入場者が10万人に達したという新聞記事がありましたが、私が行ったのは最終日でしたので、ほんとうに長蛇の列でした。
入館するまで2時間待ち、入場しても30分待ちという看板が出ていました。
暑い日だったので、日よけ用のテントが用意され、また暇つぶしのためのキトラクイズも配布されていました。
キトラ古墳壁画とは、奈良県明日香村にある阿部山にある古墳の壁画に描かれたもので、「亀虎古墳」とも書かれるそうですが、「北」の「浦」という意味もあるそうです。
今から30年ほど前に壁画が発見されました。
公開されたのは、「四神」のうち、白虎と玄武と朱雀(青龍は非公開)、「十二支」のうち、子(ね)と丑(うし)でした。
修復と保存作業が進められています。
実は私は壁画そのものにはそれほど執着心はなかったのですが、2011年には藤原京を舞台とした映画「朱花の月」を見たり▼、そのあとには実際に大和三山をサイクリングしていた▼ので、奈良県のこの地方に興味がありました。
また関連の講演会が当たっていたので、それには是非行ってみたかったのです。
講演のタイトルは「マンガから繋がる歴史、文化、飛鳥の絆」です。
古代をテーマにした漫画「天上の虹」を描いていらっしゃる里中満智子さんの講演を、どうしてもお聞きしたかったのです。
里中さんは紅色の草木染の飛鳥時代の衣装で、舞台に登場しました。お袖が長くて、とても優雅な衣装でした。
それにご自分で作られたという青いガラスの管や、赤いメノウをつなげたロングネックレスをされていました。
(写真を写せなくて残念です)
とても穏やかな口調でお話されていましたが、万葉集時代の男女の婚姻関係のお話や、女性の地位、食生活や衣生活のことなど、具体的なお話が多くて、当時のことが思い浮かんでくるようでした。
持統天皇を主人公に描いた「天上の虹」は、すでに20年以上も執筆が続いているそうですが、今年中くらいにはなんとか最終章にしたいとおっしゃっていました。
また漫画だけでなく、万葉集への思いも強く感じました。
里中さんは本当に素敵な方で、増上寺で拝見した童子の柔らかな絵▼も思い出しました。
里中さんのお話の前には、あすか劇団「時空」▼の演劇がありました。
この劇団は、地元の人が中心となり、台本作り、衣装作り、大道具・小道具などすべて自分たちで作っているという劇団でした。
代表の方は本職はカメラマンだそうですが、みなさん、とてもお上手でした。
劇は「大化の改新」を演じていましたが、かっこいい中大兄皇子、彼と同じ思いの中臣鎌足、ずる賢い蘇我入鹿(いるか)、美しい額田王などが登場して、分かりやすいドラマに仕上げていました。
歴史に興味のない人でも、きっと引き込まれるようなストーリーでした。
コミカルな役人たちのお笑いもあり、蹴鞠ごっこをしたりして楽しい歴史創作劇でした。
劇や講演の後には、里中さんと劇団代表の方、それに元朝日新聞の記者の対談がありました。
みなさんがおっしゃっていたことは、歴史は人間が作るものだということでしょうか。
対談の中からは、権力者ではなく、ごく一般の人たちの営みが代々続いて、歴史となる、ということを強く感じました。
またみなさんの「キトラ壁画」に関しての感想は、この古墳は中国の古墳に比べて規模はまるで小さいが、絵の繊細さについてみれば、非常に緻密さに優れているということでした。
明日香村の村長さんのお話では、2016年には大規模な展示施設が完成するそうです。
また行ってみたいですね。
それで今回のタイトルが「キトラ2016」となっているので、2014の間違いではありません。
(古墳の外観です。東京国立博物館のサイトから拝借しました。)
私はこの講演会のあとにキトラ壁画を見たので、それほど待たなくてすみました。
キトラ壁画は、中国の影響が多かったとは思いますが、日本という国が始まったころから、古墳に美しい絵を描く画家(?)さんがいたというのも、面白いと思いました。いつの時代でも、絵の上手な人はいいですね。
また近くにある高松塚古墳の美しい衣装を着た女性たちの壁画もありました。
これは本当にカラフルで、当時の衣装や小道具もちゃんと分かります。細長いうちわのようなものを持った女官たちは、何歳くらいだったのでしょう。
1300年前のロマンを感じながら見ていましたが、でもちょっとでも立ち止まっていると、係のお姉さんが「立ち止まらないで下さい」とけしかけるので、おちおちと見ていられませんでした。
飛鳥を世界遺産に登録するという運動もあるようですが、あのようなのどかなところに観光客がどっと訪れるというのは、というのはちょっともったいないと思います。
講演会のお土産に、「飛鳥」の水をいただいてきました。
今、「アスカ」というと、ちょっとやばい響きがありますが・・・。
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この日の装い。
なんとなく古代っぽくしようと思って、茶色の大島紬を選びました。
着物も帯も知人のお母さまからの頂き物です。
ちょいと地味な感じがしたので、いつもの水色の帯揚げで明るい感じにしました。
Berry工房さんの飾りつき三分紐は可愛いのですが、飾りが籠バックにからみついてしまいました。
古代では貴族は絹、庶民は麻を着ていて、木綿はまだ登場していませんでした。
今のように、私のような庶民でも絹を着られるなんて、贅沢な暮しをしているわけですね。
里中さんも講演でおっしゃっていましたが、藤原道長だって太閤秀吉だって、アイスクリームなんていうものは口にしたことがなかったわけです。
いつでもおいしいものを食べることができ、どんな衣類でも着ることができる現代人は、昔の王侯貴族以上の生活をしているわけですね。
それもみな昔の人たちが苦労して工夫をして作り出したものを、使っているのです。
技術の向上や、文化の伝達を、ありがたいと感謝しないといけませんね。
里中満智子さんや池田理代子さんは私の小学生時代から活躍されている漫画家ですが、
返信削除あの時代の漫画家さんは皆さん多彩な才能をお持ちですよね。
私は昨日久しぶりの着物で出かけましたが、湿度が高くてすっかり消耗してしまいました。
マメに着てお出かけしないと体が慣れませんね。
ちょっと前の記事ですが、キャリーバッグ残念でした。他人事ながら大ショック!!!
よーでるさん、私も現在の漫画家さんは知らないのですが、昭和の女性漫画家の方は、ほんとうに素晴らしいですよね。
返信削除今まであまりに暑かったので、袷は片づけてしまいましたが、今日はまた涼しいですね。
別件ですが、メールしましたので、よろしければどうぞ。
そうそう、何年前でしたっけ?「朱花の月」のPRを兼ねたトークイベントで里中真知子さんのお話を聞く機会がありましたね。
返信削除古代の男女の話が、とても面白かったのを覚えています。
この日のお話も楽しかったことでしょうね。
川瀬監督もご活躍のようですね。最新作がカンヌ映画祭で上映されるとか。賞がとれるといいけど。
マサさん、試写会に行ったのは、2011年の秋でしたよ。今回も面白いお話でしたよ。
返信削除そうそう、河瀬監督の映画、すごく人気があるようですね。着物でカンヌに行っている新聞写真を見ました。受賞できるといいですよね。