式会社を通してヨーロッパなどの海外に運ばれていったのですね。
(ちなみに出島というのは、東京ドームの3分の1くらいの広さしかなかったそうで、意外でした)
そして同じところで作られてたものでも、明治時代以降は有田焼と呼ばれるようになったそうです。

こちらは古い伊万里焼の破片をみんなで触っているところ。
初期のものは、かなり分厚くて、発色もよくありませんでした。
これが技術向上によって、薄手のものや、複雑な形のもの、色の美しいものになっていったのです。


学芸員さんに、事前知識を与えていただいたので、よかったですね。
ポイントが分かったので、あまり圧倒されずにすみました。
知らないで見ていたら、きっとあまりの展示品の多さに疲れてしまったことでしょう。


そのポイントの一つとして、栗田さんがまだ若かりし頃、昭和8年に3円(現在では2万円ほど?)のとっくりがありました。彼はこれに魅せられて伊万里焼の収集にはまってしまったそうです。

次のポイントは、それまでヨーロッパの王朝は中国から磁器を輸入していたのですが、17世紀後半になると中国が清王朝となり、鎖国状態になったので、磁器を日本に注文するようになりました。そのころの有田焼はとにかく大きくて豪華で、室内装飾品として珍重されました。

次のポイントは、柿右衛門さんの透明な色調を持った磁器の登場です。白い地に美しい赤や青の模様のお皿は、格調が高く、素晴らしいですね。
(上の3枚の絵ハガキのうち、左上です)

そして18世紀後半、つまり江戸時代後半になると、これまで海外向けの製品を主に製造していましたが、国内向けのお皿(東海道53次の絵柄、日本地図の絵柄など)のように遊び心のあるものも生産するようになりました。
(上の3枚の絵ハガキのうち、青いものです)

またもう一つの特色としては、肥前鍋島藩で生産された「鍋島」です。
これは色使いや直径の大きさ(尺)に決まりがあり、それ以外は鍋島とは呼ばれないそうです。

と、こんなお話を聞いてから実物を観賞することにしました。


小山のような敷地内にはいろいろな建物がありました。

展示品を飾ってある本館、歴史を学べるところ、研究所、焼き窯、お蔵、お土産館、迎賓館、創立者記念碑、無名陶工祈念堂、など20ほどの建物があり、それぞれが離れた場所にあるので、移動するのも一苦労でした。
地図を片手にまるでオリエンテーリングのように歩き回りました。


それにしてもよくもまぁ、これだけ収集したものだと驚きました。
どれほどの財力があったのでしょうね。
ちなみに創立者の栗田英男さん(平成8年没)は、足利の名家のご出身だそうです。

こちらは歩き続けた後に休憩をした喫茶店。


 伊万里焼で飲むコーヒーはちょいと贅沢。


紅葉もなかなか美しく、まるでハイキングに来たような雰囲気でした。


*****

この日の装い。

バスに長時間乗ると思ったので、着崩れないようにしっかりとした生地の紬にしました。

藍色の着物もアイボリーの帯も、うたどんさんからのいただきものです。お母様の着物を着させていただいて、本当にありがたいことです。


帯締めはFUNNY COCO▼さん、小さい帯留めはぺたこさんの通販のお店「和キッチュ」▼で求めたもの。


帯締めは、この赤紫と青色の両面使いができるタイプ。
藍の着物には青のほうがしっくりくるかと思いましたが、ちょいと気分転換に赤紫のほうを出してみました。私はこれを自分では「赤紫蘇三分紐」と名付けています。

この日は良く晴れていましたが、広大な敷地や石ころだらけの小山を上るには、カレンブロッソの運動靴のような草履を履いていて、正解でした。

いやはや、伊万里焼を見に行ったのか、紅葉狩に行ったのか、どちらか分からないバスツアーでしたが、まぁ、百聞は一見にしかず、ということでしょうか。





2 件のコメント:

  1. としちゃん様こんばんは

    としちゃん様がよく市民講座に参加されているのに触発?され、
    私も地元での区民講座など調べてみたのですが、
    参加したくなる様なものが、なぁんにも無いのです。(そもそも数が少ないですし)
    自治体の懐事情なのか民度の問題か・・・
    大学が何校か有る地域ですので、これから大学の公開講座などもチェックしようかと思いますが、
    大学の講座なら別に地元にこだわる必要ない気がします^^;

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  2. よーでるさん、こんばんは。

    私はお金がないので、残念ながら普通のカルチャーセンターは高くて通えないのです。
    うちの市はわりとそういうことは充実しているみたいですね。
    大学の公開講座はいいですね。内容も充実していると思います。どんな講義を受けるのか、また教えてくださいね。

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