2015年11月4日水曜日

2015 秋の関西きもの旅 7 ~二条陣屋~

神泉苑▼を出て、さぁどうしようかと思っていると、「二条陣屋」という案内板が見えました。
何だろうと思って、歩いて行くと、立札があり、そこは「小川家住宅」と書かれていました。


小川と言えば、私の旧姓です。
それでなんとなく親しみがあったので、ちょっと覗いてみることにしました。

実はこの建物の見学は予約制なのですが、ちょうど人数に空きがあるというので、他の予約の方と一緒に見学させてもらうことにしました。


お庭には、お利口そうなワンちゃんが座っていました。


入り口で、「すべての荷物は置いて入ってください」と言われて、携帯やお財布の入ったバッグもロッカーにしまうことになりました。
その理由は、見学後に分かることになりました。

また「とても冷えるので、上着は着たまま、ストッキングの女性はこちらのソックスを履いてください」という指示もありました。
とにかく昔のおうちなので寒いということでした。

予約の方が全員集まるまで、しばらく玄関わきの部屋で待機していましたが、「見学料を1000円も払ったけど、いったいどんなところなのだろう」と思っていました。

ボランティアガイドさんがいらっしゃり、建物の見学が始まりました。

初めに簡単な説明があり、「この建物は国の重要文化財なので、襖といえども、絶対に手を触れないでください」と言われました。

ガイドさんのお話では、小川家というのは、もとは奈良県の吉野郡小川郷出身の方なので、小川さんというそうです。
この方の祖先は奈良の春日大社の神官を勤めていたので、現在でもこの建物の中に春日社が祀られています。
その後、小川さんは秀吉に仕え、また茶道にも優れていて、かの醍醐の花見では風流な茶席を造って、秀吉に褒められたそうです。
その後、関ケ原の合戦で敗れた以降は、小川さんは武士をやめて出家して、その息子は町人として生きようとして、京都のこの地に居を構えました。
そして、地方からやって来る大名たちに家を提供して、陣屋の主になったのでした。

そんな小川家の歴史についての説明があり、そしてガイドさんの後をついて、邸内をくまなく見学したのでした。

そしてこの見学が終了した1時間後には、私たちはこのおうちに対して、驚きと敬意の気持ちでいっぱいになりました。
見事なからくり屋敷でした。
そして400年もの間、きちんとその姿を原形のまま保っていたことは、素晴らしいことだと思いました。
見学料に1000円払ったわけも納得しました。

室内は、写真撮影は一切禁止でしたので、詳しくは以下のサイトをご覧ください。

二条陣屋の公式サイトはこちら▼


このおうちは、二条城の徳川将軍や京都所司代ににお目見えするために地方からやってくる大名や武士たちの宿泊施設です。

それを陣屋というのですが、泊まる方が安全に過ごせるように、敵からの攻撃を受けないように、様々な工夫がされていました。

たとえば覗き天井、隠れ部屋、折りたたみ式の階段、吊りはしごなど、特殊な構造があちこちにありました。

まるで忍者屋敷のようなところが、いたるところに見られました。

また建築としても、現代でいうところのエコハウスで、この時代においても防水、防湿、延焼防止などが完備されていました。京都は火事が多いところでしたので、絶対に焼けないようにする必要があったわけです。
回転式の雨戸も、よく考えられていました。

電気もガスも水道もない時代に建てられたおうちですが、敷地内には12の井戸があり、いたるところから水をくみ上げられるようになっていました。

お風呂(湯殿)なども浴槽は白いタイル張り、天井は漆喰塗、また四方の壁は水をはじきやすいように油が塗られています。
また上がり湯もあり、湯が冷めないような保温設備もありました。

風流なお茶室(皆如庵)もありましたが、ここも敵が攻めてきてもすぐに逃げられるように迷路となっていました。

また普段は畳の部屋が、畳を上げると檜張りになっていて、能舞台になるという部屋もありました。その部屋の床の下には、甕が埋まっていて、それが音響効果となっていたそうです。
当時の武士は、能の愛好家が多かったことがしのばれますね。

現代の建築家も見習った方が良いのではないかと思われる工夫が、いろいろありました。

このようにいろいろな設備の整っているおうちでしたが、あまりに冷えがきつく、こればかりは今の人間には耐えられないかもしれません。
10月なのにひんやりと寒かったので、真冬はどれほど寒いのだろうと想像しただけで、身体が冷えてくるようでした。

また天井が低く、廊下の幅も狭いのは、当時の人の体格が小さかったということと、またこのような場所では刀を振り回せないようにわざとそのようにしていたようです。

見学を終わっても、お庭では、まだわんちゃんがちんまりとしていました。


ここは、まるで忍者屋敷のように面白いところでした。

京都というと神社仏閣の見学が多いところですが、このような陣屋を訪ねてみるのも、おススメです。

(この項、続きます)




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