山本兼一さんの小説が好きですなのですが、どれも割と重いテーマで分厚いものが多いのです。
でも、こちらの「千両花嫁」は読み切り形式の中編を集めたものなので、中身も気楽に読める時代小説です。
しかし、さすがに山本さん、単なる作り物の時代小説とは異なり、そこには近藤勇や土方歳三や芹沢鴨などの新撰組、坂本龍馬、勝海舟などの実在の人物も登場していて、非常に楽しめる本です。
主人公は京都三条に道具屋を新しく出した真之介と新婚の花嫁ゆずさんの二人。
彼らは老舗の道具屋の番頭とお嬢さんだったのですが、二人で手に手を取って駆け落ちしたという間柄。
ということで両親の承諾を得ていません。
そんな二人がいろんな事件に立ち会って、機転をきかせ、お得意の「見立て」をしながら事件を解決していくという痛快なストーリーです。
道具屋なのでそこに登場するのは由緒ある絵画やお茶の道具など。
本物もあるし、贋作もあり。
それらのうんちくも味あわせていただきながら、お話は進んでいきます。
山本さんの博識ぶりが満載でした。
若くしてお亡くなりになってしまい、本当に惜しかったですね。
時代小説の入門としてもおススメです。
「とびきり屋」は、シリーズになっているようなので、続きも是非、読んでみたいものです。
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