2015年12月18日金曜日

篤姫と和宮

江戸の幕末動乱期から明治にかけての物語は、男性からの立場によるものが多いのですが、私はやはり女性が主人公のお話が好きです。
それで、天璋院篤姫や和宮が登場する小説を続けて読んでいます。
どの本も、それぞれ2回、3回と読み直しているものですが、それでも面白さは尽きません。

まずは有吉佐和子さんの「和宮様御留」。


これはあっと驚く、和宮さん替え玉説を描いたもの。
和宮は孝明天皇の妹ですが、公武合体の象徴として、徳川将軍の家茂に嫁ぎます。
本物の和宮はおみ足が悪かったようですが、小説では、どうしても江戸に嫁入りに行くのは嫌だという和宮をかばうため、周囲がお膳立てをして、適当な下女に代えてみました。
ところがやはり替え玉は教養もなく、自分が替え玉だと分かってからは問題行動が多く、発狂してしまいます。
それで次策として、まともな女性を見つけてきたけれど、この人は左手がなかった。
それでも将軍家に嫁いだというお話。
発表当時はかなり問題があったと思いますが、作家の創造力のすごさが感じられます。

最後まで面白く読める小説です。

それに対して、宮尾登美子さんが描いた「天璋院篤姫(上・下)」は、身体が弱くて子供を作る能力がなかった将軍・家定に嫁がされた薩摩女の話。


篤姫は、テレビの大河ドラマにもなったのでよく知られている人物だと思いますが、小説では幕末の歴史もきっちりと描かれています。
徳川家に嫁いだからは、生まれ育った薩摩藩から責められても、徳川の女としての立場を忘れない姿勢がすごいですね。


この二人は、いわゆる嫁と姑の関係になるのですが、実際は篤姫が10歳だけ年上という関係でした。
立場は違っても、二人と政略結婚をさせられて、そして配偶者には早く亡くなられてしまい、若くして未亡人になるという点では同じです。
ふたりの気持ちやお付きの女性たちのいがみ合いが面白いのですが、とくに皇室独特の言葉の使い方がおかしくて、笑ってしまうほどでした。

そしてこの二人の女性のそばにいて、実務を担当して、江戸と京都を2回も往復した女性がいました。
それが「女たちの江戸城開城」。
植松三十里さんの小説です。

大奥の女性が外出をするなど、、それだけでも大変だった時代に、駕籠から降りて自分の足で歩き、男たちの先頭に立って指揮をとった女性のお話ですが、ハラハラドキドキ、なかなか楽しめる内容でした。
女性たちのおかげだけではないでしょうが、江戸城が無血で開かれたというのは、日本にとっては良いことだったと思います。


この時代の話は、男の立場から見るとややこしいのですが、女性の立場から見ると、とても面白い時代だと思います。

江戸末期から幕末にかけて、権力ある女性も立場は難しかったと思いますが、一般庶民にとっても、明日はどうなるか分からない時代だったのだと思います。

その後、明治維新が進み、そして帝国主義の時代となり、日本は外国と戦争をするような国になっていきます。



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