2014年12月14日日曜日

ナイト・ミュージアム

先日、上野の国立科学博物館で開催されている「ヒカリ展」▼に行ってきました。

この展覧会は、昼間に行くと入館料が1人1600円なのですが、金曜日の夜だけは2人で2000円というお得な入館料なのです。

こちらが入り口。


入り口の天井はこのようになっています。
上に見える丸いものは、蛍光たんぱく質で光り輝くカイコの繭です。
このトンネルをくぐって会場に入ります。


こちらの展覧会では、フラッシュをたかなければ、カメラはOKなので、嬉しかったですね。
とはいえ、暗いところでの撮影が多く、あまりよく写っていない点はご了承ください。

ちょうど会場では、農業生物資源研究所の飯塚 哲也先生のギャラリートークが始まるところでした。

飯塚先生のご専門は遺伝子組換えカイコ研究開発ということです。  

カイコ大好きというようにお見受けしました。
手に持っているのは、フィルター付きの眼鏡です。
これをかけて見ると、色が変わって見えるのです。


飯塚先生はオワンクラゲやサンゴ、海洋プランクトンなどの蛍光たんぱく質の応用研究をされていらっしゃいます。
その蛍光たんぱく質と青色LEDの技術が出会い、「光るカイコ」ができました。
その研究成果をとても愛おしそうにお話されました。

余談ですが、私自身は典型的な文系人間なのですが、どういうわけか、理系の大学や研究所で仕事をすることが多く、周りには科学に強い学生や若手研究者がたくさんいました。
それで私も分からないなりに、サイエンスについて尋ねると、科学者の卵たちは、意気揚々として教えてくれました。
本当はあまり専門的なことを教えてもらっても、かえってチンプンカンプンだったのですが、若い研究者の熱意のある話を聞くのは楽しいですね。

そんなカイコ好きの先生のレクチャーでしたが、百聞は一見にしかず、色のきれいなこと。

私は着物関係のイベントに行くことも多く、いろいろなカイコを見せてもらう機会がありました。
もともとカイコから作られる絹糸は光沢があって美しいものですが、遺伝子処理をしたカイコはとてもきれいでした。

光るカイコの繭たちと、それから作り出された生糸です。


カイコの成虫の蛾の目玉に赤い物質を入れたのもありましたが、ちょっと気持ち悪かったです・・・。

こちらは、光輝くカイコから織り出された生糸で作られたシルクの十二単です。
これは昨年、舞台の衣装となったそうです。
マネキンがグルグルと廻って、素敵でしたよ。


こちらは特別なカイコから作られた滋賀県長浜のちりめんを、スカーフにしてありました。
下にあるメリークリスマスの文字は、普通のカイコと特別なカイコで作られたものです。


こちらのクリスマスツリーは右側は青色ダイオードが入ったカイコなので青いのですが、オレンジ色のフィルターを通すと、左側のような幻想的な色のツリーになります。

「コクーンツリー」です。

「きれい」としか表現できないのが残念です。


ちなみにツリーの綿はコットンではなくて、カイコから作られた真綿なので、ふわふわでした。

このようなことができるようになったもの、2008年にノーベル化学賞を受賞されたおわんクラゲの下村先生と、今年のノーベル物理学賞を受賞された3人の先生たちの青色LEDとのコラボレーションの結果ということでした。


ここでノーベル賞と出会うとは思わなかったわ。
なるほどね~。

他にもヒカリ展にはさまざまなコーナーがあり、眼で見てきれいなものもたくさんありました。


オーロラの展示。
これはオーロラシアターというところで、3D眼鏡を掛けて映像を見ました。
アラスカの夜空を舞うオーロラは、とても幻想的で色もきれいでしたが、迫力のある動きがすごかったですね。


色の出る鉱物もあるそうです。
左から2番目が、私の誕生石でもあるルビーでした。
レーザーをあてた鉱物はほんとうに見ごたえがありました。


こちらは普通の可視光線で見たときの姿です。


これは緑と赤のクリスマスカラーがとてもきれいな鉱物でした。
なんだか妖しいムードが漂っていました。
糸魚川フォッサマグナミュージアムのものだったと思います。


アンモナイト。

生物たちも負けていませんでしたよ。
光る蝶たち。


こちらは、海の生き物。
蛍光たんぱく質を持っているサンゴ。


物理の世界の展示に関しては、私の理解を超えました。
アインシュタインの相対性理論がなんとかで、重力測定をしている研究もありましたが、あまりに難解で説明できません。
光原子時計というのを研究しているコーナーもありましたが、あまりに単位が桁違いで、ついていけませんでした。

文系人間でもなんとか理解できたのは、江戸から明治にかけての文明開化の展示です。
やはり近代化には、光が重要だったということですね。


江戸時代はこのような照明しかなかったわけですから。
でもこういう世界もいいですが。


 それにしても、ヒカリ展は、もりだくさんな展示でした。

動物・植物・鉱物から天体、物理学・地球科学・宇宙までありとあらゆる分野に光が関係しているということは分かりましたが、なかなか理解するのは難しいですね。

おうちで少し勉強しようと思って、重たい図録をお土産にしました。


閉館時間までいましたが、ここをじっくりと見学するのには、半日以上かかりそうです。


夜の博物館もなかなか良いものだと思いました。

この「ヒカリ展」は2015年2月21日まで開催していますので、興味のある方はどうぞ。

*****

この日の装い。

光の展示なので、ちょいと光ったおしゃれをしました。

京都の尾峨佐(おがさ)染繍▼というところの反物を仕立てたものです。
色は、紫と焦げ茶色の中間色でしょうか。


結城紬にスワトー刺繍の付け下げです。
裏の生地がスミレ色なので、それが透けて見えます。

白くぼわーっとしているところが、光のように見えるかしら。

手を広げると、お袖にも刺繍が入っています。


夜の外出なので、冷えると思ったのですが、この着物はとても暖かくて、会場では暑いくらいでした。
結城紬のせいかもしれませんね。





2 件のコメント:

  1. おー!ヒカリ展にこの着物あててくるとはー!
    さすがとしちゃんおしゃれだわ!!
    上品なぼかしが本当に光みたいできれい!
    しかし蛍光の光る繭なんてあるんだねーネオンカラーの正絹着物も夢じゃないのねー!
    わくわく(どこに着てく気

    返信削除
  2. ツヤ子さん、私は夜の外出はあまりしないのですが、今回のナイトミュージアムはワクワク気分が満たされたし、少しお利口になったので、よかったですよ。
    ヒカリなので、ちょっと輝くイメージの着物にしてみました。
    その意図を分かってくれて、嬉しいわ。

    光る絹はまだ実用化されていなくて、研究段階のようですが、遺伝子組み換え問題がクリアーされたら、発売されるかもしれないわね。

    返信削除

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