最近、急に文楽関係の本を読み出したり、テレビで文楽を見たりするようになったのですが、その関連で面白い小説を読みましたので、ちょっとだけご紹介します。
松井今朝子さんの「星と輝き 花と咲き」というお話です。
これは明治時代に、娘義太夫として一世を風靡した実在の女性・竹本綾之介の若かりし頃を小説に仕立てたもの。
めっぽう面白かったです。
天性の美貌と類まれな美声に恵まれた大阪の女の子が、文楽の世界に足をつっこみ、とんとん拍子で成長して、東京の高座に上がってしまうというお話です。
そして世の中の若い男たちから追っかけをされるという、「元祖アイドル」物語といってもいいかもしれません。
そしてもちろん文中には、彼女がうなり出す文楽の世界も描かれています。
主人公の竹本綾之介を取り巻くのは、ステージママ、マネージャーのような男、ごひいきさん、そして同じような立場の女芸人たち。
そんな中で彼女は振り回されますが、自分を見失わずに、最後には好きな人と添い遂げるという道を選ぶのです。
このあたりは、30年ほど前の山口百恵さんの引退劇を思い出しました。
ただし、綾之介は育児休業後にはまた復活したそうですが。
面白かったのは、当時も「堂摺連(どうするれん)」や「追駆連(おっかけれん)」という追っかけがいたということですね。
彼らは、ステージに上がった綾之介がちょっとでも詰まったりすると、「どうする! どうする!」と掛け声をかけて応援したそうです。
今でもAKBなどの追っかけをする男たちがいるようですが、それって昔からあったとは。
いつの時代も同じだったのですね。
お話が面白く、また松井さんの文章が読みやすいので、ほんとうに一晩で読んでしまいました。
文楽のことをまるで知らない人でも楽しめますよ。
面白そう! 読んでみます。
返信削除松井今朝子さん、以前何冊か読んでちょっと苦手だなと思っていたのですが・・・
としちゃん様のお勧めなら面白いとおもいます!
よーでるさん、この本は講談社100周年記念として書かれたそうです。
返信削除松井今朝子さんは歌舞伎の世界に詳しい方ですよね。
好みもあるとは思いますが、この小説は読みやすいですよ。
文楽に詳しいよーでるさんが読むとどんな感想を持つのか、ちょっと気になります。