今回の旅行では、電車に乗っている時間がとても豊富にありました。
往復の新幹線や山陽線など、JRには随分とお世話になりました。
広島までなら飛行機で行けばよいのでしょうが、私は乗り物の中で本を読むのが大好きなので、長い移動時間もまるで苦になりませんでした。
鞄には文庫本を2冊入れて出かけました。
三浦綾子さんの「利休とその妻たち」上下です。
上巻は途中まで読んでいたので、下巻も持っていったのですが、新幹線や山陽線、ホテルで読んでいたので、すぐに2冊とも読み終えてしまいました。
三浦綾子さんというと「氷点」の印象があまりに強いので、これまで読まずにいたのですが、たまたま三浦しをんさんの本を探しているときに、隣に並んでいたので手にしてみました。
この本は、茶道の始祖ともいえる千利休(宋易)と、彼の本妻と、2番目の奥さん(宋恩)が中心となる話ですが、登場人物は彼らだけに終わらず、信長や秀吉、三成などの戦国武将たちや、淀姫やねねなど多くの人がいて、歴史小説としてもとても面白い内容でした。
そして二番目の奥さんである宋恩は、キリシタンだったというところが、さすがに三浦さんの目の付け所でしたね。
宋恩は、たぐいまれなる美貌を持つ素晴らしい女性として描かれていますが、たんに美しいだけではないというところをもう少し丁寧に描いていただけたら、利休が彼女に魅かれた理由も分かったのにと、その点は残念でした。
でもやはりこの時代のお話は面白いですね。
持参した本を読み終えてしまったので、それで広島駅で今度は高田郁さんの「あい 永遠に在り」という文庫本を買いました。
この人の小説を読むのは初めてでしたが、関寛斎という実在した医者の奥さんであるあいという女性を描いたものでした。
幕末から明治にかけての話ですが、千葉の片田舎に生まれた彼女が、銚子や徳島、札幌などあちこちに住みながら、最後は北海道の開拓に命をかけるという波乱に富んだ人生のお話です。
寛斎とあいさんはとても相性の良いご夫婦だったようで、二人の間にはなんと12人の子供が生まれたそうです。最後の子供は彼女が47歳の時の子供だったとか。
うーん、それもすごいなと思いました。
この本も移動中にほぼ読んでしまったので、今度は尾道駅で買った宇江佐真理さんの「明日のことは知らず」を読み出しました。
これは前にオール読物で読んだことのあるものも含まれていましたが、宇江佐さんの髪結い伊三次シリーズは大好きなので、何回読んでも楽しめます。
ということで、旅行中はほとんど下を向いて文庫本を読んでいたので、最後の新幹線のときも夢中になっていて、あっと気づいたら品川というアナウンスがあり、慌てて下車しました。
そうしたらなんてことでしょう、棚に置いておいた道行を忘れてしまいました。
なんだか寒いなと思って気づいたら、後の祭りでした。
道行は東京駅で受け取ることができましたが、なんともうっかりさんの私です。
ボケたというよりも、本が面白くて夢中になっていた、ということにしておきましょう。
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